ホームコネクター 現地研修
京町家の躯体を補強する新しい工法 ホームコネクター
ホームコネクター工法は、木造建築において木材を美しく、強く、そして簡単に接合する接合技術で、接合すべき木材にドリルで穴をあけ、中空式のボルトに似た接合金物を挿入し、木材とホームコネクター間の隙間を接着剤で完全に充填することにより、木材同士をガタ無く接合する技術です。
ホームコネクター自体は木材内部に収納されるため、金物の露出が一切無く、意匠を損なうこともありません。
木材同士の接合はもとより、木材とコンクリート、木材と鉄骨等の異種素材の接合が可能で、建築工事における広い範囲の接合に応用できます。
ホームコネクターにはT型とS型の2タイプのロッド形状が用意されており、この2種類のロッドで、木造建築におけるほぼ全ての継ぎ手・仕口をカバーすることが可能です。
①2009年2月7日、ハチセでは第1号となるホームコネクター工法を利用した京町家の改修がおこなわれました。当日は、当現場の大工さんだけでなく、ハチセの京町家改修にご協力頂いている皆さんにお集まり頂き、研修を兼ねて工事が進められました。
②これがホームコネクターを施工する前の現場の状況です。腐敗が進んでいた梁を切断し、新しい材を接ぐ工事をします。
③接合部の様子です。
④既存の材 、新しい材共に穴開け加工を施しました。
⑤ホームコネクター(T型)を2本設置し、新しい材と既存の材を結合します。
⑥⑦接着剤を注入し、充填が確認できた後、込み栓でフタをします。同様に2本目も同じ作業を繰り返します。
⑧2本のコネクターに注入が完了しました。はみ出した接着剤と込み栓は接着剤が硬化(約12時間)後、ノミで落とし、表面を整えます。
これらの作業で、無事、建物の重要な梁の損傷箇所を新たにすることができました。 伝統工法の特徴は、金物を使わず大工さんの技術力でもって柱と柱の接合が行われてきました。それらは「継ぎ手」や「仕口」と言って、その接合箇所に応じて様々な手法があります。ところが、建物を一から建造するのではなく、弱っている部分を交換しながら、修繕を加えていく過程において、それらには高度な技術力と時間を要します。より安全に、確かな品質を安心・納得の価格でお届けするために、ハチセが取り入れた新たな工法です。リ・ストック京町家は、今後も進化し続けていきます!
2009年2月7日