はじめまして。暮らし企画部に所属しております藤原(ふじはら)と申します。
私が所属している暮らし企画部は土地から建物、ライフスタイルまでを企画提案する幅広い業務を行っております。その中で現在私は「顧客開拓」が主業務となっています。
前職が設計事務所であったこともあり、社外イベントのブースデザインや空間デザインをおこない、町家をテーマとしたイベントを企画しています。
今回のブログはその中で、様々なご縁を頂戴した集客イベント「音家」について、ご紹介したいと思います。
えっ、ミカンだけですか?
今回のイベントの舞台は新大宮商店街です。
新大宮商店街は、大宮通の北大路通から北山通までを結ぶ道に面しています。
西側には大徳寺や今宮神社など歴史的な名所が位置しています。
別名"北の台所"とも呼ばれ近隣住民の重要な台所として機能してきましたが、郊外型スーパーや後継者不足などにより、シャッターを閉める店舗が増えていました。
近年はインバウンドによる外国人旅行者向けのゲストハウスや若年層向けのカフェが新規出店し、徐々に賑わいを取り戻しつつある商店街です。
その中にある元書店だった町家を、縁あって八清が取得し販売を行っていました。販売戦略において、物販・飲食テナントの利用を考慮した物件のため、あえてスケルトン状態にして売り出した建物でした。
スケルトンとは、天井、床、壁が全て取り払われ、柱や梁、土台といった構造体がむき出しとなっている状態のことです。
必要最小限の要素で構成された空間は、独特の力強い魅力を持っています。
そんな無骨で男心をくすぐる空間をアピールするため、自由に内見していただけるオープンハウスを2回行いましたが、各回とも来場者0人という結果。
「オープンハウスの成果は、隣のおじさんからもらったミカンだけ...」といった冗談のようなことが起こりました。
陽気なカナダ人との出会い
そんな中、八清が参画するリノベーション住宅推進協議会主催のイベント「リノベーションEXPO 」に、私もスタッフとして参加しました。
国際色豊かな交流イベントでメインステージでは、フランス人アーティストによる「住」をテーマとしたライブペインティングを行う等、国籍関係なく盛り上がりを見せていました。
その中で八清ブースに訪れた陽気なカナダ人、アーロンと出会います。
彼は京都で国際弁護士として働く傍らDJとして活動しており、偶然にも京町家好き。
話は盛り上がり、彼の「町家でDJしたい!」の一言が今回の企画につながりました。
リノベーションEXPO ライブペイントの様子
音家企画と広がった縁
スケルトン町家のオープンハウスに付加価値を付ける手段として、
- DJイベントでスケルトン町家に来訪する機会を創出する。
- 新たな顧客(京都在住の外国人や若年層等)の開拓を行う。
を目的とした「音家」イベントを企画しました。
社内で前例の無い企画でしたが、チャレンジは止めない八清の企業風土が功を奏し、勢いにまかせ突っ走ることができました◎
フライヤーは"音楽と町家の空間を楽しむ"をテーマに、建物だけでなく商店街までイベントの雰囲気が漏れだすようなイメージで作成。
会場構成は、1階をDJイベントスペース、2階を商談スペースと大まかに位置づけました。
イベント内部では美味しいコーヒーと軽食を食べながら談笑できる空間や座って休憩できる場所を用意したいと考え、以下のお店に出店いただきました。
イワシコーヒー :"とにかく美味しいコーヒーをつくりたい!"こだわりの自家焙煎豆で淹れる京都のハンドドリップコーヒーのお店。
保存食lab :有機野菜をベースとし、スパイスの効いた調味料を生産・販売。意外な組み合わせは、食卓に驚きと楽しさを与えてくれます。
dona:陶磁器で世界に一つしかないオールハンドメイドのアクセサリーやオブジェ、器などを制作。今回は愛らしい彩り豊かなマーブル色のアクセサリーで会場に花を添えていただきました。
さて、開催の見通しもついたところで新大宮商店街振興会理事長へ挨拶することとなりました。
隣のおじさんの正体
新大宮商店街振興会事務局を訪問し理事長として紹介された方は、何とミカンをくださった隣のおじさん。
元々面識があったことに加え、商店街を盛り上げてくれるならばと、その場でイベント開催の快諾を頂きました。
また音家イベントの次月に新大宮商店街で開催される「つむるつながる」企画展 の主催者ヴァリアスコネクションズ成実氏も紹介頂き、商店街を巻き込んだイベントへと成長していきました。
「つむるつながる」
〜新大宮商店街と周辺地域のひとたちの「 めをつむる 」写真展〜
イベントの広がり
不思議な縁が続いた準備期間も終わり、ついにイベント当日。
天候にも恵まれ会場設営も捗ります◎
シャッターを開けて風を通し、会場設営。
フライヤーを見てくれた人たちも集まってくださいました。
いつの間にか1階は交流スペースに。
DJアーロン
物件説明や不動産相談は落ち着いた和室で...
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、4時間の開催で来場者数は約60組と終わってみれば大盛況でした。
八清と来場者だけでなく、来場者同士もコミュニケーションを取っていたことが印象に残りました。
また商店街に面した建物のシャッターを開けてイベントを行ったことで、近隣住民の方も興味を持って入ってきてくださり、交流の輪が 地域コミュニティにも広がりをみせていたことも嬉しく思いました。
町家だけでなく街やコミュニティも売りにする
今回のイベントは私にとって、 不動産業者の在り方を考えるきっかけとなりました。
これまで八清は町家をリノベーションすることで、京町家の住み継ぎ方を提案してきました。
これからはもう少し視点を広げて、面的なリノベーションの整備を行えるようにしていきたいと考えています。
例えば今回のように、建物購入者以外にもご参加いただける商店街や地域コミュニティに対して開かれたイベントを繰り返し行うことで、その地域での不動産に対する有効活用の相談窓口として機能し、問題点(空家やテナント斡旋など)を改善することでエリアの価値を不動産業者の立場から向上させていく。(とはいっても、簡単に相談窓口としての信頼は築けないと思いますが...。)
そのような整備が行えるようになると、街はもっと活気を帯びて楽しくなる可能性を秘めていると思います。
長期的な視点に立ったまちづくりを考えられる企業へと成長できていければと未来は明るいのかなぁと考えています。
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