皆さん、こんにちは。社長の西村直己です。
徳島県中部の山間地域の神山が活性化した理由について知りたいと思い、3月末から3泊4日で上勝町、佐那河内村と合わせて3つのエリアで過ごしておりました。
まずは神山町の滞在記を前編としてご報告させていただきますね!
Week神山に滞在
神山は徳島市内から40分車を走らせれば到着する山間の静かなまち。
創造的過疎エリアとも呼ばれ、徳島市から比較的近い過疎化が進む山間地域に、首都圏の企業家を二拠点居住スタイルで集め、ITの会社、映像制作の会社などクリエイティブな企業をサテライトオフィス設置で誘致、移住者を計画的に増やしながら、独自の発展を遂げているまちです。
今回、神山には1泊2日で滞在しました。
京都市内から車だと3時間強で到着できますし、首都圏からだと飛行機(徳島空港経由)で比較的早く行くことができます。
この神山の地を仕事場そして暮らしの場として選択する人が少しずつ増えているようです。
西村家が滞在先に選んだのはWeek神山です。
地元の木材を使って鮎喰川のほとりに造られた高床式建築のようなピロティのようなデザインが特徴的で周囲の自然に癒される宿泊施設です。
宿泊棟には居室が全8室。
各部屋は全て裏側が全面ガラスで自然を間近に感じられるナイスな眺望。
シングル部屋からグループ部屋までいくつかタイプがあり、個人や家族旅行はもちろん、ワーケーションなど企業合宿、研修旅行にも対応可能です。
みんなのリビングという共有スペースが1階にあり、宿泊者であれば誰もが入ることができて、地元の焙煎珈琲店の珈琲を飲んだりケーキを食べたり、ほっと一息つける場所です。
中長期滞在者向けにランドリーもあります。
宿泊者のレセプションと食堂は入母屋造りの古民家にあります。
この古民家は、宿泊者や友人、町内外の人たちが自由に交流できる空間です。
朝食や夕食、イベントやワークショップ、研修会場など様々な用途に利用できる空間です。
柱や梁が現れる木構造、厨房廻りはタイル貼り仕上げで質感があり、店内のLoFiなサウンドは心地よく、まったりとできる空間でした。
鮎喰川に面した縁側は眺望もよく素敵です。
里山のシリコンバレー化を目指して
Week神山の目の前にはインダストリアルな白い建物、神山バレーサテライトオフィスコンプレックスがあります。
閉鎖された縫製工場(619㎡)をリノベーションされたコワーキングスペースです。
利用はマンスリーが基本ですが、宿泊のビジターさんも1日から利用が可能です。
夕方の営業時間が終わる直前に見学をさせて頂きました。
ビデオ会議ができる会議室や防音室、ワークショップのできるスペース、カフェスペースもあります。
建物の中に3か所、薪ストーブがあったのも印象的で魅力的な空間でした。
テラスからお庭にでるとファブラボ的な工作室もあります。
入居企業の木札に目をやると首都圏のIT企業ばかりなのかと思いきや、起業支援機関であったり地域の農業から食を考える企業だったり多様性に溢れていました。
本施設は神山町で新しいビジネスコミュニティを創造し、地域発の新しいサービスやビジネスを生み出すことを目的に設立されたそうです。
ちなみに私は神山というまちはIT環境を整えることで首都圏のIT企業誘致に成功したというようなイメージしか持っていなかったのですが、帰宅後に「神山進化論」という書籍を読んで、下調べしてから行かなかったことを大変後悔しました。
まちが発展していったプロセスを知り、大変感銘を覚えました。
地元のまちづくり会社のNPO法人グリーンバレーの大南さんが大元の仕掛け人です。
「日本の里山のシリコンバレー化」を目指し、企画・計画・実行に至るまで牽引されてます。
色々な方との偶然の出会いがあり、丁寧に行政や地元の方との協働、共創を進めていった結果、今があると本では説明されていました。
グリーンバレーさんが初期にまちおこしのために企画されたアーティストインレジデンスで成功したことで、移住促進業務を神山町から偶然委託され、プロジェクトメンバーの一人から「ワークインレジデンス」(地域に仕事がないなら、既に仕事のある人を誘致してしまう)という逆転の発想からIT企業の誘致へと繋がるサテライトオフィスの提案になり、それが功を奏したとのこと。
事前に計画したことでなくて結果OK、偶然の連続だったいうのは面白い話でした。
もし神山のまちづくりにご興味があられましたら、ぜひ書籍「神山進化論」を手に取ってご覧ください。
夕食を食べに地元の飲食店「やまびこ」さんまでお散歩している途中に材木屋さんを発見。
神山は林業の町なんですね。
娘が年輪に興味深々でした。
美味しい食事の後は隣町の美郷町の温泉施設に車で向かいました。
Googleマップの指示のまま車を走らせたのですが、これまたとんでもなく細く険しい山道のルートで、道中の山道に鹿、狸、鼬、猫と野生の動物が出現し、家族にとってスリリングなナイトドライブでした。笑
寄居エリアをジョギング
2日目の朝は私一人が早起きし、ジョギングをしました。
朝日が見えてニンマリ。
凛とした朝の空気と川の音、マイナスイオンで心が洗われるようです。
京都のまち中にいると普段聞けないような鶯の囀りが印象的な気持ちの良い朝でした。
神山のまちの中心部の寄居エリアを見ておくのが私のジョギングの目的でした。
まず、地産地消の美味しい食事を提供されている古民家ゲストハウス「B&Bオニヴァ&Experience」を発見。
次にWeek神山を作った首都圏の映像制作系の企業プラットイーズの隅田さんが創設したサテライトオフィスであり、寄居エリアのランドマークとも言われる古民家「えんがわオフィス」を発見しました。
炭黒の落ち着いた色調で格子壁がかっこいい古民家です。
東京より神山町のほうがプラットイーズさんの創造的業務の生産性が高いことが判り、それなら新しい働き方を体験できる施設を作ろう!ということで作られた宿がWeek神山ということでした。
次にアートギャラリーDreamJACKさんや宿の共有リビングにあったスイーツや珈琲を提供している焙煎カフェ「豆ちよ焙煎所」さんも発見!
さらに京都でもよく見かけるトンネル路地も発見。
なんだか楽しくなってきました。
ジョギングから戻り、Week神山で朝食をいただきました。
朝食は地域の農家さんがつくった新鮮な野菜が使われたお料理で、バケットと甘いお野菜、ニンジンのスープがとても美味しかったです。
地元の枝垂れ桜が満開でしたので、販売されていたパンを購入してランチ・お花見することに決めました。
本を読んでから知ったのですが、朝食で出てきたパンを提供しているのは、 朝のジョギング中に見つけた「かま屋・かまパンストア」さんでした。
地産地消の食育を推進する神山の会社が経営するお店でした。
このお店、実は神山バレーサテライトオフィスコンプレックスに入居するIT企業「monosus」が67%を出資、残りが神山町とまちづくりの公社が出資され設立されています。
私達は美味しそうなピザパン、チーズパン、バケットを購入しました。
鮎喰川コモン
次に向かったのは大埜地の共同住宅と鮎喰川コモンです。
鮎喰川コモン側から拝見をしておりましたが、どんな建物なのか何があるのか興味津々!
プライベートな戸建型の共同住宅ですので、近くから撮った写真はありません、悪しからずご了承ください。
長屋タイプの住戸が全20戸、ほとんどはファミリーや夫婦向けの住戸ですが。
独身向けのものも2戸ありました。
※大埜地の共同住宅は神山町のホームページをご参照ください。
この大埜地の共同住宅では地域活性化のために地元木材を使って長屋形式で建築され、熱源はエネルギー棟の木質バイオマスのボイラーから創出、また児童や町民のための交流施設があり、コミュニティマネジメントにも熱心に取り組まれている共同住宅施設です。
本施設の取り組みに私は感心しました。
- 少子高齢化で過疎化していくのが予測される中、小学校が複式学級にならないためには?というところから若い移住者を増やす計画を算定されて賃貸住宅の入居募集や運営が行われていること。
また移住者だけでなく元から神山に住んでいる方も住むことができます。 - 生徒数の減少で子ども同士が離れ離れになり、遊ぶ機会が少なくなる中、一緒に遊ぶ機会が増えるように、地域の方も引っ越しできる団地のような戸建て型の集合住宅として運営されていること。
- 地域外の方でも使え、子どもを見守る学童や児童図書館、子育てママ同士でお話ができたり、様々な過ごし方ができるリビングのような場所、鮎喰川コモンが併設されていること。
鮎喰川コモンは共同住宅と同じく地域の木材で作られた温かみのある平屋の施設です。
子どもが畳でゴロゴロできるスペースと子どもが本を借りられる図書スペースとデスクスペースがあります。
ママさんのための授乳室も完備。
運営者として地元の方が勤務されていますが、気さくでお喋りな方が多く、このまちの将来を担う子どもや町外の訪問者が交流できる明るい環境を作ろうという想いが感じられて素敵でした。
近くにあるベンチやトイレも無垢材で出来ており温もりが感じられますね。
正午には、お花見を兼ねて、神山アーティストインレジデンスの舞台となった大栗山の麓にある創造の森エリアにやってきました。
ここでお花見をしちゃいます。実は神山の桜は神山枝垂桜と神山桜(八重桜)が美しいことでとても有名です。
人口よりも多い3万本の桜が1300年前に植樹されてますが、神山には見事な桜スポットがたくさん存在します。
創造の森のすぐ近くに神山ビール・醸造所ストアがあり夜に飲むためのビールを購入。
お店のスタッフさんの神山のまちづくりへの熱い想いを聞きました。
こちらのスタッフさんは鮎喰川コモンズのスタッフも経験されていたようで、首都圏より移住してきた方のようです。
喉の渇きを潤すためにノンアルコールのすだちソーダを飲みました。酸っぱい!
花より団子ならぬ花よりパンですが、かまパンストアのパンに舌鼓をうちながら、家族水入らずのお花見を楽しみました。
いろいろと名残惜しいですが神山を後にします。
次の滞在地、廃棄物ゼロを目指す上勝町を目指して・・。
書籍「神山進化論」を読んで、またあらためて訪問したいと感じたのは、神山町にある2つの学校です。
一つは神山にサテライトオフィスを置く名刺ソフトSansanの寺田社長が中心になり設立した私立の高校専門学校、企業家を育てる5年間の少人数全寮制の学校で「神山まるごと高等専門学校」。
そしてもう一つは農業高校の分校がリニューアルされ、環境デザインや食農を専門的に学べる専門的高校となった城西高校 神山校でした。
神山町の地方創生戦略の中にこんな文章があるそうです。
「地域にとってもっとも重要な資源は人である。
良質な資源があっても、それを価値化する人がいない限り、そのような可能性も形となって共有されない。
人が何より重要であり、その人と人の組み合わせから、これからの地域をかたちづくる活動や仕事が生み出されていく」と。
未来を担う人材を育てる教育でも神山は最先端を突き進んでいますし、まちは今も止まらず進化が続いており、興味が尽きないまちでした。
徳島県中部の山間地域の旅は後編に続きます。お楽しみに!!
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