-
空気の流れが作る、快適さ。町家の作りである火袋は、建物の1階と2階を繋げる吹抜け空間。台所や居室で作られる暖気を上階へと逃がします。
2階へと上った暖気は、さらに屋根面まで上がり、天窓から外部へ放出することで、室内を適度な温度に保ちます。
部屋と部屋とのつながりだけでなく、上下階への空気の流れを生み出している火袋。町家独自の構造は、快適性を考える時にも、有効な作りであると考えられます。
-
坪庭に面した縁側には、夏に建具を開け放っておけば、庭からの冷気が室内に入ります。そして、建具を閉めてしまえば、空気層を作り、その空間そのものが断熱を促します。
庭に面した縁側だけでなく、表の格子にも、室内側に建具を設けることで、空気層が出来るようにプランニングされています。
-
外部の建具には、複層ガラスの入る木製建具を採用。
窓からの気温の変化を遮断します。建具の内側に、障子を嵌めて二重サッシとすることにより、断熱効果を高めることが期待されます。
また、外部の壁面と天井面はすっぽりと断熱材で覆っています。「冬暖かく・夏涼しい」そんな町家を目指しました。
-
天災で何が起きるかわからない現代。地域との結びつきが重視されています。「六条通商店街」という、小さな商店街に建つこの建物は、もともと八百屋さんとして営まれていたそう。
商店街としてはこじんまりとしている通りですが、昔からお住まいの方などが居られ、地域に溶け込みやすいとも言えます。
また、万一の停電時には、太陽光発電などが作動することで一定量の電力が確保できるので、地域の防災拠点としても機能します。
-
太陽光が当たると発電する、太陽電池モジュールを屋根の上に設置しています。
この家は南北に建っているため、太陽光の効率を考え、南向きの屋根の上に設置。日射しをエネルギーに変える、クリーンな発電です。電気を使わない時には、電力会社に買い取ってもらうことも出来ます。
-
都市ガスを使って、「電気」と「お湯」を同時に作り出す、エネファームを設置しています。
発電のときに生まれた熱を有効に使ってお湯をつくる、エコなシステムです。
-
床下には温風空調を設置。
盆地である京都。冬の厳しい底冷えに対応して、床下に温風を送り込み、コンクリートの基礎を温め蓄熱することで、1階の室内全体の安定的な暖房とします。
昔ながらの町家に見られるような、空気の流れを一定確保し、床下の温度・湿度を調整する「建物にやさしい仕様」 という利点を残して取り入れています。
HEMSとは、家庭用エネルギーマネージメントシステム(Home Energy Management System)。このシステムを使って、時間ごとの電気量、ガス量、温湿度を計測して住宅内のエネルギーを「見える化」します。
日々のエネルギー使用量、太陽光パネルやエネファームで、どれくらいエネルギーが作られているのか。情報はタブレットで手軽に確認することが可能です。「見える化」によってエネルギーを使うことへの意識付け、さらに、時間帯や季節によって異なるエネルギー使用量を効率的に監理することで、節電に繋がります。
エネルギーの「見える化」は、これからの省エネ住宅の一つのあり方。HEMSは「エネルギーを無駄なく使い、無理なく節約」するためのシステムです。
実証実験について
今回の改修計画は、京都市と共同して行っています。これからの京町家改修を考えるために、この町家でのエネルギー効果の検証や測定を行います。本物件は、事業趣旨を理解くださり、以下の実証実験にご協力頂くことを条件に販売致します。
実証実験の内容(京都市広報資料より)
- ご入居後1年間、生活して頂く中での使用電力量・ガス量・室内外の温湿度の計測を行い、省エネ効果等を分析するとともに、入居されている方への住み心地アンケートを実施します。
- また、京都大学大学院工学研究科の鉾井修一教授及び伊庭千恵美助教のご協力により、改修前後の建物外壁・内壁の熱伝導率、熱損失率等の計測・分析を合わせて行います。
- 上記の実証結果については、市民や住宅・建築関連業界等に広く情報発信し、今後の京町家改修のモデルの一つとして普及促進を図ります。