改装プラン詳② 通り庭
続いては、プランのポイントについて見ていきます。
写っているのは、この家のプランの中でも特徴的な玄関土間。そのプランは、「通り庭」という町家独自の空間を生かして作ってあります。
通り庭は本来、建物の表から裏までを貫いて走っている土間空間の事を指しますが、今回のプランでは少し趣向が違っています。
元々は、表から「玄関土間」→「台所」→「トイレ」→「庭」となる、町家の標準的な間取(オリジナルな通り庭の台所の床を上げて奥にトイレを付ける)でした。
今回のリノベーションプランは、表の「玄関土間」を延長させるイメージで、玄関土間の奥に「浴室・洗面」を配置し、その床レベルを合わせて、床の仕上げも同じものを使用。
空間に統一感を持たせます。
そして「玄関土間」と「浴室・洗面」はスリット階段によってゆるく仕切られます。通り庭のように行き来は出来ませんが、玄関を入って正面を見ると、裏の庭まで視線が遮られることなく通る、解放感と広さを感じることの出来る構成になっています。
玄関土間と2階までの階段室は町家の「火袋」を連想させる、吹き抜けの大きな空間になることが提案されており、その屋根には外からの光を採り込むトップライトが設けられます。
色々なこだわりと工夫の詰まったこの空間は、オリジナルな形を生かす外観とのギャップで、家に入った瞬間に驚きと楽しさを感じる玄関土間になりそうです。