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野菜を買うときに産地を見る方は多いと思いますが、家を買うときに木材の産地がどこか気にする方は少ないと思います。

京町家のリノベーション物件を見ると、立派なゴロンボ(梁)だなとか、ここは古いままの柱が残されているなあとか、木目がきれいな建具だなあとか、木を目にしていいな~と思うことは多々ありますが、木の種類やましてや産地まで考えたことは正直あまりありませんでした。

建材高騰をきっかけに"地産地建"

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2021年に住宅の土台などに使う木材の需要が高まり、木材が不足して価格が高騰して混乱を招いた、「ウッドショック」という言葉がメディアで飛び交いました。

日本の住宅メーカーは木材の7割程度を海外産の輸入木材に頼っており、コロナ禍のコンテナ不足やアメリカでの建設ラッシュなど、様々な要因が重なり、日本に木材が入りづらい状況となったのです。

こんなに山があるけれど、日本は木材を輸入に頼っているんだということを改めて実感させられる出来事でした。

2024年の現在でも、木材だけの要因ではありませんが、総じて建築価格は高騰しており、住宅価格は値上がりしています。

八清でも建築価格を抑えながらも、デザイン性が良く、「安心・安全・快適」が実現でき、なおかつ社会に貢献できる、リノベーション物件を提供することは大きな課題です。

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そこで、2023年に1軒の京町家を京都産の無垢材を使ってリノベーションするプロジェクトに取り組みました。

無垢材とは木材をそのまま使用した資材です。

近年の住宅では小さい材を継いで1枚の板として加工した集成材が多く使われていますが、古い建物である京町家は無垢材が使われていることが多いので、相性が良いという判断から八清のリノベーションでも無垢材を多く使用しています。

見た目が大きく変わるということはありませんが、京都の山で育ち、京都の気候に慣れた木を使うことで京都に建つ住宅との相性がいいのではないかと考えています。

地産地消ならぬ、"地産地建"を行うことで、京都の山を守り、運搬時のCO2排出や運搬コスト削減にもつながります。

輸入材や他府県産材とのコスト差も大きくはないので、今後も継続して京都産の木材を使ったリノベーションを行っていけるということがわかりました。

ということで八清では、京都産木材を使ったリノベーションプロジェクトを発足することになりました!!

今後、京都産木材のリノベーション住宅をブランド化し、お客様に満足していただける物件を提供し、社会に貢献できる住宅の供給に尽力していきたいと考えています。

MOMO HOUSE

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京都で生まれた木材を私たちの暮らしに使うこと。それだけで持続可能な社会に貢献することが可能です。それは木材と私たちに最適な環境をもたらし、地域経済や地球にもやさしい。個々の暮らしだけでなく地域や地球にも素敵な循環をつくるのがMOMO HOUSEです。

プロジェクトページ


プロジェクトをスタートするにあたり、京都産の木材がどのような工程を経て、リノベーションの現場に届くのかを知ろうと、京都市の北端、京北にある北桑木材(ほくそうもくざい)センターさんと大雄木材(だいゆうもくざい)さんを訪ねました。

京北をはじめ京都の木が集まる

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まず伺ったのは北桑木材センターさんです。

ここは京北をはじめとした京都府内で切られた木が集まり毎月3回セリが行われ、製材業者などが買い付けに来るところです。

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代表取締役の田渕さんが案内してくださいました。

広大な敷地に木材が並べられている光景は圧巻でした。

これでも、訪れた時期(5月)はシーズンではないので並んでいる木材は少ないほうとのこと。

シーズンは秋だそうで、今は湿気が多い季節に入って来るので切る木は少ないのだそうです。

京都の小学校に通っておられたら、京都の産業の1つとして室町時代から北山スギが育てられているということを習った記憶があるかと思います。

だからか、京都の木と言えばスギというイメージがありましたが、ヒノキやモミなど様々な木があり、もちろん建材だけではなく様々な用途で使われているそうです。

例えば、クリスマスツリーで知られるモミの木は湿気を吸いやすいので、そうめんの木箱として加工されるそうで、兵庫県から買い付けに来られるそうです。

他にも、合板やチップ、火力発電の燃料として使われることが多いというお話でした。

手入れされて育った木と手入れされずに育った木の違いや、丸太をどのようにカットするかなどいろいろ教えていただきました。

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北桑木材センターさんの事務所や倉庫にも木材がたくさん使われており、加工技術や使い方がすばらしく、とても参考になりました。

仕入れた木材を加工する製材所へ

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次に、製材を行う大雄木材さんに伺いました。

こちらも広大な敷地に木材がたくさん積まれています。

北桑木材センターさんで仕入れた木材をこちらで、皮をむいて、乾燥させ、カットして製材する作業が行われています。

工務店などはこちらで木材を買って住宅を建てます。

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代表取締役の野上さんにいろいろと教えていただきました。

元々の木のポテンシャルはもちろんですが、乾燥などの製材によっても木材のクオリティは大きく変わります。

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大雄木材さんでは高周波と蒸気で乾燥させて仕上げる最新鋭の装置を導入されています。

この装置に入れても、ヒノキなら10日弱、スギなら2週間くらいは乾燥に時間がかかるそうです。

乾燥機に入ってない木材がほしいという発注もあるそうで、そうすると自然乾燥にはもっと日数がかかります。

また、どんな発注があるかわからないからと様々な木材が様々な状態で広い敷地に保管されていました。

どういう木材がどこに保管されているかを把握するのも大変そうです...

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こんなに広い場所でどれくらいの方が働かれているのかと思い聞いてみると、なんと5人でされているそうです!

スケールの大きさに驚き、木材がどのような工程を経て建築現場で目にする角材や板になっているのかということを知ることができました。

時間と労力がかかる木材

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木を切ると必ず植林をしていかなければいけないそうで、驚いたことになんと種から植えるのだそうです。

立派な建材となるような木は100年以上かかるとのこと。

切ってすぐに使えるわけでもないので、とんでもなく時間がかかるものだということを改めて実感しました。

100年くらいはもつ建物をつくらないと、次の家をつくる木は育っていないということですね。

京北の冬は雪が降るくらい寒い気候であることから、ヒノキは目が細かく、スギは価値が高い赤い木が育つそうです。

平坦な場所に植えた木は泥の混ざった水を吸い上げるので中が黒くなるそうで、流れる水を吸い上げる斜面で育った木のほうが良い品質の木が育つそうです。

斜面のほうが植えるのも切るのももちろん労力がかかります。

こうして時間と労力をかけて木材がつくられていることを知り、京都の山を守ることや京都の林業に少しでも貢献できるプロジェクトにしていきたいと思いを強くしました。