新婚Ki様ご夫婦が新居に選んだのは、二条城より少し北に位置する築不詳の町家。
町家暮らしに憧れる二人は、物件探しからはじめ、自分たちらしい町家住まいにするために設計から携わり、長い期間をかけて個性ある町家づくりを叶えました。 京都の郊外で育ったお二人が市内に移られ1年経った暮らしぶりをお伺いしました。
Q.改装でこだわったポイントは?
ご主人:僕は建築関係に勤めているので、こだわりというか・・・、 一般の人と見てるところが違うかもしれない(笑) ここは僕らが購入する直前まで住まれていたみたいで、建物の状態が良くて。床のゆがみにしても階段の勾配にしても程度が良かったんですね。
だから妻もイメージがしやすかったと思います。もちろん改装計画の中には町家の雰囲気は求めていましたよ。むしろ妻の方のこだわりが強かったような・・・。
基本的には妻のペース(笑)
僕の希望は、一つに、和室を作りたかったこと。1階の和室は、ガレージにするかどうか一番の迷いどころでしたが、やはり和室を残して正解だと思ってます。あの45センチもある「ひとみ梁」と大和天井を活かしたかったんです。
二つ目に、もともと火袋だったところを利用した隠れ部屋!僕は畳の部屋が好きで、ここも畳敷きにしました。今は趣味のフィギュアやDVDなんかを置いて楽しんでいます。
奥さま:・・・て言っても週に一度使っていれば良い方なんですけど(笑)
私のこだわりはキッチン。 独立した形にしたかったので、リビングの床より一段下げる形にして、キッチンの設備も自分の作業しやすいものを選びました。使い勝手も良いし、毎日料理を楽しんでますよ!
それと、一番奥の本棚スペース。ここも隠れ部屋のようなものですね。二人揃ってマンガ好きで、かなりの量を持ってて・・・。それでこのたび専用の収納スペースを作ったんです。
ご主人:もうすでにけっこういっぱいになりつつあるけどね(笑)
奥さま:工務店さんには本当に頑張って頂いたと思いますよ! アドバイスはもちろん、工夫やアイデアをたくさん出してもらいましたし。
Q.ご近所さんとのお付き合いはいかがですか?
ご主人:ここは子供や若い人の少ない町内なんです。でも世帯数はけっこう多くて、町内が1組と2組に分かれているんです。先日寄り合いがあったので参加してきましたが、なんと順番で町会長になるはずの年だったんです!
でもまだ日が浅いということで、今年は免除してもらいました(苦笑)順番なのでいずれは廻ってくるのですけどねぇ。。。
奥さま:引越し直後には、地蔵盆にも参加しましたよ!
この地域も結構盛んのようで。地蔵盆の日は2部制になってて、午前中にお坊さんが来られてお経を唱える、そして「数珠回し」をみんなでしました。お昼を挟んで、集まり直して午後からはビンゴ大会。
この町内から少し離れたところはもっと盛大に2日間かけてやられてたりするみたいです。ここの町内は奥さん方がとても元気がよくて。役も奥さん衆が積極的に動いてますし、とても勉強になりますね!
ご主人:そうそう。会長と副会長・組長は必ず夫婦で割り当てられるらしいけど、そのほかの役は奥さんだけでも構わないらしい(笑)
やはり町内のお地蔵さんなので、お地蔵さんの掃除当番も決まってるんですよ。世帯で1週間に1回まわってきます。この筋はお商売屋さんが多かったせいか、そのあたりはきちんと当番制になっているみたいです。
Q.寒さ対策はどのようにされていますか?
奥さま:やっぱり寒いのは寒い!うちではエアコンはほとんど使わず、ファンヒーターとホットカーペットを組み合わせて使ってますよ。暖房を入れていても冬場は20℃ぐらいまでしか上がらないですからねぇ・・・。
特に庭の横の廊下を通っておトイレとお風呂へ行くのがめちゃくちゃ寒い!!しょうがないのですけど(笑)そういえば、風の強い日は隙間風が入るのか、ガタガタと音がするんですよね。
ご主人:古い家だからしょうがないところやね~。いずれはペアガラスを入れたいと思ってますけど。そういえば、夏に一番涼しいのは、キッチンの対面カウンターの足元。そこだけ異様に涼しいので、お酒の貯蔵庫みたいになってるね(笑)
Q.約1年暮されてみていかがですか?
奥さま:庭もあって、四季を身近に感じられるのが良いですね。庭の紅葉の色づきに嬉しくなって、ついつい写真を撮ってしまいました。実はまだ照明器具がついてないところがあるんです。リビングの端の照明やベランダ、将来子供部屋になるところとか・・・(苦笑)
この家に住んでみて感じたことは、なんとなく既製品がこの家の雰囲気に似合わないような気がするんです。元々あった柱や壁、古い建具になじまないというか・・・。
私たちのこだわりもあるのだと思うのですが、このお家に似合うものを選んであげたい。だからゆっくり良いものを探したいなぁ、と。
ご主人:そうやね。 少しずつ家に手をかけていくという感じ・・・?
気に入る照明を時間をかけて探したり、碍子(がいし)を壁に取り付けてハンガー掛けにしたり、古家具を見つけてアレンジしたり・・・。あ、実は下駄箱もまだなんです。 なかなか、これ!といったものが見つからないんですよねぇ~
奥さま:若いうちだからこそ、こだわりをもって時間をかけて色々やれるんじゃないかな~と思いますね。私たちの家づくりはまだまだこれからです!
・・・お話しを伺って(担当H)・・・
この家に似合うものを見つけたるために、休日には色々なアンティークショップや雑貨屋さん、家具屋さんを訪ねられているとか。家も市内の暮らしも十分に楽しまれているお二人の姿はとても幸せそうでした。
DATA
- 所 在
- 京都市上京区
- 家族構成
- ご夫婦
- 間取構成
- 3LDK・お庭(町家を購入、設計・仕様決めに参加されました。)
- 特 徴
- 一列三室型で総二階の町家。中庭があり奥にちょっとした離れあり。元の保存状態も良く、梁や柱も太くしっかりした造りの建物。つい先日、大正7年の町家と判明。
Ki様ご協力ありがとうございました!
Q.町家にこだわられたそうですが、購入の決め手は?
ご主人:僕の職場が市内中心部ということもあって、結婚したら市内に移るつもりではいました。それでせっかく京都の町中に仲間入りするなら、町家かな、という思いがあって。
二人とも京都の郊外に住んでいて、知り合いも少ないところへ行く不安はありましたけどね。でもやっぱり市内は交通の便が良いですし、中心部は地価が下がりにくい。将来別のところに移り住む時のことを考えると、応用しやすいかな~と思い決めました。
奥さま:確かに、知り合いのほとんどいないところへ行くという不安はありましたね。でも、この家を買うかどうかで一番迷ったのは、車を手放さなければならないこと・・・。
間取りも悪くなく、子ども部屋もとれるし、場所も悪くないし、完璧!と思ったんです。ただ、車を置くスペースが無いことを除けば・・・。
だけど部屋をつぶしてまで車を置くことはしたくないと主人が。残念な点はそこかなぁ。私はこれまで車があることが当たり前の生活だったんで、その点はちょっと不安です・・・。主人は比較的交通の便の良い場所に住んでいたから抵抗なかったようですけど。
ご主人:そうやね。 僕の実家は駅近だったので、それほど車を必要とした生活ではなかったしね。 ここも駅まではちょっと遠いけど、バスの本数が多いから便利だと思いますよ。 バス一本で会社へも、四条烏丸や河原町、京都駅へも行けますし。基本的には自転車通勤なんですけどね。