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こんにちは。建築ディレクション部の岡田です。

現場サイドから見た京町家リノベーション、京都産の木材を使用したリノベーションプロジェクト「MOMO HOUSE」をレポートします。

今回の京町家リノベーションは、新規プロジェクト=MOMO HOUSE第1号として2024年1月より進めて参りました。

このプロジェクトは地域産材の活用と伝統工芸品の採用に重点を置いています。

特に、京都府内産材の使用を通じて、地域経済の活性化と環境負荷の低減を目指し、同時に京都らしい美しさを空間に反映させることが求められました。

合同会社ユニーズ 設計士 岩見氏の協力を得て、京都らしい伝統的な要素と現代的なアプローチが調和した空間が完成しました。

材の選定と課題

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リノベーションにおける最大のポイントは、京都府内産材の選定です。

本プロジェクトの最大のテーマとして京杉や京檜など、地域で育てられた木材を積極的に使用することにしました。

これにより、京都の不動産会社である八清がつくる建物と親和性の高いリノベーションを目指しました。

しかし、この京都府内産材の使用に伴い、いくつかの課題が発生しました。

納期と材の安定性

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通常通り現場を進めると、木材の納期が発注後4週間かかるという問題が発覚し、工程を組み直す必要が出ました。

これは、普段流通の少ない京都産材は、納材屋さんにストックされておらず、受注後生産になるという理由からです。

この間、現場はストップを余儀なくされ、大工さんが交代することになりました。

また、材の安定性に問題がみられました。

特に湿気や乾燥による収縮や膨張が顕著な為、当初予定していた天井仕上げ材として使用するには不安が残りました。

当該物件は、広いLDKの勾配天井が目を惹く平屋で、この天井に京都産材を利用することで、訪れる人にわかりやすく、訴求力の高いアイテムだと考えていましたが、竣工時だけでなく、長い目で見た美しさを鑑み、京都府内産材の天井仕上げ材としての使用は断念しました。

大工さんの苦労

受注後生産=乾燥時間が短い為、材の安定性が悪く、大工さんたちは細かな調整を行いながら施工を進めてくれました。

木材が収縮したり反ったりすることがあり、接合部の隙間や仕上げの調整に時間がかかりました。

日頃から無垢材の扱いに慣れている大工さんでも、使い慣れていない京都府内産材の使用は、特にその精度と安定性に於いて施工が難航することがありましたが、大工さんはその都度柔軟に対応し、最適な方法で加工を施してくれました。

伝統工芸品の取り入れ

より京都らしさを表現するため、MOMO HOUSEプロジェクトの特徴的な要素として、京都府内産材の使用に加えて「京都の伝統工芸品を取り入れること」を条件にしています。

これにより、京都の文化を継承することにも貢献すると考えます。

たくさんあるアイテムの中から、今回は次の2つのアイテムを採用しました。

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唐紙(からかみ)
唐紙は、京都の伝統的な和紙で、その美しい模様が特徴です。
八清のこれまでの事例でも頻繁に採用されているアイテムです。
今回はリビングの飾り棚の地袋部分に取り入れました。
ほんの僅かな面積ではありますが、唐紙の柔らかな質感と美しいデザインは、とても印象深く、存在感があるのに、飽きが来ない、不思議な魅力があります。

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絹ガラス
今回初採用となったのは絹ガラスです。
これは、絹織物と文様の輝きをガラスで挟み込んだもので、アンプリチュードを見学した時から、いつかどこかの現場で採用したい!とずっと心に留めていた商材です。
満を持して採用した絹ガラス。
京都らしく控えめな投入にもご注目ください!

竣工を迎えて

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京都府内産材の使用を通じて、地域経済の活性化と環境負荷の低減を目指し、同時に京都らしい美しさを空間に反映させることをテーマにしたMOMO HOUSEプロジェクト。

京都府内産材を利用することで、京都の森林資源を有効活用し、持続可能な方法で木材を供給する仕組みを支えることができます。

また、京都府内で育まれた木材には、京都ならではの温かみや風合いがあり、建物に深みを加えるとともに、京都の文化や伝統を感じて頂けることでしょう。

担当者である私はもちろん、工務店さんや大工さんにとっても初めての試みで、いつもとは勝手が違い、戸惑いや不安を抱えながら進めて参りました。

京都府内産材を使うことには課題もありますが、その分、施工に携わる職人たちの技術力や工夫によって、長く愛される建物として完成しました。

木材の質感と香り、更に京都の伝統工芸品である唐紙や絹ガラスを取り入れた、京都ならではの住空間は、暮らしに安らぎを与えてくれます。

京都に根差した素材を使うことは、ただの建材選びに留まらず、京都の未来を形作る重要な一歩となると信じています。

施工に携わった大工さんたちの技術と努力に感謝です。

本物件は、2月15日13:00~16:00から、初めてのオープンハウスを予定しております。

是非、京都産木材リノベーションプロジェクトMOMO HOUSE第1号を体験頂けましたら幸いです。

そして、現在第2号を工事中。

春頃の竣工を目指しています!

どうぞお楽しみに。

木と緑を楽しむ京町家

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専用通路の奥に佇む京町家は、広い庭と大きな窓を備えながらも、周囲の視線を気にせずプライバシーが守られた空間です。窓から眺める庭は、春の芽出しから冬の雪景色まで、四季折々の変化を楽しませてくれます。

物件ページ

MOMO HOUSE

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京都で生まれた木材を私たちの暮らしに使うこと。それだけで持続可能な社会に貢献することが可能です。それは木材と私たちに最適な環境をもたらし、地域経済や地球にもやさしい。個々の暮らしだけでなく地域や地球にも素敵な循環をつくるのがMOMO HOUSEです。

プロジェクトページ

京都アンプリチュード見学の記事はこちら

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京都アンプリチュードに展示されている伝統工芸を活かした新しい提案についてお伝えしたいと思います。八清の岡田とどんな風に使ったら素敵なしつらえになるかも妄想してみました。

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