土壁と陰翳の町家(2022年)
まだ電灯がなかった時代、
障子越しにひそやかに届く光や
ろうそくの揺らぐ優しい灯りなど
陰翳の中でこそ映える芸術性を見出した美学が
この家にも宿っています。
シックなタイルの壁、
マットブラックで洗練された印象の水回り、
直線的な模様と柔らかな弧を描く左官仕上げの壁、
荒々しくも自然なあたたかみを感じる土壁など、
素材の風合いを生かした意匠の数々に
繊細な陰翳の濃淡が浮かび上がり、
美しさが一層深みを増しています。
暮らし企画部:張 芳源 / 建築ディレクション部:村元 萌