皆さんは外出、旅行をどのような過ごし方にしていますか。
私は旅行では日中はとにかく外を出歩き倒して、夕方以降に宿に入り朝早くでかける過ごし方でした。
そんな過ごし方なので、お宿は寝るだけの場所という感覚で、お宿に対してこだわりがあまりなく、壁と天井、寝るところがあればいいなぁ程度でした。
ただ、小さい子どもができるとそういうわけに行かず、みんなが楽しく過ごすにはどうしたらいいかと考えた結果、
"極力なんにもしない"
ということにしました。
あくせくと外を出歩かずに、お宿でただただゆっくり過ごし、その土地のおいしい食べ物をお宿で食べつつ、気分転換がてら少し外を出歩いてみるような、旅行を目指して。
自宅にいるときよりも、なにもしないことを決めて、多くの関西人は遠足等で行ったであろう奈良県明日香村になんにもしない旅行にいきました。
1泊31時間ステイ
明日香村といえばかつての都である平城京が、平安京に移る前の西暦710年から784年までの間(空白期間あり)都がおかれた場所です。
石舞台古墳やキトラ古墳、高松塚古墳をはじめとした歴史的遺構が数多く残り、保存され、遺構によってはそれらが明日香村の景観の一部に溶け込み、馴染み、穏やかな空気が流れている地域です。
その明日香村の良さを存分に楽しむため、極力なにもしないをするために滞在したのは森羅塾さんという、古民家を改修し一棟貸をしているお宿です。
一棟貸のお宿は明日香村にもいくつかあるのですが、森羅塾さんの際立った特徴は古民家を改修した建物のおもしろさもさることながら、1泊31時間ステイという贅沢な滞在時間と、一棟貸しのお宿でありながらマネージャーの方が別棟に滞在してくださっている点です。
チェックインは9時から、チェックアウトは翌日の16時なので、お昼寝をお宿で出来ることが小さいお子さんのいる方には特に嬉しいのではないでしょうか。
当然のように私もお昼寝をしました。
旅行先でお昼寝をするというありそうでなかった経験ができました。
いままでなら限られた時間しかないのにもったいない!!と考えていたのですから、個人的にはなんとも贅沢な時間で心が満たされました。
建物は華美な改装ではなく、古民家の良さを活かして引き伸ばした改装で、もともとの建物の雰囲気を窺い知ることのできる素敵なお宿でした。
なによりこの抜け感のある風景を眺めながらのんびりできる時間が、あらゆる情報が錯綜する日常から解き放ってくれました。
いままでワーケーションに懐疑的だったのですが、会社にいるのとは違って良くも悪くも色々な情報が入ってこず、情報が遮断されるからこそ思考に集中ができた気がします。
集中したら疲れたので、すぐに椅子で寝ちゃいました。
ワーケーション、すごく素敵ですね。
別棟にはマネージャーの池川さんが滞在をしてくれており、存在感をええ感じに抑えつつも細やかな気遣い、ちょっとしたトラブルにもすぐに対応してくださる頼もしさ、これがより一層滞在したときの心地よさにつながっていました。
実際に明日香村を観光する予定だった方が、あまりにも居心地が良すぎて観光することをやめて、森羅塾さんでのんびりされたこともあるそうです。
森羅塾
思い切った付加価値向上
森羅塾さんはもともと一般的なチェックイン・チェックアウトの時間で2組まで宿泊できていたそうなのですが、池川さんがもっとお客様にゆっくりと過ごしてもらいたいという想いから、思い切っていまの長時間ステイを実現されました。
収益面を考えたときに1泊31時間ステイとすると、月の宿泊日数が半分程度になってしまうので収益性が落ちてしまうのかなと感じてしまうのですが、奈良県における簡易宿所の稼働率やオペレーションの効率等を勘案されて、この思い切った滞在時間を可能にしたそうです。
結果的にこの居心地の良い空間、時間のためか、宿泊される方の3割はリピーターだそうで、さらにリピーターの方はただただ森羅塾さんでのんびりされるとのことです。
私もまた季節を変えて、ゆっくり滞在したいと考えています。
八清の自由研究第二弾があることを願って。
明日香村のまちなみ
さすがにお宿で何もしなさすぎると身体がソワソワしてきたので、家族がお昼寝をしている間に明日香村のまちなみの見学のために外出をしました。
明日香村には古代のまちなみが残っているわけではなく、中心部である岡地区に残る建物の多くは江戸時代に建てられたものだそうです。
このまちなみも素敵ですが、古代のまちなみがどの様であったか気になりますね。
明日香村の町家は京都のものと比べ、ひろい間口をもち、立派なうだつをもち、建物が高いなど、圧倒される雰囲気がある一方で、細やかな意匠が施されており、繊細さも感じられました。
厨子二階や虫籠窓等の伝統的な意匠はお互いに似ている様な気がしますね。
このまちなみは飲食店やお店ばかりで構成されているわけではなく、多くは一般の住宅の様なのですが、一般の住宅でこれほど当時の意匠を残せているのは明日香法(明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法)の賜物なのかもしれません。
参照:明日香法
余白をもつこと
これといって何もしていない旅になり、得たものはなんなのかと問われると、これだ!と言えるものが無いのですが、あふれる情報を強制的に遮断して、目に見えるもの、聞こえるものだけに集中できたのはすごく久しぶりで、頭の中の情報量を減らして整理できた気がします。
必要に迫られてではありますが、したことのないことをするのはいいものですね。
ただこれはお金もかからなければ時間がかかることでもない行動なのに、日常生活は情報にあふれてしまっていて、心に余白をもつことが難しいなんて皮肉な話だなと感じました。
よし!これからは、せめてお昼休憩だけは無我の境地に達しよう!
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八清社員が日本各地へ興味が赴くままでかけ、見て、聞いて、普段の業務では得られない知見を広めてきましたのでレポートします。
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