今回は、新潟県の旅をレポートします!
テーマは、「建築とアートに触れる旅」。
このパートは、建築ディレクション部の村元が主に新潟の建築に着目してお送りいたします。
豪雪地帯の古民家を体験
まずは、新潟空港から車で約2時間、南魚沼市にある里山十帖さんに宿泊させて頂きました。
こちらは、築160年の古民家をリノベーションした宿泊施設で、同じリノベーションを扱う者としては是非勉強させて頂かなくては...!と思い宿泊先に選びました。
エントランスを入って目に飛び込んでくるのは、大きな吹抜けと幾重にもかかる巨大なごろんぼ、そしてそれらを支える極太の柱!
普段、私たちが京都の町家で扱う一般的な柱は10.5cm角、大国柱のような大きいものでも15cm程度ですが、手のひらでざっと測ったところこちらの柱は25cm以上ありました。
宿で頂いた説明によると、このあたりは冬の間は3mを優に超す豪雪地帯だそうで、この重厚な小屋組みはまさに豪雪に耐えるための構造だとか。
もちろん、現代ではつくる大工がいないだけでなく、これだけ太い材料を入手することも難しく、最近はその豪壮さが人気で、西日本や九州の旅館などにもこのような新潟の民家は多数移築されているそうです。
エントランスには暖炉もあって、どうせなら雪の中の景色も見てみたかったな...と呑気に考えてしまいました。
十日町で見た、現代の耐雪住宅
翌日は、スーパータイトスケジュールで大地の芸術祭をめぐりました。
思いの外、観たい展示が散らばっていて、京都の感覚とは比べ物にならないぐらい広大な新潟の大地に翻弄された1日でした...
詳しくは、もう一人の同行者(美大出身!)がレポートしてくれていますので是非そちらも御覧ください。
余談ですが、会場の十日町周辺の民家を見ていて、驚いたことが二つありました。
一つは、屋根が平地では見たことがないぐらい尖った「棟」の形状をしていることです。
調べたところ、これは自然落雪型の屋根に使われる「雪切」という特別な仕様で、雪が積もりにくいだけでなく屋根裏の空気を換気して結露を防ぐ、「棟換気」の機能がついたものもあるそうです。
そして、もう一つが「高床式住居」です。
言葉にすると弥生時代のようですが、これは1階のガレージや倉庫部分をコンクリート造、2階以上の住居部分を木造でつくるこの地域特有の住居形式だそうです。
はじめて見た時、積雪で1階部分が埋もれるということ!?と思いましたが(もちろんそういう場合もあるのですが)実際には屋根から落ちたり、下ろした雪が家の周辺に溜まり、木造だと外壁や軒先を傷めてしまうためこのような構造になったとか。
つまり、さきほどの自然落雪型の屋根とセットでの仕様ということですね。雪国に暮らす人々の工夫が随所に見られ、十日町の街並みは見るだけでとても刺激的でした。
引用元: 耐雪住宅の仕組みを徹底解説①雪国・新潟県での建築様式の歴史と種類
同行者、木下の記事
大地の芸術祭に学ぶ、文化をつなぐということ【八清の自由研究 その6】
キャンパーの聖地へ!
最後は、三条市にあるSnowpeak Field Suite Spa Headquartersにお邪魔しました!
キャンプどころか、超インドア派な筆者ですが、密かにSnowpeakさんの大ファンでありまして...
この度、念願叶って本社のある三条に行くことができました。
こちらには、キャンプフィールドはもちろん、様々なギアやBBQ用品が揃うショップがあり、少し離れた一角に今年の4月にオープンしたばかりの宿泊施設があります。
建築家の隈研吾氏が設計したというこちらの施設、ロビー棟とヴィラと呼ばれる宿泊棟の天井材に薪が使用されているのが印象的でした。
よく見ると、薪は一定の規則性を持って並んでいて、形成された傾斜はタープか、もしくは山の斜面をイメージしているのかな...?と想像が膨らみます。
客室は全面ガラス張りで、森の景色が見えるというよりは森そのものの中にいるような感覚。
写真はあいにく夜ですが、朝起きてベッドからダイレクトに延々と続く山々や青空をボーっと眺めるのがとても幸せでした...
内装には、名栗の床を使用して歩く度に木のぬくもりが感じられたり、ペグ風のハンガーフックがこっそり使われていたりと、Snowpeakらしさ満点!
もちろん、Snowpeak製品であるコーヒードリッパーやタンブラー等が置いてあり、自由に使うことができます。
また、夜には焚火コーナーができ、キャンプ未経験者でも自然の中で焚火にあたりながらコーヒーを飲むという夢のような体験ができました。
誰かの非日常
今回の旅を通じて、新潟の空の広さや、豪雪地帯ならではの建造物の工夫、大地の恵みであるお米を中心とした豊かな食文化に触れ、まさに非日常をたくさん体験しました。
そしてふと、私たちが普段暮らしている京都も、誰かにとっては非日常なんだな...と改めて感じました。
1日目に宿泊した里山十帖さんの「料理十条」の中に、「新潟の風土、文化、歴史を学び、料理に表現する」「古来伝承の発酵・保存技術を学び、活かし、料理に取り入れる」という一説がありました。
私たちも、京都の魅力をお伝えする立場として、風土や文化を建物に表現したり、京都特有の建築技術や意匠を守っていくことで、誰かの非日常体験につながれば...そのために精進しなければ、と思った旅でした。
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八清社員が日本各地へ興味が赴くままでかけ、見て、聞いて、普段の業務では得られない知見を広めてきましたのでレポートします。
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