はじめまして。プロパティマネジメント部の高橋と申します。
これまで、個人的にシェアハウスやシェアオフィスをはじめ、様々なシェアによる場の運営やコミュニティマネジメントをしてきました。
この経験を生かし、八清ではおもにシェアハウス、シェアオフィスを含めた賃貸管理業務に携わっています。
そこで、今回は「シェア」というキーワードについて書いてみたいと思います。
「シェアリングエコノミー」という未来
シェアハウス、シェアオフィスはもとより、カーシェアやちょっと変わったところでいけばワークシェアなど、近年、「シェア」という言葉をあらゆるところで目にするようになってきました。
ただ、一口でシェアと言っても、空間のシェア、物のシェア、時間のシェア、体験のシェア、技術のシェアなど実に様々な「シェア」が存在します。
「シェア」という言葉を辞書で調べると、以下のように書かれています。
- 分けること。分配。分担。「利益を投資額に応じて―する」
- 共同でもつこと。共有。「ルーム―」「情報を―する」
- 「市場占有率」に同じ。
(出典:デジタル大辞泉)
3はビジネス用語ですので、ここでいうシェアは1と2の意味合いとなりますね。
「シェアリングエコノミー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日本語では共有経済(共有型経済)と訳すようですが、上記のようなシェアをベースとするビジネスや経済のことを最近ではこう呼ぶこともあります。
近年、話題になっているシェアビジネスには、空いているスペースや、部屋が空いている期間に他人に貸すためのサービスAirbnb(最近では簡易宿泊所やゲストハウスなど宿泊貸しのための施設も掲載されています)、自分の空き時間と車の空いているスペースをタクシー代わりに提供するためのサービスUber、自宅などの空いている駐車スペースを一時的に他人に貸すためのサービスakippaなどがあります。
これらのサービスは特に海外ではものすごい勢いでシェア(これはシェア3番目の意味)を拡げています。
シェアリングエコノミーの代表格であるシェアハウスは、シェアハウスのポータルサイト、ひつじ不動産によると、2008年時点で429軒だった国内のシェアハウスが2013年では1,378軒と年率30%程度で増加しているそう。
(参照「ひつじ不動産」)
今後もこの流れは続いていく、もしくは加速していくと考えられています。
弊社でもこうした時代の流れに呼応するように、居住用物件を所有者が利用されない期間に他の方へ貸し出す「京別邸」というサービスを展開しています。
社会は「シェア」でできている
実は、シェアによるビジネスや文化自体は決して最近になってできたものではなく、もともと私たちの暮らしの中にも普通に存在しているものです。
冒頭でシェアビジネスの例をいくつか挙げましたが、身近なわかりやすいところでは、レンタカー、レンタサイクル、レンタルビデオなどもシェアビジネスです。
ビジネス以外では、図書館や学校などの行政施設や行政サービス、バスや電車など公共交通機関などはシェアサービスです。
さらには、社会や国家はルール(制度)やその国土、また税金という形で費用を出しあい生活インフラをシェアしているということができます。
極論ですが、地球自体があらゆる存在によってシェアされているわけです。
そう考えると、シェア度合の多少はあれど、世の中では実に多くの物事がすでにシェアされていて、むしろシェアすることなしには生きていくことすら非常に困難であることがわかります。
「シェア」の理由
では、なぜ「シェア」が改めて注目されるようになってきたのでしょうか。
それにはいくつかの複合的な理由が考えられますが、最も大きな要因はやはりインターネットの普及だと考えられます。
Airbnb、Uber、akippaなどのシェアビジネスに共通するのはSNS(ソーシャルネットワークサービス)であることと、一個人が借りる側としてはもちろんのこと、貸す側としても気軽に利用可能なプラットフォームサービスであること。
これらのサービスは見ず知らずの他人をリアルタイムに結び付ける必要があるため、インターネットの利用が不可欠です。
シェアビジネスとインターネットは非常に親和性が高いということです。
インターネットの普及によって、世界レベルの市場でシステム化されたサービスを提供できるようになったことが、改めてシェアサービスが注目されるに至った理由だと考えられます。
もともとシェアサービスへの需要はあり、テクノロジーの発達によってシステム的に供給が可能となったと考えることもできるかと思います。
また、それ以外のシェアビジネスについても、やはりインターネットの普及がニーズのあるところへサービスを届けるための大きな後押しになったと考えられます。
こうしたシェア型の共有経済は、見直されつつある資本主義経済と並立する新しい経済の仕組みとしても注目されており、ある本には次のような記述も見られます。
「協働型消費(シェア)とは、個人の欲求がコミュニティや地球のニーズと調和するような経済・社会のメカニズム」
(レイチェル・ボッツマンとルー・ロジャーズ『シェア〈共有〉からビジネスを生み出す新戦略』より)
また、「シェア」が注目されるに至ったそのほかの理由としては、資源の限界や地球環境への配慮、費用負担の抑制、シェアハウスに代表されるように多くのシェアサービスに伴うコミュニケーション(による出会い)などもあるかと考えられます。
システムが「シェア」の在り方を変えていく
とはいえ、シェアも当然ながらいいことづくめではありません。
シェアビジネスの中には、個々人同士が直接やり取りを行うようなサービスも少なくありません。
その場合、コンビニではなく地域の昔ながらの個人商店に行くような感じになることが多く、システム化されていない予測不可能なコミュニケーションをとる必要があったりもします。
こうしたコミュニケーションは、常に不安が付きまといますし、時と場合によっては煩わしくも感じてしまうものだと思います。
ただ、そうした不安や煩わしさを解消してくれるのもまたインターネットの役割と存在意義でもあります。
AirbnbやUberなどのサービスは上記のような不安を解消するため、パスポートやメールアドレス、電話番号、GoogleやFacebookなどのSNSによる多種の認証を用意してあり、またレビュー制度によって提供者がおおよそどういった人物か事前に把握できるようになっています。
そうしたシステムによって、不安やリスクを排除していくことができるのです。
また、「akippa」などの単純な空間の時間貸しサービスでは、お互いが顔を合わせる必要がないほどにシステム化されています。
「シェア」のススメ
さて、ここまでいろいろと書いてきましたが、やはり僕自身は、シェアのある暮らしをおすすめしたいと思います。
特におすすめしたいのが上記でデメリットとして挙げた予測不可能なコミュニケーションのあるシェアです。
その理由を一言で言えば、「思いがけない出会いがあるから」に他なりません。
システム化された社会では予想外の出会いがどんどん減っていきます。
そして、この流れは今後ますます強くなっていくと思います。
何も変わらない安定した安心の日常。
それも大切だと思いますが、それだけでは自分の持つ世界が固定的な狭いものになってしまいます。
やはり、暮らしには"変化"もあって欲しいですし、変化を楽しむ心のゆとりを持って欲しいと思うのです。
予測不可能なコミュニケーションからこそ、思いがけない出会いが生まれます。
そして、数多ある「シェア」の中でも、最もシェアの度合いが強いのがシェアハウスではないかと僕は思います。
シェアハウスは、住まいをシェアすることによって生活をシェアします。
まさに空間、物、時間、体験、技術、etc.といった様々なものをシェアすることになります。
そんなシェアハウスは、八清でも主要企画物件のひとつです。(八清のシェアハウス)
また、昨年9月にオープンした働く場をシェアする「コワーキングスペース」も運営しています。(コワーキング∞ラボ京創舎)
そこで起こる予測不可能なコミュニケーションから生まれる出会いや可能性については、次回の記事でお話ししたいと思います。
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