経営企画部の森が出張研修を報告いたします。
今回は「普段なかなか行くことができない場所」、「古いまち並み」、「観光地」というキーワードをもとに、行先を考えてみました。
この3つが実現する非日常の場所を求め、「離島」を選択。離島への旅路は天候に左右されやすく、万が一戻ってこられないかもしれないという懸念を抱き、「行きやすい離島」とは...と考えながら選んだ場所はこちら。
離島の中でも前から行ってみたい場所の一つでもあった長崎県・五島列島を行先に決めました。
東シナ海に浮かぶ152の島々から成り立つ五島列島。
遣唐使船が行き交う時代、唐へ渡る前の最後の寄港地として風待ちをしていた場所でもあり、当時の朝鮮や中国との交易の拠点でもありました。
「古事記」や「肥前国風土記」にも五島列島の記録が残っており、古い歴史を持つ島です。
また、江戸時代には潜伏キリシタンの移住の地として、カトリック文化が根付いている場所でもあります。
近年だと2018年7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産に登録され、また2021年の朝の連続テレビ小説「舞い上がれ!」の舞台にもなり、メディアで取り上げられることも多くなりました。
日本には数々の離島がありますが、その中でもまだまだ知られていない場所が多くある五島列島。
今回はいくつもの島々から「福江島」、「小値賀島」の2島に行ってまいりました。
この記事では、これまで受け継がれてきた歴史と観光の視点で「福江島」、暮らしの視点で「小値賀島」をご紹介します!
本題に入る前に...
私は雨女です。
冒頭で「離島への旅路は天候に左右されやすく...」と記載していますが、見事に悪天候に恵まれ(笑)、天候に左右されてしまった5日間でした。
フェリーの窓から空と海が交互に見えるほどの大きな揺れの中向かいましたが、そんな中でも素敵な経験と景色を堪能できましたので、ぜひ最後まで写真とともにお楽しみください!
福江島で歴史と文化を体感する
長崎港から福江港はフェリーで約3時間。
福江島は五島列島最大の島で、江戸時代には五島藩として福江城が築かれた場所としても有名です。
まず最初に訪れた場所は武家屋敷通り。
福江城(石田城)の南に位置する武家屋敷通り。
この通りは長崎県の「まちづくり景観資産」としても指定されており、貴重な歴史的遺産が残っている場所です。
江戸時代の中級武士のお屋敷として利用されていた建物が軒を連ねる歴史あるまち並みとなっています。
まず、この通りを歩いていると面白いものを目にしました。
写真の石垣塀に注目してみてください。
この通りの石垣塀の特徴は「こぼれ石」と呼ばれ、福江島にそびえ立つ鬼岳が噴火した時に流れ出た溶岩が冷えて固まってできた石で作られたものです。
「こぼれ石」は、誰かが侵入してきた際にその石がこぼれ、その音で侵入してきたことが分かるという仕組みになっており、時には石つぶてなどの武器にも使用することも考えられていたとか。
たしかによじ登ってみると今にも崩れてきそうで、侵入しづらいですね...(笑)
石畳の路面を歩いていく先に見えてくるのは「福江武家屋敷通りふるさと館」です。
市指定史跡である福江武家屋敷跡に遺構を活かして作られた観光施設となっています。
お土産物の購入はもちろん、喫茶スペースもあり、観光の小休憩に活用することができます。
私が訪れた時は椿まつりが行われていた時期でしたので、敷地内でたくさんの素敵な椿を鑑賞することができました。
このふるさと館の向かいにも素敵な建物が!
次に向かった先は「山本二三美術館」です。
五島市出身の美術監督として人気ジブリ映画に携わった山本二三氏のアニメーション背景画や五島を描いた作品が展示されている施設です。
1897年に建てられた市指定有形文化財の武家屋敷「松園邸」を改修して使用されています。
この建物は武家屋敷通りの中で唯一当時の姿のまま残されている建物です。
山本二三美術館
※館内撮影禁止(中庭・雲のアトリエ・空と雲の部屋は撮影可)
カラリト五島列島
今回宿泊したホテルは「カラリト五島列島」です。
2022年8月に企業の保養所だった建物をフルリノベーションし、新たに3棟増築した全室オーシャンビューのホテルとしてオープンしました。
近年五島列島はリゾートアイランドとしても注目されており、移住者も増えてきている場所でもあります。対応していただいた方は東京から移住されたスタッフの方で、「スタッフも移住してきた者が多いです!」とのお話を伺いました。
宿泊した際の夕食はこちらのホテルでいただくことにしました。
シェフ考案の想像をかき立てるコースメニュー
五島の食材の魅力をスタッフさんが丁寧に説明してくださるところが何よりも魅力のひとつです。
ひとりでお食事を楽しみましたが、スタッフさんのお陰で有意義な時間を過ごすことができました。
室内は白を基調としたしつらえになっており、ベランダからは海が一望できます。
電源付きの長いカウンターテーブルがあるので、ワーケーションとしても利用できます。
朝は早起きして、鳥のさえずりと心地よい木々の香りの中でコーヒーを飲みながら海を眺める時間はまさに「非日常」ですね。
なかなか都心部では経験できない時間を過ごし、長い移動時間の疲れがすっきり解消されました。
部屋に戻ってパソコンを開き仕事も。
ワーケーションにも最適です!
カラリト五島列島
小値賀島
翌日向かった先は五島列島の北部に位置する小値賀島(おぢかじま)。人口は約2,200人の農業と漁業が盛んな小さな島です。
この島を知ったきっかけは、とあるニュース番組の公式Youtube動画でした。
その動画を見ていくと「外国人が外国人を呼ぶ島」として紹介されており、ある1軒の宿でのワーキングホリデーをする外国人の方がSNSで島の魅力を発信し、また新たに外国人を島に呼んでいくという非常に興味深い内容でした。
また、「日本で最も美しい村」としても選定された小値賀島。
国内外からこんなにもファンがいるなんて!
これは気になる...と思い、小値賀島行きを決定。
滞在していた福江島から小値賀島まで博多港行きのフェリーに乗船し、約3時間。
フェリーターミナルに降り立つと、聞こえてくるのは風の音と時々走っている車の走行音のみ。
普段はなかなか自然を感じ取ることのできない車の往来が激しい都心部で過ごしているので、新鮮な気持ちでした。
少々心細い気持ちもありますが、せっかくなので、フェリーターミナルから徒歩で宿へ向かうことにしました。
島宿御縁
さて、今回お世話になる宿泊施設はご家族で運営されている「島宿御縁」さん。
先ほど、書かせていただいたYoutube動画で知った宿泊施設です。
オーナーさんもYoutubeチャンネルを持っておられ、小値賀島の魅力を発信されています。
ここは国内だけでなく、海外からの観光客が多く訪れ、またワーキングホリデーで来日する外国人をスタッフとして募集しており、メディアでも取り上げられている注目の宿泊施設です。
玄関に入ってまず目に入るのは、様々なアクティビティの紹介やお客さんが自分の出身国・都市の場所にシールを貼っている世界地図、オリジナルグッズの展示です。
世界地図に貼られているシールを見ると、世界各国からお客さんが来られていることがよくわかります。
また、スタッフの方が企画されたオプションツアーも実施されています!
この島での移動手段はレンタサイクルや原付、本数は限られていますが町営バスです。
こちらの宿では電動自転車をレンタルできるので島内の移動も便利です。
夕食は館内のダイニングで「島の家庭料理」を楽しむことができます。
レストランや居酒屋とは違い、まさに島で暮らすように過ごすことができる体験です。
獲れたてのヒラマサや五島うどんなど、五島の食を堪能させていただきました。
夕食時は地元の方の食堂にもなっており、和気あいあいの雰囲気に包まれている様子も印象的です。
私は今回一人で宿泊しましたが、スタッフの方も優しく声を掛けてくださり、あたたかいアットホームな空間でした!
島宿 御縁
ちなみに、小値賀島のライブカメラがYoutubeでライブ配信されているのですが、そのカメラはこの宿に設置されており、この宿から見える景色そのものを楽しむことができます。
オーナーさんのYoutubeもあわせて、ぜひご覧ください!
笛吹エリアの歴史的景観
到着した日は悪天候のため、当初計画していた予定が崩れてしまったのですが、翌日は幸運なことに快晴に恵まれたので、電動自転車をレンタルし、古い建物が残るエリアを散策してみました。
(もしかすると、私は晴れ女なのかもしれません...(笑))
この笛吹エリアは伝統的な木造建築が軒を連ね、細い入り組んだ路地に並ぶ古民家といったどこか懐かしさを感じさせてくれる日本の原風景が残っています。
小値賀町では、まちの活性化のためにその景観を観光ツールとして、旧家を活かした古民家再生事業が盛んに行われています。
古民家レストランや古民家ステイもこの島には多く存在しています。
今回私は古民家カフェと喫茶店に入ってみることにしました。
地元ではないけれど、なんだか地元にいるかのような心地よさを感じることができます。
店を出てまた迷路のような小道を進んでいくと、向こうには海が広がる景色が見えてきます。絵画を彷彿とさせるかのような景色に思わず息を呑んでしまいます。
2つの島を訪れて
一言で言い表すと「あと1ヵ月滞在時間がほしい!」と思ってしまうほど、魅力あふれる建物、まち並み、そして歴史と文化に魅了された私がここにいます。
特に小値賀島では「古民家再生事業」でまちの活性化に島ぐるみで取り組まれており、そのことを古民家・町家を取り扱う不動産業者の一員として、もっと深堀りして知りたいという気持ちが沸いてきました。
実際に初めてまちに訪れて、知って、さらに興味が沸いてくる...私のようなリピーター希望者を生み出す秘訣がこのまちには散りばめられているのではないでしょうか。
その秘訣を探るべく、次回は深堀りバージョンとして、またぜひ訪れたい場所です。
最後に小値賀島でのベストショットを読んでいただきました皆様にお届けして、記事を締めくくらせていただきます!
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八清社員が日本各地へ興味が赴くままでかけ、見て、聞いて、普段の業務では得られない知見を広めてきましたのでレポートします。
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