2月も中頃、雪がちらちら舞い一段と底冷えの厳しいある日。二条城近くの路地奥にあるT様宅を訪問しました。「一軒路地」とは、通りに路地の入口が面し、奥には自分の家だけがある。
つまり自分だけの専用の通路ということ。京都のそこらじゅうに走る路地と言われるものの中でも数少ない存在。そんな町家と出会い、昨年の秋に新生活をスタートしたT様ご夫妻にお話しを伺いました。
物件担当者:季節に関わらず、町家にお住まいのお客さまに必ずお尋ねするのが「寒いですか?」という質問。飽きるほど聞かれることかもしれませんが、ここはお約束で・・・。
思わずゆっくり寛ぎたくなるリビング
解放感ある天井の高さが魅力
T様:私たちはこれまで郊外に住んでいましたが、ここに移ってくるときももちろん寒いのだろうと覚悟はしていました。・・・でも、このお家は思っていたより寒くないのです!
特に2階と屋根裏を利用した子供部屋はとにかく暖かい。ここに移ってからは暖房の温度は前の家よりも下げるようになりました。
南向きの高い位置に窓があって、日の入り方も良いですし、何より、無垢のフローリングにしたのも良かったですね。足元が冷たくないですから、家全体が温まっている感じがします。訪ねてくる友人たちも、これは暖かい!と言って喜んでくれますよ。
でも、まだ秋・冬しか過ごしていないので、夏はどんな風に過ごすことになるのか気になるところですね。
物件担当者:吹き抜けがあるので本来は暖かい空気が上へ逃げるものだけど、透明の天井を貼ったことにより、上を見上げる解放感は残しながら、下の階も温かくなるのでしょうね、と現場担当は話す。確かにこうやってお話しを伺っていても、足元はさほど冷たくありませんでした。
全ての部屋を無垢のフローリングにされたそうですが、計画当初は畳も検討されていたそうですね・・・?
子供部屋からリビングを見て。ゆるやかに家族が繋がりを持てる空間に。
T様:そう、当初は畳の和室にすることを考えていました。でも、畳を敷くと床が上がって段差ができる、と言われて・・・。できるなら足元はフラットな状態にしておきたかったので、思い切ってフローリングにすることにしました。
確か、旅行の最中にハチセさんから「どうしましょ~?」と、相談の電話がかかってきて。旅先にも関わらず二人で考えてましたね(笑)
最終的に思い切ってフローリングにしましたが、段差は無いですし温かさもあるので良かったです。前の家から使っていた和箪笥や筆机が違和感なく納まってくれたのも良かったですね。
・・・お話しを伺って(担当H)・・・
解体が終わった直後から毎週現場に通い、大工さんに色々と相談していたそう。
奥さまは「どないなるの?この家?」と思われていたとか。愛おしそうに家のことをお話しされるお二人はとても輝いていらっしゃいました。
DATA
- 所 在
- 京都市上京区
- 家族構成
- 3人(町家を購入、設計・仕様決めに参加されました。)
- 特 徴
- 一軒路地の奥で、小さいながらも坪庭がある。できるだけもとの状態を残し、古建具などを上手く配置して雰囲気造りを行った。
T様、ご協力ありがとうございました!
物件担当者:タイトルの通り、ここはいわゆる路地奥と言われる建ち方をしています。
しかし、テレビや雑誌でよく見かける路地は京都を象徴するような風景ですが、実は不動産として見ると、表通りに面していないし暗くて狭くて・・・、というイメージを持たれがち。さて、そういった面で抵抗はなかったのでしょうか?
T様:それほど気にならなかったですね。専用の通路だということで、隠れ家や秘密基地みたいなところが魅力。自分たちには合ってるような気がします。
ここは南向きに窓もありますし路地にしては明るい方じゃないでしょうか。でも確かに暗いイメージは持っていたので、できるだけ光が入るように工夫してもらいました。
この家との出会いは、 インターネットで八清さんのホームページを見つけ、興味があってオープンハウスに行ってみたのが始まり。特に町家に限定して探していたわけではありませんでした。そもそも古いものが好きなので中古にも抵抗はないものですから。
1軒目に見たものも、ここと同じような路地奥の町家でした。
ただ、すでにお客さんが決まっていた様子で。それで、次にここのオープンハウスに来てみると、前回と同じ営業の方がいらっしゃって、目が合った瞬間、お互い「この前の人だ!」と(笑)。そして色々お話しを聞いた後、帰りにこの廻りを歩いてみて、年がいってからも二人で住めるんじゃないか、と思いました。そこから後はとんとん拍子に話しが進んでいきましたね。本当に物件とも営業さんとも出会いだと思いました。