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今回のまちブラは、防災の日が近いということで『今熊野(いまくまの)』の防災にフォーカスしました。

京都観光を頻繁にしている方でもどのあたりだろう?と思った方もいらっしゃるのでは。

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東山区にある今熊野の最寄り駅はJR京都駅からわずかひと駅の『東福寺駅』。

JRの他に京阪電車が利用できます。

鴨川の東側に位置していて、京都駅から電車でもバスでも約15分、徒歩でも30分あれば到着する好立地です。

国宝に囲まれて暮らす

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実際に生活した時の日常のお散歩コースをちょっと妄想してみましょう。

今熊野商店街を起点として、以前ご紹介した『三十三間堂』や『京都国立博物館』まで徒歩10分、『清水寺』や『八坂神社』、『高台寺』などへも徒歩30分ほど、新緑や紅葉で写真映えスポットとして人気の東福寺『通天橋(つうてんきょう)』へは徒歩15分など、有名な神社仏閣や国宝が日常の生活圏に溶け込んでいます。

清少納言の縁の地

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今熊野は、2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』を観ている方にも是非訪れていただきたいエリアです。

『光る君へ』は源氏物語の作者・紫式部を中心として、枕草子を執筆した清少納言も話題ですね。

一条天皇の正室・中宮定子(藤原定子)が埋葬されている『六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)』までも徒歩22分、定子に仕えていた清少納言が晩年を過ごしていたと考えられている『泉涌寺(せんにゅうじ)』までは徒歩17分。

徒歩13分の『今熊野観音堂』近くには清少納言の父の邸宅があったため、この地を選んだそうですよ。

清少納言と同じ今熊野に住めば「春はあけぼの」を超える傑作が生まれるかもしれませんね。

通勤通学にも便利な住宅街

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今熊野はこれだけ有名な神社仏閣が徒歩圏内にあるのですが、観光客の往来は少なく、地元で暮らす方々が生活をゆったりと楽しめる場所、といった印象です。

バス通り沿いの今熊野商店街にはオシャレなカフェや甘味処もたくさんあり、祇園や河原町への通勤・買い物、大学への通学にも便利です。

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また、『智積院(ちしゃくいん)』や京都女子大がある今熊野の日吉エリアは登り窯などを作りやすい地形のためか清水焼の郷としても有名で、100年余の歴史もあります。

陶芸教室や作陶体験ができる窯元もあるので、陶芸好きな方にもおすすめですよ。

9月1日は防災の日

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こんな暮らしができる今熊野ですが、近くに大型の外資系ホテルや観光スポットはあるものの、オーバーツーリズムの影響はそれほどありません。

バス通りから住宅地へ入ると住宅が密集しており、道もそれほど広くありません。

京都のみならず日本によくある住宅街で、気になるのは防災です。

特に2024年は1月のお正月に能登半島地震、そしてこの取材の2日前、お盆休み直前の8月8日には気象庁が初の南海トラフ地震臨時情報を発表したばかりでした。

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画像提供:今熊野学区自主防災会

ちょうどこの記事が公開される頃の9月1日は関東大震災が起こった日でもあり、防災の日となっています。

『今熊野学区自主防災会』の中の人に防災対策を聞いてみた

そこで今回はインスタグラムやFacebookを活用して積極的に発信をしている『今熊野学区自主防災会』(@imakumanobosai)の中の人にお話しを伺いました。

『今熊野学区自主防災会』はもちろんみなさんボランティア。

しかし、SNSを拝見してみると、その防災意識の高さと丁寧な発信に驚きます。

私の知る限りでは、地域の防災活動をこんなに楽しそうに、積極的に伝えようとしているボランティアは知りません。

地域愛を感じられる投稿を見ていると参加したくなります。

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画像提供:今熊野学区自主防災会

災害時、私たちは何に気を付けたらいいの?

地震などの災害はいつ起こるか分かりません。

まず気になったのは防災対策です。

「私たちができる防災対策とは何でしょうか?」と尋ねてみたところ「防災の一番は耐震です」と即答されました。

私は「防災グッズの用意」や「避難先の確認」などかなと思っていたので、意外な答えに驚きました。

なぜ耐震なのでしょうか?

その理由は「家が傾いたり倒れたりしたら、住めなくなるのはもちろん、(推奨されている)7日分の備蓄品があっても、家に入れなくなるとムダになってしまいます。一番良いのは避難所ではなく自宅で過ごせるようにすることです」とのこと。

なるほど、腑に落ちました。

たしかに避難所生活は日常とは違いますし、もし自宅が住めなくなるほどの損傷を受けたらどこで暮らせばいいのかと不安になりますね。

また、避難する人が増えれば、対応する行政も人数分の飲食品など対応すべきことが増えます。

家の耐震はすぐにはできないのですが、せめて部屋の中で家財が倒れないように耐震グッズを見直し、あらかじめ備えようと思いました。

SNSは現代の回覧板!

なぜ地域の『今熊野学区自主防災会』がSNSを使って広く発信しているのでしょうか?

その理由は、小学校の廃校や移住が関係していました。

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画像提供:今熊野学区自主防災会

このあたりは小学校が統廃合され、今は「"元"今熊野小学校」となっていますが、ここは災害時には避難所として機能するそうで、京都市や東山区などの行政と『今熊野学区自主防災会』が連携し、深夜でも避難指示が出るとボランティアの誰かが小学校を避難所として開設しに行くそうです。

地域に小学校があった時は、子どもを通じて地域との交流もあり、大人が子どもたちを守る術が機能していたそうですが、小学校が遠くなったことで近所に友だちがいない、近所のママ友がいないなどコミュニティの課題があるそうです。

PTA、連絡網、地域の行事や地蔵盆って大事なんですね。

また、周辺には京都女子大などいくつかの大学があることで、今熊野という地域を知らない若者が毎年引っ越してきては入れ替わるそうです。

移住組の私は京都市のLINEに登録していますが、大雨の洪水警報などは「学区」でお知らせが届きます。

これは住所とは違って地域の町名なので、移住組にとっては自分がどの学区に住んでいるのか『京都市防災ポータルサイト』で調べないと分かりません。

そこで、『今熊野学区自主防災会』は統合された3つの地域すべての町内に「学区」を記載した町内プレートを統一のデザインにして視認性を上げるなど工夫しています。

デザインは大学生に依頼し、費用の半分は町内会費、半分は市の補助金で賄ったそうです。

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画像提供:今熊野学区自主防災会

しかし課題は30代以下の人たち、特に大学生以下の若者にどうやって地域の災害情報を届けるか。

マンションで一人暮らしだと、今どき回覧板も回ってきませんよね。

そこで若者が良く見るだろうSNSを現代の回覧板と位置付けて積極的に発信しているのだそうです。

なるほど〜!SNSであれば、若者でも簡単にフォローできますし、災害時には地域の情報を得られやすくなりますね。

地域と交流し若者の防災意識を高める

地域の大学と積極的に交流しながら、大学生にも防災イベントに参加してもらうなどして防災意識を高めてもらっているそうです。

ホームページはアーカイブとして、SNSはリアルタイム性を意識しつつも投稿が増えすぎないようにするなど配慮して運用しているようです。

それを見た全国の自治体や防災会からの問い合わせも増えているそうですよ。

こうした地道な活動により、SNSを利用する地域が増えたり、防災イベントに参加した大学生が卒業して他の地域へ引っ越したりしても、全国に広まっていけば各地域の防災意識も上がり、日本全体の防災対策に貢献できればと考えて活動されているようです。

これからも若者たちが参加したくなるような防災イベントの投稿、楽しみにしています!

歴史ある今熊野は、観光を日々楽しめ、落ち着いた生活や商店街もあり、地域との交流も積極的で新しい人たちを積極的に受け入れようとする素敵なまちでした。

まちブラでゲリラ豪雨に遭遇

突然、今熊野神社の上空が真っ暗に・・・

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実は今熊野へ取材に訪れた時にちょうどゲリラ豪雨に降られてしまいました。『泉涌寺道』交差点はこんな様子。

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事前に調べていた天気予報では雨雲はなかったのですが、最近は突然すごい勢いで降ってきますよね。

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しかし、今熊野商店街は長〜いアーケードがあるので雨宿りできました。

日々のお買い物で突然雨に降られても安心ですね。

今熊野商店街を歩いてみました。

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すぐ目の前の『長崎かすていら』の看板が気になりましたが、この大雨では遠く感じます。

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今熊野商店街にあった美味しそうなドイツのパン屋さんの看板。

大雨の中、目についたので読んでいたら、食べてみたいと思わせる文章力に誘われてお店の中へと吸い込まれ、明日の朝食を買ってました。

美味しかったです!

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お豆屋さんがありました。

小腹が空いたときに食べたくなります。

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商店街には欠かせないお花屋さん。

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気分が明るくなりますね。

もちろんスーパーもあります。

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たまたま通った市バスが『村上隆もののけ京都』にラッピングされていました。

私も行きましたが、平日でもとても賑わっていました。

展示は2024年9月1日までなので今しか見られないデザインですね...!

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自動車整備工場もありました。

愛車のメンテナンスやトラブル時には地元の商店街にあると助かりますね。

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数珠のお店。

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京都っぽいですね。

お茶のとっても良い香りが漂ってきました。

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店内でソフトクリームやパフェなどいただけますよ。

2024年9月15日(日)には今熊野商店街で『夜店(よみせ)』が行われるそうです。

14日までの大感謝セールも気になりますし、がらがら抽選会も楽しそう。

お子さんがいる方もキッズスタンプラリーも楽しめそうですね。

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甲子園で大活躍!今熊野にある京都国際高校が初優勝!

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最後に、甲子園の決勝で激闘を繰り広げ、見事初優勝を果たした京都国際高校は東福寺近くの今熊野にあります!

おめでとうございます!

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甲子園で感動していた全国のみなさん、この横断幕は期間限定だと思うので、ぜひこの機会に今熊野商店街へ行って記念撮影してはいかがでしょうか?

防災意識が高まりました

実際に今熊野へ出かけてみるとまさかの豪雨。

自然現象の恐ろしさを目の当たりにしました。

今熊野学区自主防災会のような取り組みがあれば、これから今熊野に住もうと検討されている方にもどういった地域かわかりやすく溶け込みやすいだろうなと思いました。

日頃からこうした取り組みや発信に目を通し、地域の人たちとのかかわりをもつことで、いざというときにも協力体制がつくりやすと思います。

もしお住まいの地域の防災の取り組みについて調べたことがなかった方がおられましたら、一度調べてみてください!

参考

今熊野学区自主防災会

Instagram

京都市防災ポータルサイト

Webページ

泉涌寺

Webページ

MAP

京都国立博物館

Webページ

MAP

智積院

Webページ

MAP

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