Vol.4 ウナギの寝床じゃない町家(下京区N様邸)

賃貸からの脱出を考え、ずっと不動産を探されていたN様。

ご夫婦の条件は、駐車場の確保とアクセスの良い立地でした。
当初、町家は大きいものしかないのでは?、改修費が高くつくのでは?というイメージの中で、物件を見ていくうちに、自分たちにも住めるものがあることに気づき町家へのイメージが変られたそうです。

・・・そんなN様ご夫妻に暮らしぶりをお伺いしました。

comment

Q.なぜ町家に住もうと思われたのですか?

結婚した当初から、いずれは賃貸から持家に移ろうと考えていました。
はじめは町家とか関係なく、新築も、中古も、ボロボロの町家も見ていました。

僕たちの不動産を探す条件は駐車スペースとアクセスの良い立地だったので、色々見ていたんです。
始めの頃は、ボロボロの町家を見て、本当にココに住めるのか?と、現実味が無くて・・・。でも、改装された町家を見ていくうちに、僕たちの中で町家へのイメージが変っていきました。

Vol.4 ウナギの寝床じゃない町家(下京区N様邸)
Vol.4 ウナギの寝床じゃない町家(下京区N様邸)

Q.設計・仕様決めから携わっておられますが、どんな点にこだわりをもたれてましたか?

僕たちの最大の条件だったのはガレージスペース。
それでもこのガレージは今の車を置くといっぱいいっぱいなんです(笑)引き戸を開け閉めするのに、鼻先スレスレでこれが結構気を遣うところなんですよねぇ。

ガレージとともに物件探し当初からの希望だったのが、和風の雰囲気。畳の部屋と、縁側は絶対欲しいと思っていましたからね。奥行きの無い中、縁側なんて贅沢なスペース、周りには結構反対されたりもしましたが・・・ 

でも、この縁側があることでかえって空間を広く感じられているように思います。

-そんな縁側は建具もこだわって探されたとか?

そうなんです。さっきの縁側と居間の境には、障子の建具を入れたいと思ってて。この建具は古建具屋さんで、二人して一生懸命探しました。

縁側だけじゃなく、玄関から居間へ入る建具も、押入れの建具も古建具なんです。特に押入れの古建具は、友人から『まっくろくろすけが出てきそう!』なんて言われましたよ。

そういえばトイレも古建具!ここはお客さんはみんな驚くところ。
構造上の問題でしょうがないのですが、引き戸が途中までしか引き込まれないんです。せっかく選んだ建具も収まりきらず(笑)
でもこれもまたこの家の面白さの一つだと思ってます。

もう一つこだわったのは、収納スペースですね。
とにかく荷物が多くて・・・、以前の住まいでは収納の少なさを痛感していましたしね。だからキッチンカウンターは収納を兼ねていたり、あえて地袋と天袋を居間に設けたり。まだまだ荷物は片付いていませんけどね。

Vol.4 ウナギの寝床じゃない町家(下京区N様邸)
Vol.4 ウナギの寝床じゃない町家(下京区N様邸)

Q.以前の住まいとどのようなことが違いますか?

以前の家がとても狭かったので、まず部屋の大きさが違うことが第一ですね。
それと風が通り抜けていくのが実感できます。その分、蚊も増えましたが(笑)
風の強い日には色々なところからガタガタと音がして、今まで聞いたことのない音だったからはじめは驚きました。

今はそれほど困っていることもありませんが、床や柱が削れたり磨り減ったり、塗装が剥がれたりしたら、直したり塗らなあかんな~とは思います。いずれにしてもメンテナンスがいるとは思いますが、こんなメンテも楽しみなのですけどね。

そういえば、夜、窓にネコのシルエットが横切るんです。
どうやらこの辺りにテリトリーがあるらしいのですが(笑)町家だから、ってわけではないですが、そんなことも感じられるようになったんだな~と。

Q.お客さんを招いた時の反応はいかがですか?

遊びにくる友人たちはいつもリビングでワイワイやっています。
皆、町家に興味を持って見に来てくれるんですね。なんだか居心地が良いらしく、なかなか帰ろうとしません(笑)

皆、“うなぎの寝床”をイメージして来るようですが、我家は奥行きが無い。うなぎが寝れませんから(笑)そんな、“うなぎの寝床”のイメージとはちょっと違うところがおもしろいのでしょうね。 

はじめ、町家に住むことを反対していた両親も、完成を見てとても喜んでますよ。京都の古い家に対して、暗い、冷たい、寒い、など良いイメージがなかったようでしたので。

あ、近所の方に聞きましたが、観光客が家の前で足を留めて眺めていることがよくあるらしいんですよ。外国人もよく通るようですし。通りかかる人もどんな改装をしてるのか気になるらしく、のぞいていることがあったりします。

Q.最後に、お気に入りの点はどこですか?

やっぱりリビングにいるのが一番居心地良いですね。畳、縁側、障子に地袋・・・、 それに古色の低い天井も含めて、全てがこの居心地の良さを演出してくれているように思います。

(奥様)そうそう、夏に、表の格子戸から入る西陽がとてもキレイなんです。ガレージの中に光と影が映って。

Vol.4 ウナギの寝床じゃない町家(下京区N様邸)

DATA

所 在
京都市下京区
家族構成
夫婦二人
間取構成
3DK・ガレージ(未改修の町家を購入し、設計・仕様決めに参加されて改修。)
特 徴
ご購入頂いたのは間口はあるが、奥行きの短い少し変わった町家。
改装前の建物状態は比較的良好で、ある程度手が加えられていました。昔は商売もされていた町家だったそうです。

N様ご協力ありがとうございました!