こんにちは。

サービスマネジメント部の山口です。私は経理・財務・各種調査等を専門としていますが、より深く不動産及び建築の知識・スキルを身に着けるために、営業セクションである暮らし企画部で1年間の修業中です。

今回は主に、修行中に感じた京都や京町家並びに八清の現状や魅力を簡単なマーケティング理論を使ったアプローチでお伝えしていこうと思います。

「信じる者」は儲かる!?

「京町家ブームですし、八清さんの改修物件は人気が高いので、かなり儲けている(or儲かっている)んじゃないですか?笑」

「いや、ボチボチですよ。(苦笑)」

関西圏(特に大阪)では挨拶のようなやり取りですが、私は生粋の関西人ではないし、営業マンでもないので、この「儲けている(or儲かっている)」という言葉の曖昧さに、最初は凄く違和感を覚えました。

「すいません、『儲ける』又は『儲かる』ってどんな状態ですか?」とホントはすごく聞き返したかったのですが、確実に「面倒くさいヤツだな」と思われるのでやめました。

全ての会社の決算数値は「黒字」か「赤字」しかありません。

「黒字=儲かっている」「赤字=儲かっていない」という単純な話にしてしまうと、売上拡大に伴う黒字、従業員の給与カット等で実現した黒字、保有していた有価証券がたまたま高く売れた黒字では、仮に同じ1億円の利益でも全くの別物です。

たとえ、会社が黒字でも給与カットされた従業員としては「うちの会社は儲かっているな」とは100%思わないからです。

あるとき、Google先生からこんな言葉を教わりました。

儲けるは欲 儲かるは道

実業家 田辺昇一さんの名言

「儲けるは欲」...自分たちの生活水準向上の為に「儲ける」

「儲かるは道」...お客様から喜ばれ、利他の結果として「儲かる」

 

「自己的(欲)」と「利己的(道)」の2つの考え方によって、表現の仕方を変えています。

どちらが良い、悪いというワケではないのですが、私は「欲」で儲けるよりも、「道」で儲かる方が好みです。

 

深い!深いよ!グーグル先生!

また、Google先生はこんなことも同時に教えてくれました。

「儲」という漢字は、「信」と「者」からの2文字から作られています。

つまり、信+者=信者(ファン)を増やすこと。

 

 

先生、涙で前が見えないっす!

「八清さん、儲かってまっか?」

「お蔭様で儲かっています(信者=ファンの方がまた増えました)!」

と胸を張って言えるように、一日も早く不動産及び建築の知見を高めて、お客様のお役に立てる新しいサービスを提案出来ていければなぁと思う今日この頃です。

DEAD OR ALIVE

DEAD(赤字) OR ALIVE(黒字)

20代の頃に勤めていたコンサルティングファームで最初に教えられた言葉です。

「クライアント企業の業績が赤字になれば、君はDEAD(=コンサルタントとしての価値無し)だから」という意味です。

業績が赤字に転落するというのは、基本的には信用が低下し金融機関からの資金調達がし辛くなるため、企業にとって「黒字or赤字」というのは正に死活問題なのです。

ちなみに、八清の京町家再生・販売事業は「黒字(ALIVE)」です。

ここで話が終わってしまうと身も蓋もないので、八清の京町家再生・販売事業は市場環境も含めどのような黒字のステージにいるかをプロダクト・ライフサイクル(PLC:製品ライフサイクル)という図を使って説明してみようと思います。

プロダクト・ライフサイクルいうのは、メジャー級のマーケティング理論で、製品・サービスが市場に参入してから撤退・退出するまでを4つのステージに区切って表現しています。

ステージの特性に即して、どのようなターゲットに、どのような方法で、どのような価格で...という具合に作戦を練っていく上で非常に便利な考え方です。

プロダクトライフサイクル

八清の京町家の再生・販売事業は、現在、成長期と成熟期の間にあると考えられます。

導入期では、京町家の再生販売を手掛けている会社は皆無でしたが、ここ10年ほどで急激に増加しました 。

また、導入期では、「京町家大好きさん」「京都の歴史狂」「千里眼を持っているかのような投資家」というコアなお客様から のお問合せが中心でしたが、昨今では民泊ブームもあり「投資としてちょっと興味がある」「ゲストハウスを始めてみたいな」というお客様に変化してきました。

八清ロゴ入りグラフ

八清が立っているステージは、競合と顧客がまだ増えていくのか(成長期が続く)、それともピークを迎えるのか(成熟期に入る)の見極めが非常に難しい位置で、「戦略的にどのような舵を切るのがベストなのか」という判断が極めて難しい位置にいます。

「黒字(ALIVE)」状態である間に、環境がどちらの変化にも適応できるように準備をしているというのが当社の現状です。

競合(供給事業者)が増える≠価格競争が起きてもっと買いやすくなる

私が学生の時に衝撃を受けた文献が2つあります。1つは「ナニワ金融道」、2つめが「アダム=スミスの市場原理」です。

「ナニワ金融道」は 、その独特な画力に加え、クセのある言い回しや登場人物がナニワの濃い雰囲気を見事に表現しています。

大人になれば住宅ローン、教育ローン、商売をしている人なら事業融資など、借金する場面が必ず出てきます。

みんなお金に苦労しています。

そんな時に、お金に関わる法律や行政の考え方、金融の仕組み等、知っているか知らないかで雲泥の差が出てきます。

それに気づかされる入門編のような漫画です...っと、本旨とはそれますので、ナニ金の魅力を語るのは、またの機会に譲り、「アダム=スミスの市場原理」に少し触れたいと思います。

モノと サービスの価格や量は、買いたい人が欲しい量と、売りたいと思う量のバランスで決まるというヤツです。

この理論を図にしたのが下記の需要と供給曲線です。

おそらく、誰もが一度は目にした事があろうかと思います。

この美しすぎる芸術的曲線を18世紀に表現したのですから、アダム=スミスという人は天才です。

需要曲線.gif

市場原理では、「供給が増えるか、需要が減れば」価格が下がることになります。

一見、京町家に関しても「供給業者が増える=価格が下がる」とも思えますが、そうではありません。

何故なら「供給出来る京町家の数量自体が限られているから」です。

平成20~21年に財団法人京都市景観・まちづくりセンターと立命館大学によって行われた調査によると京都市内に現存する町家は約47,700軒でしたが、今年3月の追跡調査では、7年間で5,600軒が消失しているとの結果がでました。

年平均800軒、1.7%のペースで取り壊されているそうです。

つまり、金や美術品と同様...とまでは言えませんが、京町家は今や「希少品(レア物)」なのです。

地価変動を無視して考えれば、取り扱い業者がいくら増えようとも供給出来る母数が限られている以上、買い手の数(需要)が減らない限り、価格は下がらないということになります。

京町家の均衡価格と八清の成熟期

現在の民泊ブーム(投資需要過多)が落ち着きを見せれば、需要が減るので、市場原理通り価格は少しずつ下がってくるはずです。

また、同時期に八清の京町家再生・販売事業は「成熟期」を迎えることになります。

「っで、それっていつなん?」という質問が飛びそうですが、正直わかりません。

ただ、「良い京町家を手の届く価格で買いたい」というお客様のご要望にお応えし、一人でも多くの方に、京都、京町家並びに八清のファン(=信者)になって頂けるよう、社員全員で新しい研究やアイディアに挑戦を続けています。

八清の新しい取り組みについては、プレスリリースや他スタッフが綴ってくれると思いますので、今後、私の方では不動産や京町家に関するニュースや経済指標等を取り上げ、京都並びに京町家の市場環境の変化について発信していければと思います。