設計物語
まずは改装前の建物がどのような様子だったのかを、少しずつですがご紹介しています。(※本物件は成約済です。2010年6月)
改装のプランについて、設計士さんからの提案や、使用したこだわりの材料について掲載しています。
8.<十和田の青石>
- 7.<敷瓦>
- 6.<土間空間>
- 5.<ラフ・スケッチ その③>
- 4.<ラフ・スケッチ その②>
- 3.<ラフ・スケッチ その①>
- 2.<模型>
- 1.<改装プラン>
改装プラン
(No.1) 2010.3.25 更新
4人住まいでも充分な広さのある間取で、1階には土間空間や茶室のような和室を配置して、遊び心のある住まいになる予定です。
1階・2階の南側の和室4室はできるだけオリジナルを活かす形で残して、味わいのある空間に。
注目は玄関から繋がる土間空間。この空間は改装によって大胆に変化します。
ポーチ・玄関・土間と繋がり、土間には吹き抜けの解放感で、外に居るような、中に居るような空間に。
DKには、作業台と、ダイニングを兼ねた大きなテーブルを作る予定です。
模型
(No.2) 2010.3.25 更新
次は、プラン提案の際に使われた模型をご紹介します。
まずは間取図のように、上から見た写真。
高さが出ているので、間取図よりも形が想像し易くなっています。
次は横から見た南面・東面の写真。左側の写真、南面は既存を活かす箇所ですが、開口部が大きく取られているのが良くわかります。この開口部なら、たっぷりと日が差し込みそう。
右側の写真は、納戸を撤去する東面。この面はお隣の視線も気になるので、あまり大きな開口部は設けていません。
左はキッチンと水廻りのある北面。ここも開口部は少なく。2階の窓は洋室になる予定の場所。
北面から西面にかけての屋根の傾斜が少し急になっている場所に、秘密が隠されています。
そして右側の写真、西面は向かって右側に付いた横長の窓がポイント。既存の窓とは形と位置が異なっています。この窓の詳細については、この後ご紹介するラフ・スケッチで完成形のイメージが伝えられました。
ラフ・スケッチ その①
(No.3) 2010.4.01 更新
プラン提案の際には3枚のラフ・スケッチも頂きました。
既存部分を残しつつ手を加える箇所について、現状写真の上にスケッチが描かれています。
1枚目は建物外観、南面のスケッチ。建物2階の窓は半分(スケッチの構図では奥)は既存を活かしますが、もう半分(手前)は今は高さの違う窓が取られています。そこを奥側に合わせて同じ形と高さの窓が連なるようなイメージのプランです。
1階部分の手前の部屋の外回り、靴脱ぎ石が置かれて地面になっている箇所は、既存の状態では縁側があった部分。床を無くして壁はそのまま残し、少し入った所が和室への入口に。お茶室のような雰囲気になる予定です。
ラフ・スケッチ その②
(No.4) 2010.04.01 更新
2枚目のスケッチは、1枚目に写っていた手前側1階の和室を室内から見た図。
床の間の隣には腰までの高さの地袋がありましたが、その高さを半分にして、上に横長の窓を設けます。天面を黒光りする素材にして、この窓から入った光が反射して室内を明るくさせる、という素敵なイメージのスケッチです。
もともと西向き窓の部屋なので、西日が当たると明るくなりすぎるのが難点でしたが、このやり方なら光をちょうど良く取り入れることができそう。
設計士さんの話では、この窓は、座った時にちょうど目線の高さから外が見える高さになるそうです。
ラフ・スケッチ その③
(No.5) 2010.04.01 更新
3枚目は2階の南側和室の室内。南側の縁側が建物の幅いっぱいに続いているというイメージです。
既存の状態では南側2室ある部屋の片方にしか縁側はないので、それをもう一方の部屋にまで延長させます。建具も同じような形の古建具を使って。
縁側のある和室は、ガラスと障子を通して光が差し込んで来る気持ち良い空間。
縁側も部屋の延長として使えば、4.5帖の和室も広さを感じて使うことができそうです。
土間空間
(No.6) 2010.04.05更新
続いては、この家のコンセプト「下鴨茶論」の名前の由来となった、土間空間についてご紹介します。
まずは土間に注目して、模型をご覧ください。
この土間の上部は、吹き抜け空間になる予定。
水廻りの上部がロフトになり、土間からロフトへは梯子で上ります。梯子がかかっている壁は、真っ白な漆喰塗の壁になり、玄関を入った時に白い壁が目に飛び込んでくるイメージ。天井は吹き抜けで、高い所ではおよそ2階分の天井高になるため、解放感がありそう。
土間床の高さに関しては、玄関ポーチと同じ高さで作られます。土間から廊下へ上るときの段差は、ちょうど階段一段分くらい。廊下から土間、土間から廊下へと、行き来しやすい段差です。
土間と廊下の間には、同じ形の建具が5枚、ずらっと連なります。この建具を外せば、土間・廊下・DKを一体の空間として使用することも可能。
土間上部には、2階の洋室とつながる窓が作られる予定。2階廊下の先にも窓があります。土間の吹き抜けによって、2階との繋がりが生まれます。
敷瓦
(No.7) 2010.04.05 更新
次は、土間空間の床材として使われる予定の材料、敷瓦についてご紹介します。
敷瓦は、京都の建仁寺や東福寺、南禅寺などの禅宗のお寺で、仏像を安置する法堂の床として使われています。観光に行った時に、黒い瓦がタイルのように床に使われているのを見たことはありませんか?
今回の土間空間にはその敷瓦を使用しますが、設計士さんの話によると、このイメージは志賀直哉の旧居、奈良にある「高畑サロン」(外部リンク)からヒントを得たものだそう。
この高畑サロンは志賀直哉が昭和4年に奈良の高畑に建てた自邸の中にあるサンルームで、そのころ活躍した文化人や芸術家が集まった場所として知られています。
この写真は、この建物で実際に使う予定のもの。銀いぶしの加工がしてあり、表面がツルっとしていて銀色に近い灰色に見えますが、表面を削ると、黒いマットな質感になるので、古い建物にもしっくり馴染みそうです。
十和田の青石
(No.8)2010.04.05 更新
続いて、もう一つ特徴的な材料をご紹介します。
「十和田石」という石のタイルで、今回の改装プランでは、浴室に使用する予定です。十和田石は、乾いている時は白っぽい緑色をしているのですが、水に濡れると青緑色に変化する素材。
浴室に良く使われる素材で、温泉なんかに行くと使われていることが多いそうです。水に濡れても滑りにくいという特徴があると言われています。