設計物語
改装の打合せ風景を掲載しています。(第1回・プランニングについて)
落ち葉
2010.2.23打合せ①
打合せが行われたのは、冬のある晴れた日。
この家にはもともとから植栽が多く、その中に落葉する木もあるので落ち葉が一面に落ちています。
以前に訪れた時よりも、葉の落ちた木のおかげで建物の外観がはっきり見えるようになっていました。
南側の庭で落ち葉に埋もれている何かを発見したのは、今回のプランを考えて頂いた
魚谷繁礼建築研究所の魚谷先生。
「この穴のようなもの、何ですかね?」
「つくばい?池の跡のような溝もあるし。ここも日本庭園だったんですね。」
和やかなムードでこの日の打合せは始まりました。
床暖房
2010.2.23打合せ②
今回のリノベーションで最も変化のあるのは、“玄関土間”の部分。もともとの間取から水廻りのあった部分を移動させ、玄関を広げ土間を作ります。
「土間はどういった高さに?」
「土間から廊下にあがる時の高さは?」
「柱は邪魔になるから、出来るだけ無くしたいな」
「この柱は抜けるかな?」
などなど、細かな点のプラン確認がされていきます。
土間の高さの話から、土間には床暖房が欲しいという話に。今回は温水式の床暖房を使用して、
土間に素足で下りてもヒヤっとすることなく暖かい床の仕上げとする予定になりました。
床の仕上げは瓦敷になる予定。マットな質感の敷瓦を床に敷き詰めます。
和室① 離れ
2012.23打合せ③
和室①は、既存の建物を活かしながら、そのままでは面白くないので、少し手を加えていきます。
今回の改装、既存の和室に関しては大幅な間取の変更はありません。
「縁側を外して地面を露出させて。」「窓の形は、座った時の目線の高さに変更して。」と設計士さん。
営業の西村からは「天井は掛け込みにしたい」という話を聞いていると、ひとつひとつの箇所に手を加え、数寄屋風の茶室のような凝った空間になることがが想像されます。
「離れのような空間」にしたい、という設計士さんのイメージから、
この部屋は、室内から入る場合の入口は一箇所しか設けていません。
応接室や書斎、客間としても利用できそうです。
※掛け込み天井=茶室に見られる天井で、平天井と斜めに傾斜した勾配天井を組み合わせたもの。
和室② 込み栓
2010.2.23打合せ④
この日は天気が良く、和室②の南側の庭からは明るい光が射し込んでいました。
縁側から庭を眺めていると、縁側の上の柱にぽこっとボタンのようなものが出ている部分を見て、
「込み栓があるねえ」という話になりました。
込み栓は、金物を使わずに木材を連結するための部材。建てる大工さんの技術も要る箇所だそうで、丁寧に建てられていることが良くわかります。
視線の先
2010.2.23打合せ⑤
続いてはDKの予定位置へと移動。
今は暗い室内を見ながら、
「この暗さを解消するには?」という話に。
「東隣にある納戸を撤去して、ダイニングテーブルの高さで東側に窓を設けます。」
「上部には、北向きに天窓も設ける予定です。天窓はあまり明るい南面に設けると日が入り過ぎるので、北向きにあるくらいが明るさもちょうど良いんです。」
「視線の先に明るい部分があると、その場所自体が多少暗くてもあまり暗くは感じられない。」
という設計士さんの説明を聞きながら、台所になる予定の場所に皆で立って、視線の先に作られる予定の玄関土間を想像したり、
南側の和室を見てみて「なるほどー。」と関心。
左側の写真はDK部分から南側の和室を見たところ。写真の右側に写っているのはこの物件を担当する営業の西村です。
DKには階段があるので、
「2階の階段の上部に窓を設けて、階段から2階の光を取りこむこともできます。」とのこと。
設計プランでは、ダイニングには大きな作りつけのテーブルを設ける予定。
「ダイニングテーブルはどこまでの広さ?」「この柱まで?」
「実際に大きさを見てみると、広くなりそうですね。」
図面を見ている時よりも、実際の広さが良くわかります。
最大で6人掛けまで座れる広さのテーブルで、シンクも付いた作業台と一体のものです。
穴に注意
2010.02.23打合せ⑥
そしてDKのお隣、浴室や洗面所等の水廻りを作る予定の箇所は、現在は台所。この部分は特に痛みがひどく足場も悪くなっています。
「そこの穴、先週社長が踏み外した穴だから気を付けて。」と注意された場所には確かに穴が開いています。気を付けて歩いていても、「ミシミシ」と音がする部分も。
浴室の窓や脱衣室のイメージが設計士さんから伝えられ、台所から出ようとすると、
「バキバキッ」と大きな音が。見ると、設計士の先生が落ちていました・・・!!!
「言われていたのに・・・」という奥さんの声に苦笑いする先生。
残念ながらその瞬間のシャッターチャンスは逃しましたが、穴が開いた痕跡が上の写真です。
この台所部分に散らばっている瓦礫は、天井板が落ちてきたもの。
痛みがひどいことが見ただけでわかります。この部分は床や天井を取り払い、構造を補強します。
かなりの補強が必要になりそうですが、しっかり構造を確認してから補修しますのでご安心ください。
和室③・和室④
2010.02.23打合せ⑦
和室③は、1階で離れをイメージしていた和室①のちょうど上の部屋。こちらの部屋は、西の路地側に面した窓と、南向きの窓があり、西側の路地の方に付いた窓からは、こんな景色が見えます。(左側写真)
景色を見ながら、「けっこう良い眺めですねー。」と、営業の西村と設計士の魚谷先生が話しています。
(右側写真)この辺りは住宅街であまり高い建物が無いので、2階から外を見るだけでも空が広く、良い眺めが得られます。
この和室③は今は6帖の和室ですが、改装後は縁側を付けて、4.5帖の和室になる予定。
そのお隣の和室④は、もともとから縁側があります。
和室④に移動して、改めて縁側の雰囲気を確認します。
「ガラスの建具が良い雰囲気ですね。」
「建具の上部もガラスになっているから、より明るいんですね。」
この縁側を隣の和室③まで延長させるイメージで、長い縁側の続く空間を作ります。
縁側から見える景色を見ながら、
「南側の景色、植栽の緑が映えて、結構気持ち良いかもしれない。」
「植栽を取ってしまうと、お隣の視線がちょっと気になるなあ。」
「残しておきますか?せっかくこんな大きな木に育ってるし。」
南側の日当りを悪くしているから、切ってしまおうとしていた木。
今後の展開次第では、残すことになるかもしれません。
廊下
2010.02.23打合せ⑧
廊下は味わいのある木の板が敷かれています。
経年変化で、落ち着いた色味になっている廊下は、このまま使用する予定。
そして廊下を進んだ先には、1階土間の様子が伺えるよう、土間に面した開口部を設けます。
お子さんが2階の部屋で勉強している時に下から呼んだり、土間でくつろいでいる家族の様子を2階の廊下から眺めることもできる、楽しそうなイメージです。
縁側の下には・・・
2010.02.23打合せ⑨
打合せが終わり、帰ろうとしていたスタッフ。
南側の庭に面した縁側の下を覗いて、何やら話が始まりました。
「縁側に必ずありますよね。あれ。」
「定番ですよね。何でだろう?」
「使わなくなったら、ここへしまっておくものなのかな?邪魔にならないし。」
「あれ」というのは、そう、火鉢のこと。こちらのお家にもやはりありました。
大きい黒いものと、白い小さなもの。古いお家を改装する時には、以前に使われていた道具が
こうやって残っていることが良くあります。