観光目線とはまた違った京都を、まちブラしながらご紹介します。
暮らす視点で散策すると、また新たな京都の魅力に出会えますよ。
この秋は緊急事態宣言も解除され、多くの観光客が京都へ戻ってきました。
コロナウイルスの感染拡大も落ち着きつつある中、京都の紅葉を見に来た方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
やっぱり京都は混んでいるな~と感じた方へ、本稿では京都観光の穴場かもしれないおすすめの紅葉スポットなどをご紹介したいと思います。
今回は八清で多くの物件を取り扱わせていただいている、左京区の吉田山・吉田神社・京都大学周辺をまちブラしてきました。
重森三玲庭園美術館
まず最初にお邪魔したのは、京都大学の正門からほど近い「重森三玲庭園美術館(しげもりみれいていえんびじゅつかん)」です。
重森三玲(しげもりみれい)氏は、昭和を代表する人気の庭園家、庭園史研究家として有名ですが、多岐にわたる才能を発揮し、今なお作品が愛され残っています。
写真左手の立派な門の奥に見える土塀部分が今回お邪魔した庭園美術館です。
重森三玲庭園美術館前の道を奥に入って行くと吉田山があり、紅葉に彩られた大きな鳥居が飛び込んで来ます。
この辺りはかつて吉田神社の神官の家々が建ち並ぶ参道で、前の道は江戸中期まで神社の旧表参道だったそうです。
この重森三玲氏の旧宅は、吉田神社の神官の邸宅だったものを譲り受けたもので、江戸時代に建立されました。
重森三玲氏は、1896年(明治29年)岡山県上房郡吉川村生まれ。
15~16歳でいけばなと茶の湯を習い、18歳で茶席を建立(天籟庵 ていらいあん)。
21歳の時に日本美術学校入学。
日本美術に傾倒しながらもヨーロッパの斬新な美術、思想に影響を受け、「文化大学院」を設立。
1923年(大正12年)関東大震災の為帰郷、1929年(昭和4年)京都へ、1934年(昭和9年)室戸台風により社寺等の文化財に甚大な被害が出たのをきっかけに庭園保存維持の為、実測図、写生図、写真等全国およそ250庭の実測調査を開始し、1939年(昭和14年)本格的に日本庭園作家デビューを果たしました。
代表作には東福寺方丈の東西南北四面に庭園を創作した「八相の庭」などがあります。
日本庭園家の他、茶道、花道の研究家としても活躍しました。
2005年、旧宅の書院・庭園部を美術館として公開。
現在館長を務めている三玲氏のお孫さんにあたる重森三明さんに今回ご案内頂きました。
重森三玲庭園美術館は、静かな住宅街にあります。
隣接する招喜庵(旧宅西側)の築地塀にそって門をくぐり抜けると、旧宅の玄関先にも立派な日本庭園があり気分も高揚、美術館の主庭への期待感が高まりました。
脇の庭園入り口から早速波型にかたどられたモダンで美しい石畳を踏み越えて、枯山水の砂利を間違えて踏んではいけない緊張が走りました。
まさかこんなに間近で拝見出来るとは思ってもおらず、庭園を体全体で体感取材させて頂きました。
最初に案内され座らせていただいた貴人席から見学。
障子戸がまるで額縁のように、静けさと輝く秋の日差しに彩られ日本庭園の風景が目に飛び込んできて、圧巻でした。
美しい・・・まるで時が止まったようで、ずっと見ていられます。
人の手で美しく計算されたはずの庭園なのに、まるで大自然が作り出した産物のような迫力をまとっていました。
日本家屋も素晴らしい技術の結晶です。
イサム・ノグチの楕円形の提灯は、今までに見たことないくらい大きなものでした。
床の間に飾られた掛軸は、館長作の水墨画で、現代庭園の創作に通じる作品。
その掛け軸の下にある、小さな木・石・盆栽の作品は、現代アートで床を飾る庭が表現されていて、掛軸とのリンクもとても面白いものです。
新しい物と古い物、掛け合わせる事によって、作品が共鳴し、進化し、無限の広がりを感じます。
その後、晩年三玲氏によって設計された茶室(好刻庵)を拝見し、直筆の扁額や自作の襖絵、照明も八角形を軸にデザインされていて、多才な芸術家だったことを感じさせます。
現代人が見ても、モダンで味のある茶室にすっかり魅了されてしまいました。
重森三玲庭園美術館は、釘一つにしても、現代建築ではない技法が様々に施されている登録有形文化財です。
昔の人の知恵は素晴らしく、力強く、美しいものでした。
目が肥えた方には、ぜひ訪れていただきたいおすすめの美術館です。
破損防止のため人数制限があり、完全予約制となっています。
気になった方は確認してみてください。
重森三玲庭園美術館
京都府京都市左京区吉田上大路町34
吉田山の山頂にある人気カフェ「茂庵」でひと休み
京都大学に隣接する吉田山(神楽岡)の山頂には、森林の中にひっそりと佇むように建っている人気のカフェ「茂庵(もあん)」があります。
この素敵カフェへ行く方法は4つのルートがありますが、今回は吉田神社コースから登りました。
秋の紅葉を楽しみながら軽いハイキングをしたら、お目当ての茂庵に到着。
ここでランチやデザートをいただきながらひと休み。
人気カフェの茂庵ですが、この日も紅葉シーズンということで大変混み合っていました。
温かいあんこ餅サンドと冷たいアイスが絶妙にマッチ。
疲れた体に甘さが染み渡ります。
暖かみのある木造建築で、店内は四面がガラス窓で囲まれ、まるで緑の中に包まれているよう、癒しの空間が広がっていました。
カウンター席からの景色は絶景!京都のまち並みが一望出来ます。
窓際に座れた方はラッキーですね!
まちと反対側も素敵な雰囲気です。
吉田山を少し登っただけでこんな森林浴ができるなんて・・・。
建物の外に出るとこんな絶景。
写真には写っていませんが、この森の奥は大文字山です。
大正時代に建てられた素敵な「茶室」。
当時は8席もあったそうですが、現在でも2席を残していて、お茶のお稽古(月謝制)もできるそうですよ。
茂庵
京都府京都市左京区吉田神楽岡町8
カフェ営業時間 11:30~18:00(17:00ラストオーダー)
定休日 毎週月曜日 / 火曜日(祝日の場合営業)、年末年始、夏期休業 8/17~8/31
吉田山周辺と吉田神社
吉田山は、神が集いし岡「神楽岡」(かぐらおか)と呼ばれ、昔から親しまれてきました。
歴史を辿ると、吉田山を中心に周辺地域のまとまりが見えてきます。
江戸時代には四方の風景が良く遊宴の地として、沢山の人が訪れています。
現在でもその美しい山容は「東山三十六峰」の12峰目に数えられており、京都大学がある学生のまちとして、吉田山を守りながら発展してきました。
また、吉田山ふもとの吉田神楽岡町には大正時代の家並みも今なお残っており、情緒を感じられます。
貞観元年4月(西暦859年)平安時代には、「京の都の鎮守神」として吉田神社が創建されました。
普段は季節の移り変わりを楽しみながら静かに散策出来る場所ですが、吉田神社の2月の節分祭は、室町時代から続くお祭りで、多くの露店が並びひときわ賑やかになります。
厄除祈願に約50万人もの参拝者が訪れ、この節分祭の3日間は、境内の大元宮内院を特別参拝することもできますよ。
吉田神社には、
「厄除、開運の神」
「学問の神」
「女神」
「良縁、夫婦和合」
「水徳の神」
「包丁の神」「料理飲食の祖神」
「菓子の祖神」
「商売繁盛」
「学業成就」
「海の神」「山の神」「知識の神」
「吉田町産土神」
「神楽岡町地主の神」
とお社が沢山あります。
ご祈願したい神様はいらっしゃいましたか?
人々の為に発展し、古来から多くの人に愛されている集いの場なんですね。
時代を超え、伝統を受け継ぐ京都らしいまち並みや暮らしがそこには沢山残っていました。
吉田神社
京都府京都市左京区吉田神楽岡町30
アクセス:206系統市バス「京大正門前」下車、徒歩5分
吉田にあるマンスリーで京都暮らしを体験
京町家1軒を丸ごと月単位で借りることができる「京別邸」。
なかでも、最大6名が滞在できる、5DKの広々とした1軒がここ吉田にあります。
ご紹介している吉田周辺の散策はもちろん、少し行けば銀閣寺や哲学の道への散策も楽しめる場所です。
リビングやダイニングキッチンからは美しい日本庭園を望むことができ、心安らぐひとときにしてくれます。
観光や大学関係者の滞在先としても人気で、しばしの京都暮らしを体験するにはぴったりです。
阿闍梨餅
吉田神社にお詣りしてから出町柳駅へ向かう途中、京都でも有名で人気のお菓子のひとつ、阿闍梨餅(あじゃりもち)の本店にお邪魔しました。
阿闍梨餅を製造している「京菓子匠 満月」の創業は江戸末期、安政三年(1856年)。
阿闍梨餅の満月本店・本社は、出町柳駅から程近く、静かな住宅街にひと際立派な美しい和風建築の建物がそれです。
「阿闍梨餅」「満月」「京納言」「最中」一つ一つが熟練職人から受け継がれた技術による高品質なお菓子に仕上がっています。
中でも人気商品の「阿闍梨餅」は、皮はしっとり、もちもちと食べ応えある独特な食感で、香ばしく甘い香りが懐かしい味わいです。
絶品のあんこが口いっぱいに広がって、幸せな気分になります。
お茶のお供にぴったりです。
1個から購入出来るのも嬉しいポイント!ですが、1個では止まりません。
老舗の伝統の味は、お土産にも喜ばれる一品です。
阿闍梨餅本舗 満月本店
京都府京都市左京区鞠小路通今出川上ル
営業時間:9:00~18:00
定休日:水曜不定休
京都市左京区の吉田山・吉田神社・京都大学周辺のまちブラはいかがでしたか?
京都には有名な寺社だけではない紅葉の穴場スポットがたくさんあります。
八清のスタッフも日々、暮らしから見えてくる素敵スポットを探しているので、京都の暮らしやまちの情報が気になる方はぜひ気軽にお声がけくださいね。
※2021年12月制作時点の情報です
京都をまちブラしよう!
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