About
琵琶湖のほとりに広がる大津。
旧東海道が貫く古い町並みにある昭和元年築の“大津町家”をリノベーションしました。
今回の『〇〇と』シリーズ キーワードは「癒し」
庭を囲む廊下と縁側、火袋や吹き抜けがもたらす解放感、杉の無垢の心地よい香り、古材の優しい手触り。
黒ずんだかつての火袋や小屋裏のゴロンボ(梁)本来の姿を残しながら。
日常の中で、ささやかな安らぎと幸せをかんじる癒しを散りばめた家で心満たされる暮らしを。
設計 STUDIO NORD一級建築士事務所(ストゥーディオノルド)
2017年5月全改修済
Concept
癒廊(ゆろう)
もちろん、このプロジェクトのために創られた造語です。
母屋と離れをつなぐ庭と回廊、火袋を利用した2階のカウンター、吹き抜けた階段廻り、どこにいても光と風を感じ、廊下がタダの通り道とならないよう工夫しました。
そして、町家の改装では実現しづらい駐車スペースつき。
住まいで過ごす楽しみや癒しを見つける空間となることを願って造られています。母屋と離れをつなぐ回廊はタダの通り道ではありません。
庭をのぞみながらホッと一息つく時間は格別の癒しをもたらしたり、昼下がりのうたた寝や休日の読書タイムに書棚を置いて、お気に入りの本に囲まれる自分だけの図書室にも。子どもが遊んだり勉強していても、すぐ横のキッチンから目に届く距離。
洗面室や浴室との行き来もラクにして、物干しスペースとしての普段使いも。
もっと多様に、ここに暮らす人ならではの使い道がきっとあります。
本来町家は、細かく部屋割りがされ、天井も低く閉塞感があります。
この町家では、少し贅沢に階段から二階の廊下を吹き抜けとし、解放感を得られるように工夫しています。
母屋の中ほどにある吹き抜けは、各室をつなぎ、家族の気配を常に感じられる安心感をもたらしてくれます。吹き抜けた天井は、元々和室だった名残りで、古色の柱や梁は、元からこの町家にある材を利用しました。
火袋の吹き抜けた空間をそのまま活かし、2階の廊下にカウンターを設け、ワークスペースとしました。吹き抜けを通じてキッチンとつながり、家族の気配を感じられます。黒ずんだ壁と柱も、この家が重ねた年月の証。
ひとり集中したいとき、もの思いにふけりたいとき、書斎や勉強場所としても、ひとり占めできる感じが嬉しい空間です。