10年ほど前までは珍しかったシェアハウスやゲストハウス。 国籍・性別・年齢・職業を問わず、さまざまな人たちがひとつ屋根の下で生活をするスタイルは、ひとつの居住の在り方として定着しました。 最近では、登録拠点が住み放題になるサブスクリプション型の住居サービスが注目を集めるなど、時代とともに居住の形は多様化しています。
これから2回にわたって、京都市内で2020年夏に竣工予定の「出雲路コレクティブハウス(仮称)」についてご紹介します。 町家のリノベーションや、シェアハウスなど数々の住まいの形を提案してきた八清が手がける "コレクティブハウス" 。
プロジェクトリーダーを担当するのは、株式会社八清の暮らし企画部プロデューサー波多野哲也さんです。 今回は、波多野さんのこれまでの経歴を踏まえながら、出雲路コレクティブハウスについてお聞きしました。コレクティブハウスの魅力
コレクティブハウスは1970年代にスウェーデン・デンマークで誕生し、現在では北米などを中心に世界中で広まり、日本でも注目が高まっています。
独立した専用の住居スペースはそれぞれ確保しつつ、みんなで使ういくつかの共用スペースもあり、生活の一部を共同化しながら生活する住まいがコレクティブハウスです。 自分や家族の生活は自立しつつも、血縁にこだわらない広く豊かな人間関係の中で暮らすというのも特徴の1つです。 出雲路コレクティブハウスは、建物の入り口となるエントランス部分、個々の居住スペースの前の中庭と、二か所の共有スペースを設けています。「エントランスと中庭は、住人だけでなく知人などを招いて使用することも可能です。 個室内にはキッチン、トイレ、お風呂と生活に必要な環境はすべて揃っているので、『時には1人の時間を大切にしたい』という方にも安心して住んでいただくことができます。
シェアハウスよりもプライベートゾーンはしっかり確保できるので、幅広い年代の方に住んでいただける環境だと思います。エントランスには人が集う場所になるようにと、カウンターを設置しています。 みんなでお酒を持ち寄ったり、何か買ってきてここで食べたり。 住民同士やお友達を招いてちょっとしたパーティーを開くなど、多様な楽しみ方ができそうです。
エントランスを抜けて進むと、目に飛び込んでくるのはシンボルツリー。 木の下にテーブルや椅子を設置し、共有テラスとして木の下に住民みんなが集える憩いの場所を描きました。 木とともに過ごすことを楽しみのひとつにしてほしいという願いからです」
「南から光がさして、緑の葉の間からみえる木漏れ日を美しいなと感じ、寒くなるにつれて木の葉の色が変わり、落葉する様子を眺める。 木って生きているんです。 生命を感じられる暮らしって、精神的にもプラスになる部分が大きいと思うんですね。 木も、この家の一員として大切にしてもらいたいですね」
共有テラスは、住人同士の絆を深めるきっかけになる場所。 ここがさまざまな世代や、バックグラウンドをもった人たちが交流を深めるきっかけになればと、波多野さんは願っています。
「例えば子育てでナーバスになってしまう時に、コレクティブハウスの中に、一声かけてくれるようなシニアのご夫婦がいたり、仲のいいカップルが子どものおもりをしてくれるなんてことがあればいいですよね。
一戸建てのお隣さんだと距離感が難しいけど共用部を共にしている人たちなら、そのハードルが少し低くなる。 自分達の生活やペースを大切にしながらも、住む人たちのつながりや絆が自然に生まれる場所になればうれしいです」京町家のエキスパート
出雲路コレクティブハウスのプロジェクトリーダーとして企画、設計、営業などを統括して担当している波多野さん。
「会社(八清)から、『面白いアイデアを考えてくれないか』というオーダーがあったんです。 僕は新卒で平成9年に入社して今年で23年目。 その間にさまざまな物件を担当してきたので、自分で言うのもなんですが、ふり幅が広いんです(笑)。 新築、リフォーム、請負の仕事...時代に合わせてさまざまな物件を担当してきたので。
今回はまだ八清で手がけてないものを...と考え、新築のコレクティブハウスにたどり着きました。 新築だからと言って工業製品ばかり使うのではなく、ぬくもりを感じられるように扉に古建具を使用したり、要所で天然素材にこだわったりと京町家のエッセンスを加えていく。 八清の物件として、こだわりを持って取り組んでいます」波多野さんが入社した当時は、不景気や経験者の独立などの影響で上司からの指導があまり受けられない状況でした。 設計から現場監督、工事費の算出までを担当し、先輩2人と奮闘する日々。 部署という垣根はなく、できることは全部やる。そんな気持ちで取り組んでいたそうです。
そんなある日、社長から「今後は京町家を活かす事業に取り組む」と告げられます。 当時、老朽化した町家はどんどん取り壊され、京都のまちの景色が変わろうとしていました。 そこで八清は町家を買い取り、町家の形状を活かしてリノベーションすることで、まちの景観を守ろうと考えたのです。
「『京町家をやるんですか?』『この物件でやろうと思う』。 社長とのそんなやり取りから、今では主体となっている町家のリノベーション事業が始まりました。 町家はすでに購入済みで、どうやって改修するかは君たちに任せると。 僕も先輩も伝統工法の知識もないし学校で習ったこともなく、町家の改修自体が初めてのこと。
でも、昔から社長の言うことは正しいなと思えることが多かったんです。 だからその言葉を信じて、やるしかないと気合を入れました」波多野さんは京町家について、「知る限りのことを教えてほしい」とベテランの大工さんや、左官屋さんなどの職人さんに聞いてまわります。 アドバイスをもらい、講習会に足を運び、ひたすら試行錯誤する。 繰り返しの日々の中で身についた知識と技術が、波多野さんの血肉となり、今の八清を支える屋台骨となっているのです。
最後に、波多野さんの「出雲路コレクティブハウス」での理想の暮らし方をお聞きしました。
「例えば夫婦2人で暮らしていたら、ケンカする日もあるじゃないですか。 そんな日はエントランスにあるカウンターに座ってお酒をのんだり、共用のテラスでのんびりしたり。 コレクティブの中だと、顔見知りばかりだから安心して過ごせます。 でも『あのご主人、いつもここにいるな』って言われちゃうかもしれませんね(笑)」
これまでさまざまな住まいを手がけてきた波多野さん。 時代の移り変わりと共に人々の暮らしも変化し、その変化に沿った住まいづくりを大切にしてきました。 出雲コレクティブハウスも、そんな波多野さんの想いが詰まった空間。 自分のプライベートな時間も大切にしながらも、ほどよい距離で人と関わることができる。 今の時代にぴったりの暮らし方を体感することができます。
次回は、出雲路コレクティブハウスのコミュニティづくりや、イベントの企画・運営を担当する小山由美さんにお話をうかがいます。プロジェクト発動!
プロジェクトページ更新中です。
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