今回のまちブラは『五条大宮(ごじょうおおみや)』というローカルな住宅街です。
「五条大宮?」と思った方も多いと思いますが、これは京都独特の呼び方で、通り名で場所を示す表現として京都では日常会話で一般的に使われています。
この場合は「五条通りと大宮通りの交差点付近」という意味です。五条大宮の交差点を指しているわけではありません。ポイントは「このあたり」というニュアンスです。
マップ上ではこの辺、と覚えておいていただければイメージしやすいかもしれません。
地図で見ると、京都駅からも2km程度なのでお散歩がてら歩けそうな距離なのに実は住宅街なんです。
「五条大宮」、どんなまちなのでしょうか?
今回は少し歩いて京都市中央市場や、美味しいご飯屋さん、カフェなどをまちブラしました。
路地再生新築プロジェクト「あさひ長屋」
まず五条大宮から細い通りに下って、西のJR丹波口駅へ向かいました。
大通りの五条通りは道幅も広く高さ制限も緩和され、近代的な商業ビルやお店がずらりと並ぶまち側から、景色はガラッと変わって歴史を物語る建物が綺麗に残っているまち側の境を感じる場所。
公園があったり、通りの細い路地へ入ると隠れ家のような知る人ぞ知るお店が点在しています。
最初にチェックしたかったのは、八清が手掛けた新築長屋。
これは再建築不可の袋路2本を繋ぎ、特例許可の手続きを行って、新しく子育て支援住環境を整備した路地再生に取り組んだプロジェクトです。
京都らしい伝統と意匠を感じられながらも、現代の技術やデザインを取り入れ、イノベーションを起こしたと言っても過言ではない長屋です。
ずっと気になっていて、初めて見ることができました。
ここは更地から新築したんですって。
安心安全を確保しながら長い間放置されてきた路地裏を再生して、また新しい人が住まう。
素敵な循環です。
サイトにはプロジェクト概要や路地再生についての詳細が書かれているので、気になる方はチェックしてみてください。
中堂寺前田町路地再生プロジェクト
あさひ長屋のプロジェクトページ
京都市中央市場水産棟で京の食文化に触れる
丹波口駅周辺には大きな卸売市場『京都市中央市場』が広がっていて、存在は知っていましたが、立ち寄る機会はなかったので向かってみました。
一般の人は市場内では買えないので、あまり馴染みがありませんでした。
今回は『京都市中央市場水産棟』の見学エリアへお邪魔してみました。
案内板にはショップやレストランも紹介されています!
これは穴場スポットかもしれません。
エントランスに入ってみると・・・
おぉ!吹き抜けのオシャレな空間が広がっています。
素敵すぎます。
なんと市場はホテルエミオン京都に隣接しており、その入口からお邪魔したようでした。
目的地へ向かうためにエスカレーターで2Fへ上がります。
途中にはこんな映えスポットも。
ホテルから水産棟に向かう2Fの渡り廊下からはまちが一望でき、市場の広さも実感しました。
長い渡り廊下を過ぎると、ようやく入口に到着!
あれ、カッコいい・・・。
市場のイメージが変わりました。
『Time Travel Theater』?!なんかアトラクションのようでワクワクします!
いきなり大画面が登場!
市場の成り立ちを紹介する映像が流れ、こうやって京都の食文化が作られてきたのかと思わず引き込まれました。
大きなスクリーンで流れる映像は迫力がありタイムワープしているようです。
これなら楽しく歴史を学べます!
京都市中央市場はもうすぐ100年を迎えるそうです。
京都の長い歴史の中ではまだ100年、といったところでしょうか。
せりスコープや旬のカレンダーには近海物の鮮魚や塩干物と扱う種類も豊富です。
市場は早朝に動いているので、残念ながら実際の「せり」は見られませんでしたが、録画された映像や音声で活気ある市場の様子を知る事が出来ました。
水産物のせりは、午前5時10分から始まって約1時間程、その日の入荷状況により異なるそうです。
日曜日や祝日など市場の休場日には、せりは行われません。
見学に行かれる際は休開場日カレンダーをご確認ください。
以前、取材に訪れた松本酒造さんや梨木神社の染井の井戸の紹介もされていました。
京都をまちブラしよう!ー伏見桃山ー
松本酒造さんの記事
京都をまちブラしよう! ー御所東ー
梨木神社にある染井の井戸の記事
京都の食を通して、京都のまちや文化について知ることができますよ。
クイズや体感コーナーも設置されていました。
お子さんと一緒に訪れて、自分が住んでいるまちについて社会見学を兼ねながら観るのも楽しいですね。
ガチャガチャやお土産も購入できます!
ここでは紹介しきれないくらいの情報量があり、身体を動かしながら楽しく学ぶことができましたし、想像以上に素敵な場所でかなり楽しめました!
ぜひ一度訪れて体験してみてください。
京都市中央市場Youtubeチャンネルより
京都市中央市場水産棟
見学エリア 水産棟2F(入場料無料)
京都市下京区朱雀分木町80
JR嵯峨野線「梅小路京都西駅」徒歩4分
京都市中央市場の水産棟見学エリアについてはこちら
SNSでは【京都市中央市場 仲卸業者オススメ! とっておき"旬" の店】などが紹介されています。
そろそろお腹も空いてきました。
次のお目当てはランチです。
市場からお店へ向かう途中に公園を発見。
西新屋敷児童公園の公衆トイレは昔ながらの日本家屋で京都らしさがあっていいですね〜。
その公園の目の前ではフォークリフトが作業をしています!
建屋の中では従業員さんがテキパキと野菜を仕分けしているようです。
市場が近いとこういう光景も見られるんですね。
先ほど市場で学んだばかりですが、こうして仕分けをしてくれて商品が店頭に並ぶんですね。
新鮮な魚料理を堪能!魚河岸「宮武」
市場見学をした後、せっかくなので中央卸売市場の新鮮な魚を使った料理を頂こうと大人の隠れ家として評判の「魚河岸 宮武」にお邪魔してきました。
島原西門碑のすぐ近くで、閑静な住宅街の中、細い路地を進みます。
このあたりは石畳が整備され趣があっていいですね。
人が並んでいたので気づく事が出来ましたが、住宅街の中にあるのでうっかり通り過ぎてしまいそうでした。
まさしく隠れ家ですね。
お店はマンションの1階、和風のエントランスを入ると店内はオープンキッチンで活気がありますが、シックで落ち着いた雰囲気です。
夜は中学生以上のお子さんからですが、ランチなら年齢制限はありません。
ランチメニューは価格もお手頃に設定されていて、ファミリーでも楽しめますよ。
この日にいただいたのは、本日の日替わり御膳(990円)。
クリームソースがけサーモンのムニエル、
本日のおまかせお造り、
イワシ宮武煮、
もずく酢、
イカとキャベツのトマト煮、
海老と豆のサラダ、
明太子、
ご飯、
味噌汁。
1000円で食べられるなんてコスパ最強な豪華9品です!
新鮮なお造りを味わいつつ、どれから頂こうと目移りしてしまう品数の多さと、どれも白ご飯に合う美味しさで大満足。
レモンの効いたふんわりとしたサーモンのムニエルはクリームソースだけでも絶品、口の中が幸せに包まれました。
明太子はオリジナルで、こだわった製造です。
無着色にこだわり昆布漬けし、すべて手作業による手間をかけた芳醇な大人の味。
辛さ控えめで旨味が優しく広がって、もう一口食べたくなります。
お土産でも取り扱いがありました。
この日は30℃近くあったので持ち歩きは断念しましたが、鯖寿司や鱧寿司もテイクアウト可能です。
海鮮居酒屋 魚河岸「宮武」
京都市下京区西新屋敷下之町アンクル島原1F
※ランチの予約は受け付けてないので並ぶ覚悟で行ってみてください。
山陰本線JR「丹波口駅」徒歩3分
バス「京都リサーチパーク前」徒歩10分
京都の歴史に触れるまち並みも散策
魚河岸「宮武」から少し足を伸ばすと、歴史を感じるスポットも沢山ありますよ。
新撰組の刀傷のある『角屋(すみや)』は、江戸時代の建物のようで、一部美術館として一般公開されていました。
温泉と食事が楽しめる『誠の湯 花車』。
もう少し涼しくなったら訪れてみたいです。
『誠の湯 花車』の向かい側にある『ギャラリーたんとん』でもひと休みできますよ。
器や絵画、民芸品などが販売されています。
今回は先を急ぐのでまたゆっくりとお邪魔します。
格子の美しい木造住宅『輪違屋(わちがいや)』は芸能の最上位を表す称号「太夫(だゆう)」や芸妓を抱えていた置屋(おきや)で、元禄年間(1688〜1704年)創業の由緒ある建物です。
現在の建物は安政4年(1857年)に再建され、明治4年(1871年)には今の姿のようで、京都市指定の有形文化財に指定されています。
島原遊郭ということもあり銅の灯籠が趣きありますね。
輪違屋は日本で唯一、今では一軒のみとなった太夫を抱えるお茶屋さんで、お座敷遊びができるそうです。
新選組にも縁があり、1階には近藤勇書の屏風、2階には桂小五郎書の掛軸があるとのこと。
次に訪れたい場所としてメモしておきます。
この辺りは昔ながらの長屋も多く残っていて、あちらこちらで提灯やのれんがかかっているのを見かけました。
宿泊施設に改装され、人気のようです。
京都の中心部は起伏があまりなく平坦な地形が続いているので、歩くにも自転車でも移動がしやすく、今回は少し広い範囲で散策してきました。
まずは先ほどの梅小路公園まで下がってみましょう。
まちの雰囲気ががらりと変わり、江戸時代から令和に一気にタイムワープした気分です。
京都名物のお肉屋さんで人気のコロッケをテイクアウト
七条通り沿いを何度か通る度に「黒毛和牛」の看板で気になっていたお肉屋さん『イマムラ総業』。
揚げ物メニューも豊富にあり、注文してから揚げてもらえます。待っている間もご近所の人が買い物袋片手に次から次へと並んで今夜のおかずに買って帰っていました。
真っ赤な看板には「日本一こだわりミンチカツ」「ドイツ農業協会(DLG)食品協議会金賞受賞」「国際味覚審査機構(iTQi)優秀味覚賞1ツ星受賞」。
どうやらただのミンチカツではないようなので、4種類いただきました。
揚げたてを紙袋に入れてもらい、中を覗くと衣がザックザク!ボリュームもあり、お肉と野菜の甘い香りがぶわぁっと広がってたまりません。
家に戻ってから頂きましたが、どれも優しい味付けがしてあって、ソースは要りません。
衣が違うのかベチャっとせず、サックサク。
どれもトロッとした野菜の甘みが味わえました。
中でもコロッケはしっとりホクホクですぐにお気に入りになりました。
これは金賞受賞!なのもうなずけます。
日本一こだわりコロッケ(100円)
お肉は極和牛の鮮度の良い良質なお肉を使い、静岡県の三方原馬鈴薯(男爵いも)を使用。
味の深みを出す為カツオ節と昆布の天然のダシを使い、タマネギは、甘みが強い淡路島産に高級生パン粉とこだわり抜いた材料です。
メンチカツ(150円)
牛串カツ(150円)
チキンカツ(180円)
どれも美味しく、お値段もお財布に優しいのが嬉しいですね。
リピート決定です!
株式会社イマムラ総業
京都市下京区夷馬場町35
山陰本線JR梅小路京都西駅 徒歩5分
さて、夜のおかずも仕入れたので、七条通りを東へ向かいます。
「野菜も売っている文具店『オフィス7マエダ』」。
この辺りにお住まいの方には便利そうですね!
『七条ふたば』は豆餅で大人気の『出町ふたば』からのれん分けされた和菓子屋さんです。
もちろん大人気の豆餅もいただけますよ!
七条ふたばからさらに東へ向かいます。
あれ?こちらの門は横から見ると半分になっていますね!初めて目にした時は門と分からず、家が半分!?
狭小住宅すぎる!と思って、ちょっとびっくりしました。
西本願寺。
いつ見ても迫力がありますね。
秋空に映えます。
黄色く色づく街路樹と秋の空。
四季を感じますね。
堀川通りを挟んで西本願寺の御影堂門の正面には大迫力の立派な『総門』があります。
その周辺には仏具屋さんを沢山見かけました。
歩いているとお香の香りがどこからともなく漂ってきます。
伝統的な日本家屋の街並みの中に現れた大きな洋館は迫力があり独特の景観が楽しめました。
こちらは明治45年に建築された『本願寺伝道院』で、重要文化財に指定されています。
外観は古典様式に基づく建物で、開口部まわりや軒まわり、塔屋の形態などにはサラセン様式が用いられ日本の伝統的な木造建築に石材や鉄を使い進化させた設計がみられます。
設計は東京帝国大学教授だった伊藤忠太。
「建築進化論」(石材や鉄に依存しつつも欧化でも和洋折衷でもなく、日本建築の木造伝統を進化させること)の提唱者でした。
こちらは大正時代に建てられた建物で京野菜を使ったおばんざいメニューが頂けるカフェ『食と森』です。
15時のおやつにモンブランを目当てにカフェまで歩いてきましたが、あちこち立ち寄りながら歩いていたら営業時間に間に合わず、残念。
モンブランと限定数のプリンはお預けです。
京野菜のおばんざい京町家カフェ「食と森」
京都市下京区蛭子水町605
※食材の終了次第で終わる事もございます
地下鉄「五条駅」徒歩13分
近くにある『京つけもの西利 本店』2Fにある『AMACO CAFE』で甘麹レモネードスカッシュをいただき、北上していくと『illy』の看板。
意匠が美しい『Café ら萬』です。
オシャレ。
「行ってみたい」リストに登録しておきます。
スタート地点の五条大宮に戻ってきました。
お漬物で有名な『川勝總本家 本店』。
素敵な建物です。
まちブラマップ
今年の夏はとてつもなく暑かったですが、10月上旬ようやく京都も秋らしい風が吹いてきました。
まだまだ半袖で過ごせる日も多く、この日も日差しが暑かったのですが、夕方から現れたウロコ雲の影に救われました。
今はまちブラするには一番歩きやすい気候で気持ちよかったです。
紅葉が始まると京都の一部地域は観光客で大混雑になりますが、まちブラをしながら穴場スポットを探す京都暮らしも楽しいですよ。
京都をまちブラしよう!
京都の他のエリアもまちブラしています!アーカイブページから他の記事もチェックしてみてください。
コメント