こんにちは、京都は初夏といったいい季節になってきましたね。
桜から新緑へと、どこを見ても気持ちの良い景色がいっぱいです。
やっと順番がまわってきました(笑)
サービスマネジメント部の松本です。
私は社内財務を中心とする業務のほか、過去には15年ほど売買の営業経験もあることから、 物件の新しい活用の企画をしています。
八清内での事業展開
スエヒロガリブログをご覧の皆様はご存じのとおり、八清は町家の事業展開として、住宅販売、シェアハウス、宿泊施設、マンスリー、コワーキングスペースを手掛けています。
また、町家以外の建物でも、賃貸マンション経営、コンセプト型新築貸家(ゑびす小路)、バイクパーキング、コインパーキング、以前はコインランドリーも行っていました。
いち早く「他社とはチョット違う」の視点をもって展開してきました。
「まずはやってみる」
「面白いことを真面目に取り組む」
といった社風からくるものでしょうか・・・ね。
おもしろいと思い、共感しやってみたいと思う事業をどんどん進めています。
もちろん事業性と不動産との関連がないとだめですが、いまでは建築、IT、語学、とバラエティに富んだスタッフの融合のおかげで色んなことができるようになってきました。
今の事業の発展系や新しい企画も進行中です。
賃貸用住宅の空き家問題
前述のような事業展開の背景にあるのが空き家活用、資産活用ということになります。
平成25年度データ では、全国で住宅件数は約6062万戸あり、空き家は約820 万戸(空家率は13.5%) 。
京都府では住宅件数約132万戸のうち空家は約17.5万戸(13.3%)です。
そして京都市では住宅件数約81万戸のうち、空き家は約11万戸(14.0% )になっており、全国平均と比べても高い割合となっています。
これはなかなかの問題です。
空き家問題の中で私が常に深刻だと思っているのが、賃貸用の住宅です。
全国の空き家約819万戸のうち賃貸とされるのが約429万戸(52.3%)です。
その中で賃貸用共同住宅(マンション、アパート系)は約374万戸、空家全体の45.6%を占めています。
京都府でみると賃貸用住宅の空き家が約8万戸、空き家全体約17.5万戸に対し46%が賃貸用住宅なのです。
驚きの数字ではないでしょうか。
総務省統計局:平成25年住宅・土地統計調査 特別集計より
今後を見据えた賃貸活用
少子高齢化、人口減少という今後の情勢を考えた場合、実際に京都市内で管理されない空き家がいっぱいになると、街並みや京都のイメージに大打撃を与えかねないと思いませんか?
やはり建物は使って初めて価値を見出され、それが暮らしと密接に関係しあい、文化を継承し、景観をなしていくのだとおもいます。
京都は昔、文化の中心かつ日本の一大商工業地域で、いろんな職人や商人が集まり、常に新しいものを受け入れ、伝統や文化と融合させてきました。その根底には、祇園祭りなどにみられる町衆文化や新しい商売(ベンチャー)気質があります。
空き家活用の結果、テナントが増えることは次の発展、住民の豊かな暮らしの実感につながり、所有者本人が住まわない家も、いろいろなかたちで流通させることで、価値を見出されることができると思います。
今後は、二拠点居住=マルチハビテーション※注1 や海外の方の別荘づかい、ニッチな使用方法、風景や景観デザインにあった貸家・店舗を増やさないといけないのではと考えています。
総務省統計局:平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約
※注1 マルチハビテーションとは・・・用途や必要に応じて2つまたは複数の生活拠点を行き来しながら生活するライフスタイル。平日は都心で勤務し、休日は田舎のセカンドハウスで過ごすなどのケースがある。
八清版コレクティブハウスが生まれたわけ
八清も多くの賃貸用(マンション)共同住宅を所有しています。
昭和50年~平成の最初に建てられたものが多く、以前は空室対策として家賃を下げるなどしながらしのいでいました。
(昭和56年築「上鳥羽ハイツ」(南区)・現在満室稼働中)
そんな中、平成23年にご縁がありワンルームの賃貸マンション一棟を購入することになりました。
当時すでに築17年23室中15室が空室でした。
八清らしさをどういった形で表現するか、私は購入担当として当時だいぶんと悩みネットサーフィンを繰り返していました。
家賃を下げて入居者を募ったり、新しい設備を入替え募集しても、退去者が出るたびに同じことをやり続けたら、改修費だけで月々の家賃が消えていき運営が成り立たないのは目に見えています。
そんな誰でも思いつくような即席の解決策ではなく、いかに劣化しない価値、競争力をつけることができるか?
工夫のための改修費は必要ですが、経年をポジティブに捉え新たな価値をつくることが、リノベーションの最大のモチベーションであり、新築時の状態に戻すリフォームとの違いだと思います。
悩み続けるなか、家賃を維持するために単純な改装をするのではなく、楽しそうで一度住んでみたいと思わせる仕組みをつくることが重要ではないか、という考えに及びました。
住めば、住むほど「愛着」が湧いてくるワンルームマンションをつくることはできないだろうか?と。
ずいぶん昔のことではありますが、私が一人暮らしを始めた時、部屋にキッチンとトイレはありましたが、お風呂は当時入居していた男3人での共同でした。
そのため、入浴の順番や風呂掃除という入居者同士の交流のきっかけがあり、いつも誰かの部屋で談笑や風呂上がりを楽しんでいたことを思い出しました。
当時第一号のシェアハウスも運営を開始したばかりで、「シェア」と言う言葉がキーワードになり、シェアハウス未満ワンルーム以上で、きっかけの場を提供すれば面白いのではと思いました。
そこで「ワンルームに住みながら、人との距離感を自由に作れる場としてリビングダイニングキッチンを提供する」ことにしました。
こうしてできたのがシェア/L/D/K です。
何でもかんでも費用をかけるのではなく、削ぎ落とす部分、付け加える部分を線引きし、新しい住み方の提案です。
完成したシェアルームは、あくまできっかけの場であり、入居者みなさんの協力も必要です。
今では、連絡ボードやSNSを使い入居者さんが自発的に「イベント」を提案されたり、仲良くなったグループ同士で出かけたりするそうです。
このように、各戸にキッチン・浴室・トイレを備えながら、共同で使用できるキッチンやダイニングなどがある集合住宅をコレクティブハウスといいます。
当時は「コレクティブ」と言う言葉も知らず、後になりこの形態は何だ?と調べて知ったぐらいです。笑
日常では会わない人達と一緒に住み、毎日をほんの少し特別な暮らしにできるのが八清のコレクティブハウスの魅力です。
いまでは少しずつ特徴の異なる、
を提供しています。
「シェア16LDK」(2017)ほとんどが空室だったワンルームマンションをまるごとリノベーション。1階の2室をつなげ、キッチンを設けた共有リビングルームにしました。
各室の改修例。壁面をDIY可能なボードにするなど、入居者に楽しんで住んでもらえるように、カスタマイズできるような工夫をしています。
「ハイツ白鷺」(2018)半数が空室だったマンションをリノベーション。元の所有者が使用していた大きなスペースを、共有のライブラリーを設けたタイプ。北欧の図書館をイメージしています。
空室だった部屋の改修例。単純にクロスの張り替えだけでなく、デザイン性にもこだわりました。
終わりに
今年度、京都府がコレクティブハウスの調査に予算を付けました。
行政も注目をしているようです。
京都新聞:2018年2月24日記事より
立地や設備だけが、暮らしの豊かさや心地よさを決める物差しでしょうか?
建物の設備・機能性というハード面、日常の暮らし方というソフト面。
両者はとても密接な関係です。
八清はこれからも自らの実践を通して得た生の声をみなさんにお届けしながら、空き家問題にも取り組んでいきます。
石松陽一
いつもSNS等で御社の最先端の素晴らしい企画を陰ながら参考にさせていただいています。また、機会あれば御教授お願いいたします。
松本
石松くん、いつでもどうぞお越しください。