京都工芸繊維大学との共同研究実施について

このたび私たち株式会社八清は、京町家(伝統木造建築)の構造について、産学連携の試みとして国立大学法人京都工芸繊維大学と共同研究を進めることとなりました。今回の共同研究では、一定条件下の土壁に対して載荷実験を行い、その性能評価を測ることを目的としています。

京町家改修の技術・知識向上を目指して

京町家は、木材の組み合わせで骨組みが構成される木造伝統軸組構法(以下、伝統構法)で建築されています。「伝統構法」は、建築技術が発達する近代以前より、日本の歴史の中で脈々と受け継がれてきた建築手法です。この構法は、現在主流とされる在来工法とは構造特性が大きく異なり、改修には伝統構法の専門的な知識と技術が求められます。

八清では、平成17年ごろから、京町家(木造伝統建築物)の改修販売を主力事業として取り組んできました。やはり戦前の建物である京町家は、いくら修繕したとはいえ、経過年月から建物の耐力や耐震性を不安視する声が出てくることは否定できません。だからこそ、私たちの行う改修は単なるリフォームではなく、柱や梁、壁、基礎、屋根など、躯体構造を一から見直し、末永く安心して住まえるよう建物にとって最良の補修・補強方法とはなにか?を考え行っています。

平成22年には、「制震装置」を取り入れた「リ・ストック制震」として、京町家の構造に効果的であると考えた独自の制震工法を確立しました。このように、これまでの研究と積み上げた経験から、伝統構法の構造特性を活かした自社施工基準を設け、日々改修工事に取り組んでいます。京町家と向き合うようになり10年を超え、私たちは後世により良い状態で京町家を受け継ぐためにも、さらなる技術・知識向上を目指していきます。今回の共同研究により、1軒でも多くの京町家が残ることを願い、本プロジェクトを粛々と進めて参ります。


2017年6月

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京都工芸繊維大学との共同研究成果報告
実験名:「面外方向に傾いた京土壁の繰り返し載荷実験」