今回のまちブラは「伏見桃山(ふしみももやま)」です。
豊臣秀吉が安土桃山時代に伏見城を築城して城下町を開いた歴史ある場所で、坂本龍馬が襲撃された寺田屋事件、多くの酒蔵があることでも有名なまちです。
京都への通勤・通学にも便利な3路線
写真手前を京阪電車、奥の陸橋を近鉄が走っています。
伏見桃山周辺は、地図で見ると京都市の少し南にあって遠いように見えますが、京阪本線「伏見桃山駅」、近鉄京都線「桃山御陵前駅(ももやまごりょうまえ)」、JR奈良線「桃山駅」の3路線3駅が利用できるので、京都駅、烏丸駅、祇園四条駅など京都の主要な駅にも直通12分〜20分程度で行ける非常に便利なエリアです。
また「千本鳥居」で世界的にも有名な「伏見稲荷大社」へも京阪本線で約10分、JRなら約4分で行くことができるので、千本鳥居を見た後は「伏見桃山城」や「明治天皇 伏見桃山陵」へと観光にも便利。
通勤、通学、観光にもとても便利な伏見桃山!
さて、どんなまちなのでしょうか?
良質で豊富な水に恵まれ酒蔵も集まる"伏水"
伏見は地下水にも恵まれ、良質な水があるとして「伏水」と書かれていた時代もあるそうです。
伏見といえば日本酒が有名ですよね。
伏見には京都を代表する酒蔵が沢山立ち並び、お酒を扱う酒屋さんも多く見られます。
日本酒は京都市の伝統産業の1つに制定されているそうです。
京都と日本酒がお好きな方にはたまらないまちですね!
伏見大手筋商店街と龍馬通商店街
桃山御陵前駅と伏見桃山駅直結のアーケードになっている伏見の台所「伏見大手筋(ふしみおおてすじ)商店街」は、地元の名店や大手の飲食店、都市銀行も数多く、ちょうど取材をしていた12月上旬にはサンタクロースが飾られ、クリスマスの華やかな雰囲気と年末の活気もあって賑わっていました。
地元の人曰く、ここに来れば一通り揃って便利だそうですよ。
その伏見大手筋商店街から横に延びている通り「納屋町(なやまち)商店街」と「龍馬通」へ。
納屋町商店街と龍馬通商店街の角に、真っ白な壁にオシャレなお店がありました。「Nayamachi Donuts 君に、あげる」というドーナツ屋さんです。
店内もオシャレでちょっとお茶するのにも良さそうですね。
Nayamachi Donuts 君に、あげる
京都府京都市伏見区中油掛町106-7
京阪本線「伏見桃山駅」徒歩6分
先ほどのドーナツ屋さんの前にあるのが日本茶を利用したクラフトビールも飲める「家守堂」。
明治初期から残る京町屋の建物をリノベーションしているそうで、最近までお茶屋さんだったそうです。
家守堂(やもりどう)
京都府京都市伏見区中油掛町108
京阪本線「伏見桃山駅」徒歩6分
「お酒ゼリー専門店 ぷる〜酒」。
もうわかりやすすぎて説明不要ですね。
もも、れもん、みかん、梅酒、ゆずなどがディスプレイされていてどれも美味しそう。
お酒入りゼリーなので、お子様などお酒が飲めない方が間違えて食べないように冷蔵庫の奥の方に保管しないといけませんね。
お酒ゼリー専門店 ぷる〜酒
京都府京都市伏見区塩屋町239
龍馬通商店街
京都府京都市伏見区車町273(納屋町通油掛~蓬莱橋間)
近鉄京都線 「桃山御陵前」徒歩10分、京阪本線「中書島」 徒歩5分
坂本龍馬の定宿「寺田屋旅館」
龍馬通商店街から川端まで行って右折すると、坂本龍馬の定宿として知られているあの有名な「寺田屋旅館」に到着しました。
旅館の庭園には石碑や像があり、今でも坂本龍馬ゆかりの地として人気で、幕末の京都を彷彿させる趣のある空間でした。
あの寺田屋事件の現場がここだったのですね。
慶応2(1866)年、坂本龍馬も伏見奉行所の捕方に襲われましたが、難を逃れたとされています。
坂本龍馬が寺田屋で襲撃されて逃げた先の材木小屋がこのあたりにあったのですね。
歴史好きにはたまらない場所です。
龍馬はどの道を通ってここまで逃げたのでしょうか。
龍馬に思いを馳せながら寺田屋からこの材木小屋跡まで歩いてみると、文字だけでは伝わらない感動が得られますよ。
寺田屋旅館
京都市伏見区南浜町263
京阪電車本線「中書島」徒歩5分、市バス「京橋」徒歩1分、近鉄電車「桃山御陵前」徒歩10分
京都らしい意匠の京都信用金庫の伏見支店が目に飛び込んできました。素敵ですね。
他にも都市銀行もたくさんありとても便利そうなまちです。
しかしなぜ伏見にこんなにもたくさんの銀行があるのでしょうか?
それは次にご紹介する松本酒造の松本社長によると「酒税を納めてほしいから(笑)」だそうです。
なるほど・・・徴収しやすい仕組みができているのですね。
社会勉強になりました(笑)
230年続く老舗酒蔵「松本酒造」
しばらく歩くと、そびえ立つ煙突が見えてきました。酒蔵です!
この素敵な景色を見たことがある方もいるのではないでしょうか?
とても趣ある風景が印象的な老舗酒蔵の「松本酒造」さんへお邪魔しました。
シンボルマークにもなっているレンガの煙突は今は使われていないそうですが、耐震工事をして遺しているそうです。
歴史を感じる赤いレンガと焦げ茶色の蔵が、河原の緑と空の青とマッチして日本らしい風情を感じます。
今回は特別にこの登録有形文化財(建造物)にも登録されている酒蔵の見学や伏見のお話を伺う事が出来ました。
松本酒造は京都市内で231年前の寛政3年(1791年)創業の老舗で、七代目の大正時代に、より豊富で良質なお水が沸いているこの伏見へ移転してきたそうです。
今でも井戸水が湧いているのが見えますね。
松本社長は、バイクや自動車、F1でも世界的に有名な「ホンダ」を定年退職されてから昨年引き継がれたという異色の経歴をお持ちで、漢字こそ違いますが、ホンダ創業者と同じ「そういちろう」さんです。
ホンダに入社することは運命だったのかもしれませんね。
ホンダ時代は大手企業勤務には珍しい16もの部署を歴任され、会長秘書、F1などのモータースポーツ部門、広報部門などを担当され、40年間、日本のみならず世界中を駆け巡っていました。
定年退職後、奥さまとの引退生活を楽しみにしていたそうですが、京都に戻り家業を継がれました。
ホンダが世界中に工場を作って世界進出していくのを秘書をしている時に目の当たりにしたそうですが、そうした経験を生かして、松本酒造の海外売上も1.5倍に拡大、微発泡が残る日本酒や女性を意識した商品開発など新しい挑戦もされているそうです。
自動車と同じく日本酒も日本国内での需要が下がっているのはニュースでも目にしますが、国内だけでなく海外も重要な販路になっているんですね。
雰囲気のある建造物に囲まれるだけでワクワクします。
酒蔵の中をじっくりと見るチャンスはなかなかありません。
100年前に建てられた工場は綺麗に修復されながら現在もフル稼働、大きな蒸し器、タンクは圧巻です。
キャッチフレーズにもある「原料に勝る技術なし」の通り、お米のいい香りにこだわり抜いた素材の良さを感じます。
温度管理がとても大事だということで、緻密なデータ管理と人の手による丁寧な作業が伺えました。
時代と共に進化しても人の温もりに勝る物はないですね。
松本酒造は200年を超える老舗ですが、若い人材が多く集まっており、お仕事中にもかかわらず、「こんにちは!」と元気に挨拶していただき、和やかな職場の雰囲気に好感を持ちました。
稲からお酒ができるまでの行程を可愛いイラストで描いたTシャツも若い女性スタッフさんがデザインしています。
商品の最後の工程がラベル貼り。
ビンに1枚ずつラベルを手作業で貼っていきますが、その台に可愛い絵が描かれていました。
商品「純米吟醸 桃の滴」のラベルには松尾芭蕉の句「我が衣にふしみの桃の雫せよ」が書かれていますが、スタッフさんがそのラベルを貼る台には「とくべつな桃の滴 われらふしみの桃の従業員」という可愛い"裏ラベル"が!きっとこの一句も100年先の従業員に継がれていくことでしょう・・・。
もしこんな可愛い絵のラベルの商品が商品棚に並んでいたら思わず手に取ってしまいそうですね。
松本社長、次の新商品のラベルはこちらでいかがでしょうか?
こちらが商品「桃の滴」ですが、この可愛いラベルのデザインはアメリカご出身で京都で活躍されていた版画家クリフトン・カーフさんの作品で、目でも楽しめる美味しいお酒でした。
「桃の滴」はフルーティーな甘口でほのかに残る苦味があって飲みやすく、米、水と素材の良さが伝わる美味しい味で、なにより精魂込めて日本酒を作ってくれたスタッフさんの姿を思い浮かべながらいただく一杯は、格別に美味しく感じました。
「まぁどうぞどうぞ」と2杯目も注いで頂き「まだ仕事が残っているので」「大丈夫でしょ」と笑顔で注いでいただくと昼からすっかりいい気分になり、ほろ酔いになった後の写真はピンボケが多かったのはナイショです。
今のおすすめは生酒の「守破離(しゅはり)」です。
辛口の微発泡、後味スッキリでお肉料理や淡白な白身魚などのお料理によく合うそうですよ。
また、松本酒造の本社では、山田錦100%の日本酒「澤屋まつもと(スーベニア)」1種類だけを直接販売(2,000円)されています。
他の商品は販売店さんを大切にしていることから、こちらでは販売していないとのこと。
かわいいラベルでお土産にも喜ばれそうですね。
もう少し我慢して、お正月に美味しくいただきたいと思います。
松本酒造株式会社
京都市伏見区横大路三栖大黒町7
京阪本線「中書島駅」「伏見桃山駅」徒歩13分 、近鉄京都「桃山御陵前駅」徒歩14分
黄桜と月桂冠
寺田屋旅館から東に少し行くと、左手に立派な蔵と煙突が見えてきました。
この一帯には「黄桜」の本社や工房、「キザクラカッパ カントリー」という居酒屋や「黄桜記念館・河童資料館」もあります。
ぜひ訪れてみたいところでしたが、すでにほろ酔い気分なのでまた次回。
川沿いのこの角を右に曲がったところに「キザクラカッパ カントリー」や「黄桜記念館・河童資料館」がありますよ。
キザクラカッパカントリー(黄桜酒場)
京都市伏見区塩屋町228
伏見桃山のまち中は大きな川、小さな川ともに遊歩道が整えられていて、緑が多く目に入ってきました。
眺めていると鳥の鳴き声に癒されます。
いいまちですね。
先ほどの黄桜の反対側はこんなに素敵な雰囲気なんです。
川の奥にはまた趣のある建物が見えてきました。
あれは月桂冠の旧本社です。
こちらが月桂冠の旧本社、こちらも趣のある意匠です。
ここら辺一帯は月桂冠の敷地です。
さすがお酒のまち。
黄桜に月桂冠、松本酒造。
建物の中もお酒も1つずつ丁寧に紹介していきたいのですが、また次の機会に。
月桂冠 旧本社
京都市伏見区南浜町247
地元の人もおすすめする「鳥せい」
この地域に住む八清のスタッフから「訪ねて来た親戚や友達を連れて行ったら間違いない」と聞き、ちょっと早い夕食を求めて居酒屋「鳥せい」へ。
創業延宝五年(1677年)の老舗酒蔵「山本本家」と、京都初の焼き鳥専門店「鳥せゑ」の共同経営だそうで蔵元直営のお店でした。
酒蔵をリノベーションした空間で蔵出し生原酒が味わえます。
天井の高い空間はノスタルジックな雰囲気で、たしかにこれは誰を連れて行っても喜ばれそうです。
この日は寒かったのでおすすめの「とり酒粕鍋」と「焼き鳥」そして〆はラーメンを頂いてきました。
ラーメンは塩味の効いた鶏だしにツルッとした細麺で人気なのも納得。
体もすっかりぽかぽかで温まりました。
どれも美味しかったのですが、特に酒粕鍋が気に入ったので帰りに隣接する「神聖」で酒粕を買って帰りました。
山本本家のお酒などお土産に人気の商品が販売されていますよ。
食べ終わったらすっかり暗くなっていました。
新酒が出来たことをお知らせしている杉玉が下がっていますね。
お酒のまちだけあって、あちこちで見かけました。
鳥せい 本店
京都府京都市伏見区上油掛町186
京阪「伏見桃山」徒歩7分、近鉄「桃山御陵前」徒歩9分
山本本家 神聖 酒蔵直売店
京都市伏見区上油掛町186
京阪本線「伏見桃山」徒歩5分、近鉄京都線「桃山御陵前」徒歩6分
これは便利!激安スーパーが2軒横並び
最初に紹介した伏見大手筋商店街から北にしばらく歩いて行くと、人気のスーパー「ハッピーテラダ」と「万代」が2軒も並んでいます。
生活にはとても助かる利便性の高い地域に感じました。
個人的には肉や魚も安くて新鮮で美味しいので別の地域にある「万代」をよく利用していますが、激安スーパーで注目の「ハッピーテラダ」を覗いてきました。
この日は特売だからかキノコが2パックで98円!りんご100円・・・
ちょっとグンを抜いた安さでビックリです!
もちろん買って帰りました。
同じ敷地内に、ファストファッションのパシオス伏見丹波橋店とドラックストアのウエルシアダックス伏見丹波橋店があり一緒に買い物ができます。
お隣の「万代」は近隣住民には人気のお店で、特に毎月1日に「月の市」という安売りをやっていて混雑しています。
ウエルシアは23時まで買い物ができるので、仕事帰りに立ち寄れて、買い忘れの時にとても便利。
処方箋を取り扱う調剤併設型ドラッグストアなのも大きなポイントです。
ハッピーテラダ 伏見店
取材後知ったのですが、なんと2023年1月末で閉店されるそうです。残念...!
京都市伏見区下板橋町639
京阪本線「丹波橋駅」徒歩4分
万代 丹波橋店
京都府京都市伏見区下板橋町630
京阪本線「丹波橋駅」徒歩4分
伏見桃山、歴史と伝統が深すぎて一日では回りきれません。
他にも紹介したい神社仏閣や伏見桃山城、明治天皇の伏見桃山陵もありますよ。
旅先を探している方で、日本酒が好きな方は新酒を楽しみに訪れてみるのはいかがでしょうか。
堪能したい方は2日間以上の滞在をおすすめします。
いや、日本酒と歴史が好きな方はぜひ住む場所としておすすめします。
大きな商店街に激安スーパー、飲食店も個人店から大手チェーン、そして酒蔵まで、これだけ揃っているまちは京都でもなかなかありません。
人気エリアなのもうなずけます。
八清にはこの近辺に住んでいるスタッフもいるので、詳しく聞きたい方はお気軽にお問い合せください。
まちブラマップ
※2022年12月制作時点の情報です
京都をまちブラしよう!
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てらだ ともこ
伏見に住んでいるので、特集、楽しかったです。
ハッピーてらだの閉店は残念すぎ!!庶民の味方でした。