体験レポート~京町家について学ぶ~
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VOL.2 種類と特徴編

日本の瓦の三大産地は、淡路瓦・三州瓦・石州瓦を日本三大瓦と呼ばれています。

  • 【淡路瓦】

    兵庫県淡路島(旧淡路国)で生産される粘土瓦のブランド。 南淡路市を中心に生産されています。 美しい銀色のサエが特徴のいぶし瓦(全国一の生産量)を主体に、釉薬瓦(陶器瓦)、無釉瓦形状では和形やF形のほか多種類の形状のものが作られています。(焼成温度は1000℃~1060℃)
  • 【三州瓦】

    愛知県西三河地方の(旧三河国)を意味する「三州」を冠した粘土瓦を言います。 高田市、半田市、碧南市などの地を中心に生産されています。 釉薬瓦・いぶし瓦・無釉瓦の他に全国で唯一となった塩焼瓦もここで作られています。 F型(平板瓦)に転換して、さらに独自の防災機能をいち早く取り入れ、ハウスメーカーなどを中心に現在新築の屋根材市場のトップシェアの多くはこの三州陶器平板瓦(F型)が占めています。(焼成温度は1130℃~1200℃)
  • 【石州瓦】

    島根県の石見地方(旧石見国=石州)で生産されている粘土瓦を言います。 江津市の都野津地区を中心に、大田市、浜田市、益田市などでも生産が行われています。 独特の赤い色でしられ、赤い屋根の町並みや集落を山陰地方では至るところで見られることができる。焼成温度が高いため(約1300℃)強度に優れており、日本海側の豪雪地帯や北海道なだにおいてシェアが高い。現在は、年間約2億枚が生産されて釉薬瓦では全国シェアの20%程を占めているが、良質な原土の減少などが問題となっている。

■日本瓦の特徴

  • 断熱性:暑さ寒さをさえぎってくれる効果を持っている。
  • 耐久性: 何十年も、ときには百年以上も雨風、暑さ、寒ささらされ続ける屋根。そんな過酷な条件下でも、けっして品質・性能が低下しない。
  • 耐火性: 高温で焼成した瓦は、安全な不燃材、火災時でもっとも恐ろしいとされる、飛び火による類焼を防ぎます。
  • 耐寒性:-20℃の超低温による、20回以上の凍結融解操作にも瓦はまったく異常を示さず。
  • 耐水性:日本の平均的な年間降水量は1,500ミリ~2,000ミリです。陶器瓦(ガラス質)いぶし瓦(炭素膜)など、瓦自体の給水率が少ない。
  • 通気性:瓦の重なりの部分に空気だけが通れる道が生じます。この空間によって自然に通気・換気ができ、屋根の湿度・温度を調節することできます。
  • 耐震性:瓦屋根の耐震実験で震度7の巨大地震にも耐える耐震工法です。

■瓦の形状と特徴

  • <本葺き>
    瓦の伝統的な形で、受けとなる平瓦と、上にかぶせる丸瓦がセットになっており、現在でも寺社建築などに用いられています。
  • <J形瓦(和瓦)(釉薬瓦・いぶし瓦)>
    本葺きの平瓦と丸瓦を1枚の瓦に結合したデザインで引掛桟瓦葺きで施工します。機能性も兼ね備えたJ形の造形美は、古くから日本家々の屋根を彩ってきました。

    * 長さ/305mm
    * 幅/305mm
    * 3.3平米あたりのふき枚数(概数)/53枚
    * 3.3平米あたりのふき重量(㎏)/約143kg
  • <S形瓦>
    西洋建築とともに移入されたデザインで「S」はスパニッシュに由来します。かってのスパニッシュ瓦は、日本の本葺き瓦のように、山と谷が別々の瓦で構成されていました。そのスパニッシュを改良したのがS形で、山と谷が一体となった一枚の瓦で形成されています。

    * 長さ/310mm
    * 幅/310mm
    * 3.3平米あたりのふき枚数(概数)/49枚
    * 3.3平米あたりのふき重量(㎏)/約161kg
  • <F形瓦(平板瓦)>
    「F形」のFは、平面を意味するフラットに由来します。全体の印象としてはすっきりとした西洋感覚あふれるモダンな屋根に葺きあがきます。

    * 長さ/350mm
    * 幅/345mm
    * 3.3平米あたりのふき枚数(概数)/40枚
    * 3.3平米あたりのふき重量(㎏)/約144㎏
  • <ガイドライン工法>
    平成11年(2000年)5月の建築基準法の大改正により、建築物の構造や工事の内容を定めた政令、告示も平成12年(2001年)6月に公布、施行され、これに伴って、屋根の工事方法もより科学的、より安全なものに大きく変身しました。これまで1400年のわたって培われてきた伝統技術に加え、科学技術的データに基づいた新しい方法を示したのが「ガイドライン工法」です。

    * 大型台風 30~46mまでクリア
    * 巨大地震 震度7をクリア
    * 10年間の安心保証(品確法)
    * 21世紀の安心・安全・快適住宅「住宅性能表示制度」

    ガイドライン工法では、クギやネジなど、材料の段階から耐震性を細かくチエック。品質テストをクリアした部品のみが使用されます。

■軒瓦:軒先に飾られる瓦です。




終わりに・・・

京都に一文字瓦が多いのはなぜ??? 軒先の瓦の下端が真っ直ぐ・・一文字になっているのが、すっきりとして締まった感じがします。重々しく感じさせず、建物全体を締まって見せる効果あります。京都人は自分の家の裕福さ(財力の誇示)を一文字瓦であらわしています。瓦の真ん中の低い所(雨が流れる所)から垂直の下端が広ければ広い程、裕福であると言われています。現在の一文字瓦の厚みは、1寸5分・2寸・2寸5分があり、これ以上は別注になります。

 

report by 小西