パレットハウス

story

「あなた、新しく住まれるかた?」

庭で写真を撮っていたWeb担当の背中に声をかけてくださったのは、東隣の家のおばあさん。

敷地の広い家が並ぶパレットハウス周辺は、それぞれの家がほどよい距離感を保ちながら建っています。

この家の良さを伝えるために撮影をしていることをお伝えし、ここは空気が美味しくて本当にいいところですね、とお答えすると、
「本当にそうでしょう?町も近いから便利なのよ。
夏も涼しいし、ほんと、エアコンなんてつけたことがないのよ、夜も扇風機だけで。
冬は町中より少し寒いけど、雪は少ないのよ。」

と、この町について笑顔で教えてくださいました。


外観

町が近いとは言え、少し山手の住宅街。
地元でお仕事されている方が多いのかと思いましたが、お話を伺うと、近隣に住まれている方はほとんど町へお勤め(サラリーマン)なのだそうです。

「ほら、町まで車ですぐだから。
皆ほんっとに、いい人ばかりでねぇ。」

と力を込めて教えてくださるおばあさん。

「買い物は(ご主人に)車を出してもらうのよ、近くにスーパーマツモトがあるの。
街道に出ればコンビニもあるし。便利ねぇ。でもね、ここは大通りから少し入っているから静かでしょう?
(街道を)渡った向こうに酒屋さんもあるのよ。」

風景

人は環境に慣れていくもの。
長年暮らしている人が迷うことなく「いい」という場所は、暑くても寒くてもきっと居心地の良い場所。

「いいところ」というのは、空気がきれい、とか自然が豊かとか、まして便利、などという条件で決められるのではなく、「地域の人に愛されているかどうか」のひとことに尽きるのかもしれません。

写真は11月初旬、パレットハウスのお庭に咲いていた華やかなサザンカと清楚なお茶の花。
名前はお隣のおばあさんに教えて頂きました。
いずれも10月~11月に咲く秋の花です。

色とりどりの花や木々が庭に育つのは、中古住宅ならではの楽しみです。

風景

工夫と遊び心がいっぱい詰まったパレットハウスの面白い使い方を、色んな人に考えてもらおう。

そう言い出したのは、パレットハウスの設計を担当するMIXのメンバーの1人であると同時に、同志社女子大学の講師を務める大西先生。

「ベンチャービジネス論」を専攻する大学生の皆さんに、パレットハウスの楽しい使い方をご提案いただきました。

現実的なものから夢膨らむもの、
笑ってしまうものから考えさせられるもの。
全部で100通りもの個性豊かなパレットハウス案が集まりました。

同志社女子大

課題

ファクトリーはL字形になった建物の一番端、
居住スペースとの間に設けられた壁によって
独立する空間。

かわいらしい三角屋根を横断する太い梁、
見上げる高い天井が想像力を掻き立てます。

倉庫として使うのはもちろん、作業スペース、
子供部屋、工房、アトリエ、ショップにオフィス、
暮らす人が自由に使ったり変更したりできるよう、内装は壁と天井のみシンプルな仕上げ。

さて、集まったパレットハウスファクトリーの
面白い使い方とは?

ファクトリー

こちらでご紹介するのは栄えある最優秀賞作品。
同志社女子大学 宇藤さんに
ご提案いただいた「陶芸の部屋」です。

この作品は、日常を忘れ、ゆったりとした時間の中で過ごす休日をコンセプトに考えられたもの。

気軽に扱える家庭用焼き窯やろくろを使って京都らしいおもてなしや和の心を日常に取り入れ、
「ものづくり」を通して家族で楽しんだり無心になる時間を積極的に作る案は、
「自分と周囲の人がいつも楽しくありたい」
そんな願いが込められたパレットハウスにピッタリです。

細部まで作り込まれた丁寧なイラストを手に取ると、宇藤さんが思い描いた、大きな窓から爽やかな風と光が射し込む陶芸の部屋のあたたかな光景が
目に浮かびます。

そのほか受賞作品はPHOTOページをご覧ください。

プラン

10月半ば、爽快な青空と
朝の陽射しが降りそそぐ秋晴れのパレットハウス。

大工工事がほぼ終わり、
室内はこれから塗装の準備に入ります。

写真は、ファクトリーと並んで、
この家のメインとなるカフェリビング。

「玄関 開けたら すぐご飯」

を合言葉に作られたリビングダイニングは
コンクリートブロックで囲まれたシンプルな厨房と
カフェをイメージしたカウンター、
滑り出しの木製窓が並んだ土間の廊下と
腰かけて庭を眺めたり
カウンターに座った人と会話を楽しんだりできる
小上がりになった6帖のリビングスペースで
構成されています。

リビングダイニング

自分が楽しいと思うこと、周囲を楽ませることを
常に考えている小野さん(設計士)が

「住む人が楽しい、そして訪れる人みんなが楽しい」

を追求したパレットハウス。

玄関の目の前にカフェカウンターがあるのは、
お客様にお茶をすぐお出しできたり、
近所の人とお茶会を楽しんだり、
例えば庭でバーベキューをした後に、ここでゆっくりお酒を飲んだり会話を楽しむことができるように。

家がカフェのようだったら、帰るのもきっと楽しくなるし、料理やおもてなしが好きな人だったら、小さなおうちカフェをしてもいい。

玄関前がカフェコーナーのこの家なら、
奥のプライベートスペースと離れているので、
お互い気を遣わなくてもいい。

「毎日の暮らしの中で大きな比重を占める食事の時間が楽しくなれば、毎日はもっと楽しくなる。」
そんな思いがこの空間に込められています。

リビングダイニング

朝の澄んだ空気に心地よく響く鳥の囀り。

都会より一層濃く感じる青い空の下で
リノベーション工事真っ最中のパレットハウス。

燦々と降り注ぐ明るい太陽の光も、木々が生み出す新鮮な空気も、遮るものが一切ない
自然に寄り添う山のふもとの小さな町。

大きく深呼吸をすると、新鮮な空気で全身が満たされ、心も体も清らかで軽くなった気分。

自然が豊かで心地いい静かな環境。
まるで山あいの町にでもやってきたかのようですが、実は最寄駅(京福宇多野駅)までは約3Km、JR花園駅までは約4.4Kmの距離。

「いつかは自然に囲まれた暮らしを」
都会とバランスのとれた立地が、そんな大きな夢を叶えます。


外観

京都でも指折りの観光名所、
「仁和寺」と「高雄、神護寺」を結ぶ周山街道。

京都府外の方には、「周山街道」と言うより、
「嵐山高尾パークウェイの道」
(正確には高雄口ゲートのある道)
と言ったほうが、わかりやすいでしょうか。

そんな周山街道沿いから
少し山手に入った町の一角にあるパレットハウス。

京都の街中に暮らす人にとって週末にのんびりドライブするイメージの周山街道。
普通なら道でも間違えない限り、その横に広がる小さな町に入ってみることはないかもしれません。

多くの人が外から眺めているはずの、のどかな町の中には、昔ながらの大きな家々に沿って続く細い道と、積み上げられた古い石垣が作り出す風情ある街並みが広がっています。

外観

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