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社員それぞれが行きたいところへ出かけ見たいものを見て、体験する出張研修。

日常の業務とは違うところでインプットする"自由研究"として、3度目となる2024年度もレポートを記事として公開させていただきますので、しばしお付き合いくださいませ。



建築における「美しさ」とは。

そんなことをこの仕事をしていると考えることがよくあります。

この研修にて何か掴むものがあればと思い、おそらく日本で最も名建築と呼ばれるものが多いであろう、大都市「東京」へ行きました。

訪問したのは「葛西臨海公園」。

公園内にある「葛西臨海水族園」がリニューアルを予定しているとのことだったので、それまでに一度見ておきたいと思い伺いました。

設計は建築家、谷口吉生氏。

金沢にも谷口吉生氏設計の鈴木大拙館という建物があるのですが、それを見たとき「なんだこの美しい空間は、、、」と衝撃を受けました。

まず向かったのは葛西臨海公園展望広場にある「展望レストハウス クリスタルビュー」。

ここにいきつくまでのアプローチが非常に長く、そのはるか先に「展望レストハウス クリスタルビュー」があるという配置です。

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他視界に入るものはほとんどなく、この建物に吸い込まれていくようなアプローチです。

この建物自体に透過性があり、アプローチの続きになる部分に美しく開口が取られています。

まるでアプローチがこのまま海に伸びていくようです。

何だかこの建物が神社の鳥居のような神聖な何かのようなものにも思えます。

まるで違う世界に繋がっていくかのような、、

心が澄み切る美しさを感じました。

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通常このような真っ直ぐ伸びる空間をつくるときは路盤の仕上げは垂直方向に仕上げて、より垂直方向の伸びを出すような形としたくなってしまうのですが、このアプローチは平行方向に仕上げがされていました。

これはこの長いアプローチで垂直方向に仕上げをすると、伸びるというより伸びてしまい過ぎるということで、平行に仕上げたのでしょうか?

その後「葛西臨海水族園」へも向かいました。

中央部に浮かぶ半球状のドーム。

その奥には水盤があるのですが、水平面がインフィニティプールのように端が視界に入らないようになっています。

クリスタルビューのようにここも、何か違う世界へいざなわれていくような、そんな美しさがありました。

水族館でありますが、建物のボリュームとして視界に入るのはこの半球状のドームのみになっていまして、それが広い空間にポツンとあるような配置です。

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これもまたなんとも神秘的です。

そしてどれも息を吞む美しさです。

理由は分からないが、何となく居心地が良く、心が澄み切る。

それが建築における「美しさ」の正体?なのかなと思いました。

きっと私が気付いていないギミックがまだたくさんあるのだろうかと思います。

きっと想像もつかないほどのスタディを重ねたのだと思います。

我々の仕事ではどうしてもスピード感が大事になってきますので、ここまで真剣に細部まで落とし込みながら、また莫大な予算の中、建築について考えられるのがとても羨ましいです。

いつか機会があれば一つのプロジェクトのみに没頭できる機会を得てみたいものです。

建築と他業界の横断的あり方

最近リノベーション市場が活性化しており、不動産の仲介+リノベーション工事を一括して請け負う会社がちらほら増えてきている印象があります。

不動産業と建設業は近しくも別の業界で、意外とどちらもの知見がある人は少ないものです。

このような、他業界と横断的にあろうとする企業に個人的に興味がありまして、代々木上原駅から徒歩7分程のところにある「社食堂」さんへ伺いました。

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この「社食堂」は建築設計事務所であるSUPPOSE DESIGN OFFICEさんの事務所に併設されている飲食店です。

併設というより空間的隔たりもなく、設計事務所と飲食店が完全に一体的な空間になっていました。

SUPPOSE DESIGN OFFICEさんは、谷尻誠氏と吉田愛氏が共同代表をされておられる設計事務所で、この「社食堂」の他、不動産業などかなり横断的に展開をされておられます。

「社食堂」は「多忙なスタッフがコンビニ弁当やインスタント食品ばかりで、体調を崩さないように体にいいものを食べてもらいたい。」という思いと「仕事以外でも気軽に事務所を訪れてほしい」という思いがあり、社員食堂を地域へ開くこの形へ落ち着いたようです。

メニューは日替わり定食に、カレーや親子丼等。

飲めてはいないのですが、おそらくこだわっているであろうコーヒーなどのドリンクメニューも豊富でした。

そしてアルコールメニューも。

当然お味は美味しかったです。

社員食堂の領域は完全に超えています。

八清にもこんな社員食堂があればいいな、、、

実際に私が訪れた時も、吉田愛氏がすぐ隣で打ち合わせをされておられ、谷尻誠氏が事務所の奥に鎮座されておられました。

設計事務所というと普段訪れるようなところではないかと思いますので、この距離感はかなり設計事務所というものを身近に感じるものがありました。

例えば自分が家を建てようと思ったとき、ハウスメーカーや地場の工務店へ依頼をされる方がきっと数としては多いのでしょうけれど、このような形にすると「設計事務所に依頼するという手段もあるんだ!」と思ってもらいやすくなるのだと感じました。

まさに一石二鳥、いや一石三鳥ですね。

直接お話を伺いたいな、、、と企んでいましたが、2人いる子どもが2人ともご機嫌ナナメで、かなりうるさくしてしまっており、話かけることも申し訳なく早々に退散をすることとなりました。

しかし、実際にこのように体験ができたのはいい機会でした。

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ただもちろんこうやって横断的にあることに対して、弊害もあるのかなと思いました。

例えば事務所としてはあまりないボリュームの音が常にし続けていたので、これは人によっては少し疲れる環境かもしれません。

でも私はデメリットがあってもそれ以上にメリットがあればそれでいいのだと思います。

その方が刺激的なものに出会えて面白い気がします。