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皆さん、こんにちは。社長の西村直己です。3月末から3泊4日で徳島県中部の山間地域の神山が活性化した理由について知りたいと思い、上勝町、佐那河内村と合わせて3つのエリアで過ごしておりました。

後編として上勝町での滞在記をご報告させていただきます。

ゼロ・ウェイストを目指すホテル

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神山(前編参照)を出た後は廃棄物ゼロに取り組む人口1,500人の町、上勝町へ向かいました。

上勝町は町のほとんどが標高700m以上の山地に覆われていることから、その急な斜面には美しい棚田や段々畑の風景が散見されるまち。

上勝町は神山町のほぼ南方に位置するのですが、険しい山を隔てるため、東から山をぐるっと迂回して廻りこまないと行けません。

西村家は1時間ほど車を走らせ宿泊施設に到着しました。

泊まるのはゼロ・ウェイストアクションホテル "HOTEL WHY"さんです。

何やら社会的な取り組みをしているホテルのような匂いがプンプン漂っていますよね?笑

そうなんです。

このホテル、実は町営のゴミの分別所、上勝町ゼロ・ウェイストセンターに併設され、廃棄物ゼロを目指す上勝町の取り組みを体験できる超ユニークなホテルなんです。

上勝町は日本ではじめてゼロ・ウェイストを宣言した町で、町全体のリサイクル率が80%を超え、その後も80%以上をキープしている凄い町です。

そもそも上勝町がなぜ廃棄物ゼロを目指すことを宣言して取り組んでいるのか触れておきます。

昔、上勝町では何でもかんでも野焼きで処理をしていたらしく、野焼き場の周辺は悪臭と黒煙が漂っていたそうです。

それに困り、焼却炉を導入が決まりましたが、タイミング悪く法改正が決定し、せっかく導入した焼却炉がすぐに使えなくなります・・。

上勝町は少子高齢化が進む中山間地域の過疎が深刻化している典型的な町であり、財務状況もひっ迫していました。

その中でゴミ廃棄にかかるコストがあまりに大きく、財務状況の改善を少しでも行うために分別を増やしてゴミを減らす取り組みを当時の町長が決意。

数名の職員が町民を必死に説得し、多分別が実施されるようになり、その後のゼロ・ウェイスト宣言に繋がったそうです。

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前置きが長くなりましたが、ゼロ・ウェイストアクションホテル "HOTEL WHY"(以後ホテルWHYと略)に到着し、早速フロントへ。

早くも驚きの嵐です。

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インテリアが再利用のもの(?)ばかりで、瓶がシャンデリア照明にデザインされているばかりでなく、フロントのカウンターは酒屋の運搬用のケースを重ねて作っておられ、後ろには町家にあるような水屋箪笥がセンスよくコーディネートされています。

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よく見るとこのホテルの外部はあちこちに古い建具やサッシが貼り付けられ独特な雰囲気を生み出しています。

このパッチワークファサードはサステナビリティを実現する試みを象徴されているようでした。

スタッフの方が施設を案内してくださることになりました。

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施設マップもありますので、読者の皆さんにはそれをご覧いただきます。

上空からみると分かるのですがこのホテルWHYは施設の建物の外形が「?」マークになってます。

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宿泊棟は「?」の「・」のところにあります。こんなユニークな外観です。

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上部の丸いエリアはゴミステーション&ストックヤードになります。

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それに続くのが、受付(フロント)とくるくるショップです。

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そして朝食でも使えるラーニング・交流ホール、トイレ・コインランドリーを挟み企業等も使えるワークスペース:コラボレーションラボラトリーがあります。

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受付にあるくるくるショップにはゴミステーションにもってこられたモノでリサイクルできそうな食器などが所狭しと並んでいます。

そう、これら全てが上勝町内から集まった中古品です。

家具などここに置けない大きいものはストックヤードに置かれています。

持ちかえりは町外の方も可能。

どの品も廃棄される予定のモノなので無料になります。

ただし持ち帰る際はルールがあります。

秤で重量を測らないといけません。

よくみるとフロントに「443」と謎の数字がカウントされ、日々更新・表示されています。

皆さん、これ何の数字か判りますか?

ぜひ予想してみてください。

実はこの数字、このゼロ・ウェイストセンターで廃棄される予定だったものが、廃棄されずにリユースされる事になったものの月間重量だそうです。

私たちが訪れた3月30日には「443」だったので、3月度に廃棄予定だった中の、443kgのものが新たな使い手により引き取り利用されたという意味です。

これって素晴らしいことですね!

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一旦、客室に荷物を置くため入室しました。

客室は全4室。

レイクビューとマウンテンビューの部屋があり、全てメゾネットという面白いプランニングでした。

高原にあるためお庭に出ると眺望がよく気持ちが良いです。

部屋の中にも中古品がセンス良くアレンジされて使われています。

そういったものを探すのもこのホテルに泊まる楽しみかもしれません。

たとえばラグやカーテンもそうですね。

パッチワークで出来ています。

また歯ブラシなど余計な衛生器具の提供はされず、石鹸も測り渡しされます。

また洗濯排水を減らす方針から寝間着の用意も控えておられます。

廃棄物を出さないようにするための徹底した取り組みです。

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ゴミステーションの説明をしていただきました。

上勝町ではなんと46種類もののゴミの分別を徹底して実施されているのですが、それを行うのがこのゼロ・ウェイスト・センターです。

廃棄は町民の方しかできません。

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町民の皆さんはここに来て多分別をきちんと行われるのだから凄いですね。

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画像をご覧ください。

缶や瓶だけでも種類がたくさんありますね。

分別の説明で書かれている内容は上勝町ならではの創意工夫があります。

この工夫を理解できると非常に面白いです。

まず左上に「茶色びん」など分別の種類が、その下にはリサイクル先とリサイクルされた後の用途がきちんと書かれています。

このように書かれているとちゃんと分別しよう!って気持ちになりますよね。

面白いのは右上に書かれている内容です。

なんだかわかりますか?

まず「入」は再利用されることで収入になるもの。

「出」は逆に処分に費用がかかり支出になるものです。

数字はkgあたりの売却の単価、処分費の単価です。

瓶、缶、プラスチックだけでもかなりの種類がありました。

集まり難い種類の廃棄物はポイントを付与することで町民をモチベートする「ちりつもポイント」という仕組みの説明も受けましたが興味深かったです。

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翌朝の朝食は食材を弁当箱で渡されサンドイッチをセルフサービスで作って食べるという経験をしました。

こんなところでも使い捨ての容器を使わず、布の生地の弁当袋に継続して使える木箱とプラスチック製の容器を貸し出され食べたら返却します。

この場面でも廃棄物が一切出ないような工夫がされています。

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その後、実際に宿泊した部屋から出たゴミを分別する体験を家族で行い、次に生ゴミを処理するコンポスト体験をスタッフの方と一緒に裏庭で行いました。

透明な波板の蓋をあけて、低い小さな木枠があり、そこに土が入ってます。

その隅に朝食で出たミカンの皮など処理できない生ごみを埋め、蓋を締めます。蓋を閉めることで日光を採りつつ余計な水分を防ぎ、結果、腐食をするよりも早く、微生物が餌として分解を行い堆肥化される。

これがコンポストの仕組みです。

そうすることで処分にかかる余計なコストと環境負荷を減らせます。

とことん多分別を行うことで再利用を促進、廃材を活用して新たな価値にするアップサイクル、貰い手を探すリユース、自然での循環を積極的に促進するコンポスト、ホテルWHYのリジェネラティブな取り組みは私たちにとって貴重な体験で、学びにも刺激にもなりました。

古民家レストラン

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実は夕食ですが、田舎ということもあり事前に予約を取っておかないと難しいという事を聞いており、日中にホテルから車で5分ほどかかる上勝町の古民家レストラン、Restaurant&Bar IRORIさんの予約を取っておきました。

あれ?と思われる方いらっしゃるかもしれません。

車で行くとお酒が飲めませんよね?

実はIRORIさんからの送迎つきなんです。

18時にホテルWHYにお迎えにきていただきました。

飲食店を運営されているのは地元の事業者である上勝開拓団さんです。

上勝開拓団さんは庵ノ谷という集落にある古民家を拠点に、バー、グランピング、どぶろく酒蔵、音楽イベント事業を手掛け、日本一楽しいまちづくりを目指しておられる地元密着型エンタメ企業です。

私達家族をお迎えにきていただいたのは代表の仁木さんでした。

御社の取り組みはまさに上勝町のまちづくりですよね?と私が尋ねると「そんなカッコいいものじゃないですよ」「毎日必死です。笑」と仁木さん。

高齢化や人口減もあり中山間地域の人材採用も店舗の運営も容易ではないようです。

そのとき私が思いだしたのが、八清スタッフで上勝町の出身者が在籍していること。

それを話すと、仁木さんは驚いたように実は店舗スタッフにも同郷の出身者がいるのですよ!と。

日本は狭い!笑

Restaurant & Bar IRORIさんに到着しました。

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ワンコのお出迎えに娘ははしゃいでいました。

古民家は築300年の歴史ある建物。

玄関には素敵なジャズが流れる煌びやかなバーラウンジ、奥には無垢材の温かみの感じられるレストランスペースがあります。

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時間が経つにつれ地元の常連さんで賑わってきました。

私たちはピザ、チキン南蛮、川魚のフライなど地元食材で作られたお料理を食べ、ビールやどぶろくを楽しみました。

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実はこの上勝開拓団さんのIRORIには酒蔵「エルミタージュ・バレー酒ブリュワリー」が併設しており、ここで「どぶろく」を作られています。

この「どぶろく」は地元の上勝町の棚田米と山の天然水から作られているそうで甘味もありぐいぐいと飲めます。

私はイイ感じで酔って帰路につきました。

ビアBBQレストラン&ストア

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翌日チェックアウトの後は上勝ビールを醸造するビアBBQレストラン&ストアのRISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Storeさんにお邪魔しました。

この施設はホテルWHYと同じ建築デザイナー中村拓志&NAP建築設計事務所さんが手掛けておられるようで、建具パッチワークの外観や廃棄物の瓶シャンデリアなどが一緒でした。

片流れのダイナミックな建物に魅せられて、写真をたくさん撮ってしまいました。

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裏のBBQスペースはセンスが良く気持ちの良いお庭です。

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庭にあるトレーラーハウスは宿泊にも対応しておられるようで、ここで過ごせたら楽しそうですね。

お店ではテイクアウトでビールや環境に配慮したリ・ジェネティブな雑貨を購入することができます。

お店の方に上勝ビールの醸造についてお聞きしました。

上勝ビールはクラフトビールのトレンドで言うと第二世代で、かれこれ10年ほどの取り組みだそうです。

上勝ビールでは、製造過程で排出される副産物をごみにせず、コンポストの原理(微生物分解)堆肥化し、その肥料を使って栽培した麦で新たにビールを醸造されているとのこと。

こうしてできた堆肥は農業や酪農・畜産でも活用可能であるだけでなく、乳酸菌やアミノ酸を豊富に含んでいるので、病気や害虫に強い甘みのある作物を育てることができます。

この仕組みを用いた「サステナ・ブルワリー」としてこの麦を使ったビールの第一号が2022年に完成され販売されています。

私達は上勝町のクラフトビールBock to the futureを購入。

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どこかで見たことあるようなロゴデザイン笑。

自宅に帰ってから飲みましたが、軽やかで爽やかさとコクがあるボディー感が強い美味しいクラフトビールでした。

美味しいビールを飲むだけで「環境にちょっと良いコト」に繋がっているって嬉しいです。

地球規模で起こっている環境問題に対していち早く行動を起こした上勝町。

小さな町から始まったゼロ・ウェイストの活動から目が離せません。

徳島の山間地域は不便かもしれませんが、それを楽しむ心を持てるならば、都市では体験できない自然に育まれた豊かな暮らしができるのではと感じました。

神山町も上勝町も10年くらい経ったら、また訪れてみたいです。(終)

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八清社員が日本各地へ興味が赴くままでかけ、見て、聞いて、普段の業務では得られない知見を広めてきましたのでレポートします。

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