私にとっての長年の夢である「京都移住」ですが、正直まだ達成しておりません。
知人友人の中には、すでに私が移住していると思っている人がいますが、まだ"京都ラバー"の域を出ていません。
SNSにあげる内容が主に京都なので、たぶん私がすでに住んでいると思ってしまうようです。
あるいは内容が観光地というより京都の日常にフォーカスしているので、そう思われてしまうのかも知れません。
京都移住という夢をどうやって実現するか、そのためには、すでに実行している先人たちにお話しを伺って、これから実践するためのノウハウをお聞きしようと思いつきました。
今回は2020年9月に埼玉から京都へ移住された鈴木直子さんです。
とりあえず賃貸で京都に住んでみる
鈴木さんは仕事をリタイア後、娘さんたちの就職をきっかけに、京都に住んでみようかと思い立ったそうです。
「京都や奈良は旅行でも来ていました。
娘たちも独立したので、思い切って住んでみるのもいいかな、と思い始めました。」
最初は京都でマンションを買うつもりだった鈴木さん。
マンション探しも当初は四条周辺などまち中の物件ばかりを案内されていたそうです。
なんとなく決めかねていたときに娘さんから提案があったそうです。
「いきなり家を買うのではなく、賃貸でとりあえず住んでみたらと言われました。
観光には度々来ていましたが、当時は土地勘もなく、購入する前に賃貸で住んで、じっくり家探しをするのはいい方法だと思いました」
そこで出会ったのが八清さんの新しい提案による賃貸のコレクティブハウス「coco camo」だそうです。
「八清さんのことは東京でのイベントに参加したりしていて知っていました。
埼玉からリモートで内覧できたり、ワークショップがあったり、遠くからでもこの物件の良さが分かったので、最初の内覧会で即決してしまいました」
少し中心部から離れた「coco camo」での暮らしが大変気に入っているそうです。
確かに、知らないまちでいきなり家を購入するのはハードルが高そうに見えます。
その点、賃貸なら住替えも簡単、とりあえず、そのまちに暮らしてみるというのは、ベストな選択かも知れません。
コレクティブハウスという選択は大人に最適
現在、鈴木さんが住んでいるのは、八清さんが開発したコレクティブハウスの「coco camo」です。
独立したメゾネットタイプの住戸にはそれぞれキッチンやバストイレが備わっているうえ、入居者みんなが利用できるリビングとテラスがある住まいです。
「個々のプライベート空間がしっかり充実しているうえに、プラスαの共用部があることが気に入りました。
はじめての土地では知り合いを作るのも不安ですが、この場所が他の住民との自然なつながりの場にもなっています」
入居者同士の交流の場にもなる共用リビングや共用テラスでは、困ったことがあったら話し合ったり、お茶を飲んだりするスペースに利用されています。
「誰かと飲みたい気分になったら、隣の人を誘って共用部で料理を持ち寄って飲んだりしています。
あらかじめ約束しておかなくても、気分次第で一緒に飲める人がいるのは安心。
つかず離れずのいい関係が他の入居者の方と築けるのがコレクティブハウスのいいところですね」
シェアハウスで一番問題になりがちな水回りが各住戸に備わっているので適度な距離感が保てます。
信頼関係がありながらも束縛感のない大人同士のつながり。
大人のシェアハウスという理想的な空間だと思いました。
八清さんの担当者によると、50代60代の方の問い合わせも多いそうです。
京都で満喫する自然と文化が融合する第2の人生
「ここは少し中心部から離れていますが、歩いてすぐの場所に賀茂川があるし、ゴミ出しするときにも比叡山が見えるんですよ。
すぐ近くの河原からは大文字の送り火も見えるし、京都に住んでいると実感できてとても気に入っています」
旅行では体験できなかったことが、今では日常になっているそう。京都では観光スポットとして有名な場所だけではなく、ふだんの生活のなかで歴史やアートに触れる機会も多いようです。
「歩いていると、有名なところだけではなく小さな美術館もあちらこちらにあります。
歴史のある神社仏閣もいっぱいあるので、いろいろな貴重なアートに触れることができます。
建仁寺の天井いっぱいに描かれた双龍も見事ですが、その近くにある『世界一小さな浮世絵博物館』もおもしろいです。
摺り師の方が木版画の製作をされているところを見学することができて貴重な経験ができます」
また自然とのつきあいも身近にできると感じています。
「京都は山に囲まれていて、トレッキングのコースも充実しています。
はじめは1人で歩いていたのですが、どんどん顔見知りの方ができて、今はゆるやかな関係の一緒に上る仲間に加えてもらっています。
『ここは難しいから1人でいくよりみんなで行った方がいいよ』とか『あそこは今通れないよ』とか、いろいろ情報を教えてもらえます。
みんなで山を下りてきて鴨川の河原ですわってのんびりしていると、ほんとうに京都に来てよかったと実感します」
自然にゆるやかに広がる人間関係
他にも京都に来てから、趣味や活動がいろいろ増えたそうです。
「京都府立植物園のファンクラブにも入りました。
1,000円の年間パスポートを利用して自分の庭のように利用しています。
ここから近いので催し物に参加しているうちに声をかけていただいて参加しました。
また京都国際交流会館の活動にも参加しています。
日本語教室のボランティアをするなど、コミュニティがどんどん広がっています」
鈴木さんのお人柄もあると思いますが、次々に人脈が広がっていくのはお話を聞いていてワクワクします。
「よく京都は人付き合いが面倒だとか、よそから来た人は受け入れられないとか、都市伝説のようなことを聞きますが、そんな経験をしたことは一切ありません。
何か興味を持って、どこかに出かけていくと、そこで声をかけられて知り合いが増えていくという、自然でゆるやかな関係がたくさんあるように感じます」
私の経験からも、そんな都市伝説のようなことは一度もありません。
道を聞くと誰でも親切に教えてくれるし、お店に入ると気軽に声をかけてくれます。
住んでみると見えてくる自分と場所の相性
京都に住む前は、いわゆる京都の中心の田の字とよばれる場所を視野に入れていた鈴木さん。
ところが住んでみると、少し視点が変わってきたそうです。
「私自身も自然が好きなこともあり、今の環境が気に入っています。
川も近いし山も近い。
バス便が充実しているので中心部に出かけるのも便利です。
旅行者として訪れていたときと住んでからの住まいとしての想いが少しずつ変わってきたのを感じています。
今でもいずれ自分の住まいを購入したいと思っていますが、そのためにも京都にまず住んでみるという行動はよかったと思っています」
京都といっても、どのまちに住むかは大事な点になります。
にぎやかで便利な場所がいいのか、自然に囲まれて暮らしたいのか。
山を見て暮らしたいのか、川を見て暮らしたいのか。
不動産メキキストとしては、住む場所と自分の相性が一番大切な気がしています。
そこにいると、なんとなく気分がいいというような直感が、実は正しかったりすることもあります。
そのためにも、そこに身を置いてみるということは賢い選択かも知れません。
そして今回、コレクティブハウスという住まい方に興味を持ちました。
若い人はもちろん、活動的なシニアも、気の合った人たちとつかず離れず、大人のいい関係を保ちながら暮らすのは理想的ではないでしょうか。
また京都に住むなら、まず賃貸という選択もあるということに気づきました。
鈴木さんの軽やかで柔軟な考え方に刺激を受けました。
そして新しいコレクティブハウスができたら、ぜひ住んでみたいと思います。
八清のシェアハウス・コレクティブハウス
「coco camo」は満室ですが他にも入居者募集中のコレクティブハウスがございます。
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