日頃さまざまな方と一緒に仕事をさせていただいている中で、あらためてこの人と話してみたいと思う人や、気になるこの人に会って話を聞いてみたいなど、八清社員がいま会ってみたい人に話をうかがう企画です。
シリーズ第2回の今回は八清の専務・西村直己が、知人で公認会計士・税理士である笹谷 誠吾さんとあらためて話してみたいということで、おうかがいしました。
笹谷さんはご実家が不動産を所有され大家業をされており、お持ちの不動産の中には京町家も多くあることから、京町家の不動産投資についてや、会計士・税理士という観点での不動産投資についてお話をうかがいました。
プロフィール
笹谷 誠吾
笹谷公認会計士事務所 公認会計士・税理士
京都生まれ、京都育ち。地主の家系で育ったことから税金や会計に詳しくなろうと決意し、大学在学中に公認会計士試験に合格。2012年公認会計士及び税理士登録。
西村 直己
八清 専務取締役
専務として八清を率いるほか、仕入れや投資の相談などにも従事。昨年、個人でも大家業をスタートし、お客様に寄り添ったご提案ができるよう勉強中。
現在の京都の不動産市場
―京都ではここ数年ホテルやゲストハウスが一気に増えて建設ラッシュとなっていましたが、最近では落ち着いてきたように思います。
今はもう宿泊業は飽和状態で、厳しい局面を迎えていますね。
そうですね。
いけるとみたら日本人は同じようなものを建てる傾向がありますね。
特徴がないですよね。
同じようなホテルを新築で建てたり、リノベーションできれいにしていただけでは稼働率が上がらないのではと思います。
評判のないところからスタートして、ポータルサイトでレビューがたまって稼働が上がってくると思ったら「あれ?あがらない」みたいな。
ちょっとずつ稼働が下がっているという話はよく耳にしますね。
当社で、リノベーションした京町家を宿泊施設として1棟貸しをはじめたのは10年ほど前でした。
そのころは斬新なアイディアだったんですが、今から宿泊業を始められる方は、建物によっぽど特徴があって、ちゃんとマーケティングしないと、稼働率を上げていくのは難しいんじゃないかと思います。
京都の土地の価格はどうでしょうか?
ホテル建設ラッシュの影響で吊り上がっていた土地の値段が、徐々にラッシュの前の値段に戻りつつあります。
でも、まだ京都の中心部はなかなか若い人が購入できるような金額ではないですよね。
個人的には"西陣ブームが来る説"を唱えているのですが、まだ時代が追いついていないようです(笑)
友人やお客様でおもしろいことしている若い人が西陣あたりの古い家をリノベーションして住んでいるので、いいイメージがあるんですよね。
京都に住むなら郊外に行けば行くほど宿泊業の影響を受けにくく、価格が手ごろになっていきますね。
西陣は西陣織という伝統産業があり斜陽化しつつありますが、現代におけるクリエイターが集まる場所にしたいという構想が京都市のまちづくりの計画にあるんじゃないかと思います。
京都で投資するならレジデンスがいい
―京都で物件を購入してゲストハウスにという投資が下火となる中、今購入するならどのような投資がいいのでしょうか?
不動産投資でいうと中心部は利回りが悪い上に高くて買えないですよね。
例えばいい自宅を7,000万円かけて建てたとして、投資でもう1軒中心部でっていうのは無理ですよね。
そうですね。
投資目的で不動産を買うなら利便性と資産価値がとても大事ですからね。
利便性が低い高級住宅地の人気は下がりつつありますが、景観の良いエリアの評価は今後見直されるような気がします。
投資をするなら、入居者を見つけてレジデンスにするのはいいんじゃないかと思いますけどね。
そうなんです。
不動産投資をするなら居住目的の貸家をおすすめしています。
マンションはちょっとクリーニングしたら、すぐに新しい入居者を探すことができますが、京町家だと建具が雑に扱われていたりすると結構修繕費がかかることがあります。
また、古い家が多いところは木造の家が密集しているので、手厚い火災保険に入ることをおすすめします。
確かにそうですね。
買い時売り時を把握してうまく運用できるならマンションでもいいと思います。
しかしながら分譲マンションはある意味においては再建築不可と同じ。
区分所有権ならではの修繕計画や管理の難しさがあります。
管理組合や修繕計画が機能していないマンションはどこかで売却したほうが良いケースは多いです。
建て替えの際の修繕積立金不足や管理組合としての意思決定も難しいし、既存不適格の問題もありますからね。
京町家は貸家としてのニーズがある
路地奥でも連棟じゃなければ、リノベーションして新品同様で味のある家に住むことができますからね。
連棟でもリノベーションはできるんですよ。
共有の柱を触らずに内側に柱を立てるなどして補強はできるんです。
へーそうなんですか!知らなかった。
これから京町家は減っていくものなので、希少価値がでてきますよね。
戸建の賃貸住宅は貸し方がネガティブで、使わなくなったから貸しますということが多いのですが、貸すために改装して所有するという人は少ないので、そこに商機があるんじゃないかと考えています。
当社のデータではマンションと同等以上の床面積単価の賃料で貸せていることも多いです。
おしゃれで味があるし、ペットに対応することもできるので、貸家のニーズはあると思います。
そうなんですか!
テナント貸しの場合、広いスペースが必要となるので構造上必要な壁や柱を内装工事の際に抜いてしまう人がいて、元に戻すのにお金がかかるし、復活できないこともあるので要注意ですよ。
改装する場合は図面を見せてもらって建築士の意見を仰いだほうがいい。
変な改装をされたら元に戻らないですからね。
変な改装をされて1,000万円改修にかかったことがあるんです。
それは大変でしたね。
オーナー側としては雨漏りなどの修繕や構造躯体は直したうえで、内装は自由にどうぞのほうがいいですね。
事業用は住宅より若干賃料を高く取れるというメリットはありますが、構造上大事な箇所も改修されちゃうというリスクもあるので注意が必要ですね。
ゆるりともてるのが京町家のいいところ
リノベーションしてレジデンスにすると利回りはあると思うのですが、市場的に再建築不可の物件はどれほどの値段がつくのでしょうか?
八清の傾向で言うと、土地の単価は建築基準法の道路に面する物件の単価の半値程度に設定していたら売れるケースが多いです。
リノベーションされて10年以内とか建物の耐久性がある状態での表面利回りで、よくても5.5%ぐらいです。
土地の評価と建物の評価がある程度残るので、そんな高い利回りにはならないですね。
ということは流通性が高いということの裏返しなんです。
保有している側であまりイメージがなかったんですが、京町家って流通してるんですね!
マンションだったら利回りでしか決まらないところありますよね?
マンションは面積が小さくなればなるほど利回りでしか決まらない世界になってきますね。
マンションは基本的に管理規約や使用細則で住居以外が禁止されている事が多く、投資用しか残りにくい傾向があります。
そうすると間取りやデザインなど、こだわることができる部分は少ないので、利回り勝負になってしまいます。
京町家の場合は面積が小さい物件は少ないし、収益率のみならず所有者が使う場合も価格形成の要因に含まれます。
京町家を自分で使う場合、住居以外にも店舗、事務所、工房、アトリエ、倉庫など色々なニーズがあるので、単純に利回りだけの比較になりにくいです。
京町家は投資的には利回りが高くはなりにくいですが、路地奥であれば5%以上の物件も見つけられると思います。
マンションは古くなると建て替えの問題が出てきたり、利回りも変動しますしね。
アクティブに売り買いしないといけない。
そう考えると京町家はのんびりゆるりともっていられるのがいいんですね。
投資の場合、売却価格が購入時より下がってしまうとトータルの収支や収益性に大きく響きます。
当社のデータでも示されているのですが、京町家の立地は歴史がある良い場所が多く建物の希少性と経年が味わいになるような要素も価格の下がりにくさに寄与する傾向があります。
もちろん給湯器や屋根は傷むのですが、躯体はちゃんと作られていてメンテナンスをしていればそんなに痛みません。
京町家は頻繁に売買しようというより、ゆっくりもっているほうが断然いいと思います。
投資のおもしろさでいうと東京の方がおもしろさはあるのかなとは思いますね。
京都は価格の起伏がゆるやかなので大きく上がり下がりすることはないですよね。
そういう意味で言うと安全にやりやすいですが、おもしろさで言うと東京・大阪の方がいいかもしれないです。
のんびりもっていたい人には京都がいいと思いますね。
所得を抑えたいなら、改修済の中古がおすすめ
―投資ってある程度利回りが欲しい気もしますが、どういう投資家の方に京町家は合っているのでしょうか。
利回りは投資の収益性の一つの尺度ではありますが、安全資産を保有したいとかリスクをとっても利益は欲しいとか、節税したいとか投資家さんのスタンスによって 変わりますよね。
ブランド力の高いエリアの高額物件をポンと買うような財力のある人は確かに利回りを気にしていないです。
物件の価値で買っていますね。
高所得者の中には自分の所得を押さえて節税したい人もいますしね。
自分の所得を抑えたいなら断然、改装した中古を買うのがいいですね。
中古資産の耐用年数は短いですよね。
例えば、退任が見えている会社の役員の方とかにはとてもいいですよ。
課税の繰り延べができるので。
簡便法っていうのがありますもんね。
本来の耐用年数の2割とかなんで、いい費用をだすことができますよね。
海外の物件で減価償却による赤字を利用した節税が出来ていたのですが、それができなくなるので、京都や沖縄の物件が注目されてくると思いますよ。
そうなって価格がまた高騰したら嫌ですね。
京都はニッチでいたいですよね。
路地奥の物件って市場価値としては低いですが火事とかにならない限りずっとつかえますよね。
京都市も昔は路地なんかなくしてしまおうという方針でしたが、最近は残しながらどう防災をしようかとか、建て替えを認める動きもでてきています。
建て替えの規制を緩和する動きがあるみたいです。
将来的に再建築不可の物件が再建築できる可能性もゼロではないかもしれません。
自分でリノベするのではなくリノベ済みの物件を買うのが絶対にいいですね。
自分でリノベーションしちゃうと耐用年数が22年くらいになってしまいますもんね。
じゃあ八清のリノベ物件がいいですね(笑)
単純に固定資産税とかも安いですもんね。
評価額が安いから結果かかる税金が安くなりますね。
鉄骨の新築を建てたらびっくりするような金額になっていることもありますからね。
改修した物件は固定資産税課の方が来られて評価をアップされることが多いです...
まあそれはどうしようもないですね。
とはいえ、新築のような評価にはならない傾向にはありますね。
魅力が詰まった路地奥物件は熱い!
知人に2,000万円くらいでいい投資物件ないって聞かれたら絶対路地奥って答えますね。
路地奥でもきれいに直したら、家賃9万くらいにはなるじゃないですか。
10年に1回くらいメンテナンスしてあげたら30年40年は普通にもつし。
買ったときはちゃんと補強とかはしたほうがいいとは思いますけど。
表通りに面していても、路地奥でも賃料って別にそんなに変わらないですからね。
西村家は道幅1m弱の路地奥に住んでいて、傘がさせないんですよ(笑)
でもそこで子どもがボール転がしたり、走ったり、車もこないので遊び場になっていましたね。
僕も子どものころ路地で遊んでました。
僕は今後の規制緩和の観点からも、路地奥が熱いと思いますよ!!
ぜひ路地奥の良さを広めてもらって八清をご紹介ください(笑)
京町家投資のメリット
・戸建賃貸(貸家)は賃貸マンションやアパートと比べて競争が少ない
・再販価格が下がりにくい、メンテナンスのしやすい特長があり中長期の資産形成に向く
・路地奥は担保評価の問題から割安になる分、利回りが取れる
・節税対策にもなる
会計や節税対策などのご相談は笹谷公認会計士事務所へ
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※2020年2月時点の情報です
※記事の内容は個人の見解によるものです
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