前回は、京都にとりあえず賃貸で住んでみて、これからじっくり家探しをされている方にお話しを伺いました。
今回はすでに数軒の町家を購入し、東京から移住を果たしたうえで、資産運用もされている方のお話を紹介します。
海外在住の経験が豊富な肥沼圭子さんは、今までに22回の引越しを体験されたそう。
そのため、いろいろな場所に住むことに抵抗がなく、どこでも積極的に暮らしを楽しむ姿に刺激されました。
さまざまな方との出会いを、次のプロジェクトに結びつけていくパワフルなその体験を聞くだけでワクワクする方です。
きっかけは京都で4万円の借家があるという情報
肥沼さんが京都の町家に出会ったきっかけは、実はご主人のフェイスブックで見た友だちからの情報だったそう。
家賃4万円で借りられる家が京都にあるという情報に興味を持った肥沼さんは、さっそく足を運んでみたそうです。
ご主人はアフリカに赴任中、子どもも大きくなって独立したので、東京にこだわらずに家を探してもいいと思い始めたそうです。
「そうしたら、なんとオーナーはお坊さん。
小さめの外車に乗ってやってきたのに驚きました。
フランクでユニークな人で話が面白かったのが印象的でした」
結果的にその住まいは京北という中心地からかなり遠いロケーション、建物が広いのに古過ぎて自分で住むにはハードルが高すぎてあきらめたそうです。
「クルマの中で、いかに京都の町家が魅力的か、資産性も高いかをレクチャーしてくれました。
それまで考えたこともない町家に興味がわき、どんなものだろうという気持ちがわいてきました」
町家をキーワードに八清のWebサイトにたどりつく
当時のWebサイト
それからの肥沼さんの行動は早く、まずWebで町家について検索したそうです。
中には数百万円台で買えるものもあり、これなら自分でも買えるのではと俄然興味がわいて来たそうです。
いろいろ調べていくうちに八清のサイトに出会い、さっそく連絡してみたそうです。
「Webサイトのデザインも素敵で、物件紹介もセンスがよかったので、この会社は良さそうだなと思いました。
そこで紹介された東福寺の物件が気に入りました。
今では考えられないほどの価格で手を出しやすかったので購入しました。
投資収益としても東京に比べても有利でした」
すでにリノベーションされていた物件は、落ち着いた灰色を基調としていながら、温かみのあるリノベ―ションがされていました。
両開きの玄関扉や無垢のフローリングも肥沼さんの好みでした。
「最初に担当してもらったのが青山さん。
投資用不動産に適した物件の購入からリノベーション、入居者の募集、入居後の管理まで一貫して任せられるので、初めてのなれない場所での物件購入でも不安はありませんでした」
情報を求めて数十冊以上の本を読む
「京都で町家を買う、そして資産運用をする」というアイディアを知った肥沼さんは、さっそく情報収集を始めました。
「たくさんの本を読みました。
これから不動産投資をするなら、基礎から知っておかなくてはならないと思い、町家に関する本だけではなく、リノベーションのノウハウや不動産にまつわる法律、登記や銀行についても知識を得るために勉強しました」
肥沼さんの行動力のすごさは、感覚的なモノのとらえ方の速さはもちろん、数字に裏付けられた冷静な判断が基本になっていることです。
この後、町家を購入していく際の思いきりの良さは、豊富な知識があったからではないかと思います。
いきなり銀行へ、日本政策金融公庫との出会い
初めての物件を購入後、また青山さんからいい物件が出たという情報を聞いてしまった肥沼さん。
今度は丹波口駅近くの物件で、最初の物件と同じ規矩崇氏がこちらもデザインをしていました。
「どうも私は規矩先生のデザインが好きみたいで、また一目で気に入ってしまったんですね。
だけど現金は1軒目で使ってしまったので、東京の家を売ろうかと子どもたちに相談しました。
思い出があるから売らないでと言われ、ローンを使うしかないと思いました」
行動の早い肥沼さんは、すぐにお金を貸してもらうために銀行に足を運びました。
「大手都市銀行に断られたため、青山さんに相談したら、公庫の担当者を紹介してくれました。
これは新規事業を始める人に有利な融資で、特に女性やシニア起業家が借りやすいと聞きました。
事業計画書をなんとか作成、無事に借りることができました。
また金融機関とお付き合いするうちに、八清さんの評判がいいことにも安心できました。
とてもいい会社だといわれたんです」
自宅用として同じデザイナーの3軒目を購入
3軒目は今回お伺いした肥沼さんのご自宅です。
こちらも規矩 崇氏のデザインだそう。
「南区が再開発されて、これから人気が出そうだと聞いて、このエリアには注目していました。
実は他のマンションを見に来ていたときに八清さんから連絡があり、こちらの物件も即決してしまいました」
今回は町家に特化した住宅ローンのある銀行に相談したそう。
住宅ローンなので、必ず住んでくださいと銀行の担当者に言われ、引越しを決意。
東京から転居するにあたって不安はなかったのでしょうか。
「海外も含めてたくさん引越しをして、ここで22回目になりました。
京都には『住まわせていただいている』というような感謝の気持ちを感じます。
静かにあたたかく迎えてもらっているような気がします。
ご近所にごみの出し方について教えてもらいました。」
今は梅ケ畑でサウナ付きマンスリー貸家を計画中
周りの人を上手にまきこんで、やる気にさせる肥沼さんは、次の目標も見つけました。
京都のまちなかから少し離れた「梅ケ畑」に古民家をすでに購入。
意外にも京都駅からバスで40分という近さ。
遠いようで近い田舎『チカイナカ』と名付け、プライベートサウナ付き古民家マンスリー貸家を計画しているそうです。
「今までは出来上がっているものを購入してきましたが、今回はプロジェクトを立ち上げて、設計や意匠を最初から考えなければなりません」
サウナを中心にゲストに身も心も"ととのって"いただくサービスを考え、仮称は『サ民家』としました。
北山杉の美しい山里の風景とホタルの見られる清流が近くにあり、豊かな自然に恵まれた町ですが、少し車を走らせれば、大型スーパーへお買い物に行ける距離にあります。
多拠点のプラットフォームとして、あるいは企業のワーケーションの場として使ってもらいたいと考えているそうです。
「私1人ではできないので、今は協力者のネットワーク作りに力を入れています。
図面もほぼ仕上がり、担当の落海さんが頑張ってくれています。
トータルブランディングもほぼ決まり、将来の展開を見据えてお願いしたいと思っています」
また町家の保存・維持の難しさ、古民家の物件担保価値の低さによる融資の困難等々、壊されていく町家の問題について、このプロジェクトから考えていくきっかけにしたいという希望ももっているそう。
「大妻女子大学宮田教授によるゼミ生のための「梅ケ畑の古民家プラス町家の見学会」をしていただきました。
それに合わせて、古民家で有名な四国村のオフィシャル動画を撮影した安野氏に撮影を依頼しました。
改修前の映像も兼ねて撮影してもらいドキュメンタリーにしてまとめたいと考えています。
グランドオープンが来年の9月の予定なので長丁場ですが、みなさんの協力を得てワクワクしながら進めていけたら、と思います。
収益にどうつなげていくかが大きな問題ですが、とりあえず前進あるのみで頑張ります」
豊富な海外体験から感じる「京都とパリは似ている」
海外に在住経験のある肥沼さんは、京都はパリに似ていると話してくれました。
「まちの雰囲気が似ている気がします。
個人商店が多く、古い建物が残っているのが素敵ですね。
美術館などの種類も多く、食に対する極め方も多彩、文化的な奥深さが他のまちにはない特徴になっていると思います」
パリでは築100年以上のステンドグラスのあるらせん階段が特徴的なアパートメントに暮らしたこともある肥沼さんは、旧い建物の保存の大切さが身についているのかも知れません。
またエジプトのカイロでのサバイバルな暮らしが、生きている実感があってとても楽しかったと話す肥沼さん。
その生命力がプロジェクトを進めるにあたっての原動力となっているのではないでしょうか。
ワールドワイドな視点で京都の町家を保存していく姿に、周りの人間も刺激され、いろいろなアイディアが生まれてくるのだと思います。
『サ民家』完成時にはぜひ伺わせてください。
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