日頃さまざまな方と一緒に仕事をさせていただいている中で、あらためてこの人と話してみたいと思う人や、気になるこの人に会って話を聞いてみたいなど、八清社員がいま会ってみたい人に話をうかがう企画です。
シリーズ第1回の今回は八清の暮らし企画部、グローバル営業担当の本門が、同世代の女性で独立して活躍されている建築士の南麻衣子さんに会いたい!ということで、対談形式でお話をうかがいました。
今回、南さんに設計をお願いした、上京区にある「KITAMACHIYA 織屋建×中庭×ときどき、ハナレ」でこの家についても教えていただきました。
プロフィール
南 麻衣子
AtSpace Architects 建築士
大学卒業後、京都の建築事務所で約10年在籍。建築事務所在籍中の10年ほど前に町家の改修を八清より依頼し、以降10軒近くの八清物件を依頼。2017年に独立してAtSpace Architectsを開業。
本門 佳恵
八清 暮らし企画部 グローバル営業担当
2013年に入社し営業事務としてグローバル事業立ち上げに従事。2017年暮らし企画部に異動しグローバル営業担当として外国人のお客様に京町家の魅力を伝える。
町家の昔の痕跡を謎解きするのが楽しいです。(南)
―まずは南さんが設計士になられた経緯からうかがいました。
大学を出て、建築事務所で約10年勤めて、そのあと独立して3年くらいになります。
大学では学科は土木だったので、建築事務所で働きながら建築のことを学んだという感じです。
住宅を手掛けられることが多いのでしょうか?
町家の改修を多く手掛けられているようですが。
もともと住宅をやりたかったんです。
この道に進んだのは、模様替えが好きだったり、不動産の間取りを見るのが好きだったりとささいなきっかけですね。
生活の場をつくりたいなと思っていて、家は人の根幹に関わる部分ですし、それに関われるというのはとても幸せなことだと思います。
人が生活していく上で、基盤となる場所ですもんね。
町家の改修のおもしろさはどういうところにありますか?
昔の生活の痕跡がわかるのがおもいしろいですね。
こういう風に使われていたんだろうなとか謎解きしたり。
新築とは違い、あるものをどう活かすかを考えるのが楽しいですね。
なるほど!
確かにそれは町家リノベーションならではですね。
町家専門として若手の女性でやっている人は少ないんじゃないでしょうか(本門)
―南さんは町家の保全・改修を行う技術者の集まりである「京町家作事組」(さくじぐみ)の一員としても活躍されています。
京町家作事組という町家の改修をする設計者や工務店の集まりに所属しているので、町家を手掛けることが多いというのもありますね。
町家専門で、若手女性でやっている人は少ないと思いますよ。
住宅の購入は女性が決めることが多いので、女性視点でつくられた家というのは女性に受け入れられやすいかもしれません。
そうかもしれないですね。
どこまで生活者としての女性視点をもっているかわかりませんが(笑)
私はシンプルに作るということを心がけています。
余白を残して、生活する人がその余白を埋めていくような空間をつくりたいですね。
多様性をもたせることで、町家が100年後もあるとしたら、購入した人とはまた違う人が使うこともあるだろうし、その先も見据えて住み続けられる空間だったらいいなと思います。
町家の古いものを蘇らせるというよりは、町家の歴史がそうであったように、新しい風を吹き込んで、現代に合わせて使いやすく、"いま"を取り入れたいと思っています。
織屋建ての広い空間を活かしながら、住まいとしてみんなが集える場所を(南)
―今回取材場所となった「KITAMACHIYA 織屋建×中庭×ときどき、ハナレ」についてもうかがいました。
ここは織屋建てと言って、はた織機が家の中にあったので、吹き抜けの広い空間があるのが特徴です。
その広い空間を活かして、いろんな人が集まれる場所にしたいという想いで設計しました。
この土間の素材めずらしいですよね。
ほかの社員に「使ってみたかったのに先越された」と言われました(笑)
そうだったんですね!
エポキシ樹脂というもので、工場の床などで使われたりしている素材です。
なので丈夫ですし、掃除がしやすく、夏はひんやりしていて涼しいですよ。
昔からある土間に新しい素材を使ってみたくて敷いてもらいました。
町家でこんな広い空間はなかなかつくれないですよね。
開放感があり、白い壁と床がかっこいいと思います。
ホームシアターは誰のアイディアだったのでしょうか?
(八清の)担当プロデューサーの方のアイディアです。
吹き抜けの広い空間や2階から下が見えるというのを提案していたので、この物件の特徴の1つとしてホームシアターのアイディアが生まれました。
2階にソファやハンモックをおくのもいいですし、土間との段差や階段にも座れるので、いろんな場所から見ることができます。
この広い空間やレベル差を活かして多様に楽しめるのがいいですね。
構えずいろんな場所からスクリーンが見える日常の1つというのもいいですね。
すべてがインプットだなと思えるように(南)
―設計のアイディアはどこからインスピレーションを得られているのでしょうか。
独立してようやく働き方に慣れてきた感じがしていて、まちを歩いていても、美術館に行っても、すべてがインプットだなと思えるようになってきました。
実務に追われるとなかなか難しいこともありますが...。
私あんまりONとOFFがないんです。
旅行が好きなので、旅行に行っても、仕事とプライベートの間を行ったり来たりしながら、景色を見たり、まちを歩いたりするんだと思います。
今後はどんな町家をやりたいとかありますか?
コンパクトで昔の流れが多少残っているものは好きですね。
手作り感があって、生活感あふれる、時代を物語っているようなものに魅力を感じます。
ちょうどいまはメキシコ人のアーティストの方と町家の改修をしています。
色に対する考え方とか、同じ木造でも感覚が違ったりとか、日本人では考えつかないような発想がたくさんあってとてもいい刺激になっています。
"いま"の視点で町家の魅力を見出し、新たな命を吹き込こむ。
住みやすさはもちろんのこと、自分色に染められる余白を計算するというのがとても印象的でした。
「KITAMACHIYA 織屋建×中庭×ときどき、ハナレ」もミセノマでお店をしたり、ギャラリーもできそう!とか、友達呼んでシアターパーティしたらいいね!とか、さまざまな人のさまざまな使い方を妄想して盛り上がりました(笑)
この家がどんな方にどんな使われ方をするのかとても楽しみになりました。
KITAMACHIYA 織屋建×中庭×ときどき、ハナレ
京町家の伝統的な構成を活かしつつ、開放的なリビングをはじめプロジェクター・床暖房・食洗器を設置し現代のライフスタイルに合わせてリノベーションされたお家です。
- この記事を書いた人Hasegawa Yuka
- 寡黙で知的、の~んびりな空気を漂わせておきながら超スピードで八清ブログ記事を書き上げるメディアデザイン部のテキストマシーン。ほがらかな笑顔で相槌♪聞き上手な彼女は社外的な取材もこなす。彼女にインタビューされた日にはすべてを暴かれてしまうに違いない。
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