今回の出張研修では以前から気になっていた長野県松本市にある松本十帖に行ってきました。
松本十帖のホームページによると松本十帖は「エリアリノベーションのきっかけを作ること」とあります。
「エリアリノベーション」とは何か、なぜ「きっかけ」なのかを学んできました。
松本十帖とは
松本十帖は長野県松本市浅間温泉にある貞享3年(1686年)創業の歴史を持つ老舗旅館「小柳」の再生プロジェクトの総称です。
十帖とは「10の物語」という意味だそうです。
松本十帖にはリノベーションされた2つのホテル、「松本本箱」と「ホテル小柳」があります。
今回は「松本本箱」に宿泊しました。
松本十帖
松本本箱にチェックイン
松本駅から松本十帖までは車で30分ほど。
チェックインはホテルの近くにある「Cafe おやきと、コーヒー」で行います。
なぜホテルでチェックインをしないのか。
ここにもエリアリノベーションとしての工夫があります。
歌舞練場をリノベーションした建物で長野名物のおやきとコーヒーなどの飲み物が楽しめます。
2階は踊りの練習に使用されていたことから中心部には柱がなく、天井が高い広々とした空間です。
おやきを食べながらホテルの説明を聞き、チェックインを行いました。
おやきが具沢山でとても美味しかったです。
来て早速、松本の良さを体感できました。
チェックイン後は3分ほど歩いて松本本箱に向かいます。
ホテル以外の場所でチェックインを行うことで散策しながらホテルへ向かうことができます。
宿泊客が歩くことで浅間温泉の活性化につなげたいという想いからこのような運用をしているそうです。
松本本箱のリノベーション
チェックインのあとは松本本箱へ。
元々の建物の良さを活かしたリノベーションがされています。
壁や柱はコンクリートの躯体が見えており、天井もリノベーション前は下地であったデッキプレートが仕上げとなっています。
ボンドや施工時のメモが残されていて建物の歴史が感じられます。
浴室は源泉かけ流しの半露天風呂です。
松本の緑を眺めながら解放感溢れるバスタイムを過ごすことができました。
松本本箱でのおこもり体験
松本本箱は、おこもり宿でもあります。
「本箱」の名の通り大量の本があり、本箱内でおこもり読書を楽しめます。
お部屋には持ち帰りOKのオリジナルタンブラーがありますが、おそらくおこもり読書用に準備されているのでしょう。
お茶やコーヒーを入れておこもり準備完了です。
かつて大浴場だった場所が「本箱」となっています。
あらゆるジャンルの本がずらりと並んでいる空間は圧巻!
ここでも昔の浴場が活かされており、洗面台や蛇口が残っています。
浴槽の中で本を読むという特別な体験ができます。
キッズコーナーは本棚が迷路のように配置されています。
子どもたちが本を読んだり浴槽のボールプールで遊んでいました。
キッズコーナーの照明には銭湯で見かける桶が使われていて遊び心が感じられます。
本棚の合間にはいくつかの「おこもり空間」があります。
1畳ほどの空間にクッション、カウンター、ブックライトがあり、自分だけの読書時間を楽しめます。
夜になると「オトナ本箱」の暖簾がかかり、長野県のお酒を飲みながらオトナおこもり読書ができます。
何時間でもこもれてしまいそうな小さな特別空間でした。
お部屋の中にもおこもり空間があります。
宿泊した部屋には2段ベッドのように2つのおこもり空間がありました。
ここでも飲み物や音楽を聴きながらゆっくりと読書を楽しめます。
今回は1泊のみでしたが、読みたい本がたくさんあり読み切れずでした。
読書をしながら連泊するのもよいなぁと思いました。
今後が楽しみな浅間温泉
翌朝はチェックアウトをして隣のホテル小柳内にある「浅間商店」へ。
長野の物産品や松本十帖オリジナルグッズが販売されていてお土産を買うのにぴったりなお店です。
長野だけではなく日本の良いものに出会えるお店です。
商店内には「ALPS BAKERY」も併設されており美味しいドーナツやパンを買うことができます。
訪れてみて旅館のみのリノベーションではなく、周辺施設もリノベーションして宿泊客がまち全体を楽しめるように設計されていることを感じました。
これがエリアリノベーションということなのだと思いました。
ただ、松本十帖以外の施設は古いところも多く、訪れたい場所が少ない状況です。
松本本箱でおこもりするのも楽しいのですが、もっとまち全体がリノベーションされてまち歩きが楽しくなればより魅力的な温泉街になるのだろうと思いました。
浅間温泉のリノベーションはまだ始まったばかり。
だから松本十帖は「きっかけ」と呼んでいるのだと思います。
松本十帖の取り組みが広がり、浅間温泉がもっと楽しいまちになることを願いつつ、また数年後に訪れたいなと思いました。
文化芸術のまち 松本
松本十帖の他には松本市美術館、まつもと市民芸術館に行きました。
松本市民美術館は松本市出身である草間彌生さんの作品を見てエネルギーに圧倒されました。
まつもと市民芸術館は伊東豊雄氏が設計した劇場です。
市民に開放されていて無料で入れるエリアも多く、勉強スペースもありました。
壁面から差し込む光と建物の曲線が美しくいつまでも見ていたい空間でした。
帰京する前にレンタカーで長野市へ。
善光寺の隣にある長野市美術館にも行ってきました。
善光寺を含めた周辺環境と一体となった建築は解放感もあり素晴らしかったです。
東山魁夷の作品とともに建築も堪能しました。
魅力が多い長野県。
またゆっくり訪れたいと思います!
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