改装中① 10月中旬・・・井戸のお祓い
古い建物では、建物を解体する時に今はもう使われていない「古井戸」が見つかることもよくあります。
今回の現場でも建物を解体すると、もともとあった台所の床下から井戸が見つかりました。
改装現場で井戸が見つかると、使わない場合には土を入れて埋めてしまいます。
昔の家では、井戸は家の家事をまかなう大事な存在。井戸には神様が居ると信じられて、大切にされてきました。
枯れた古井戸でも、それは同じこと。使われなくなって埋めてしまうことになっても、粗末な扱いはせず、きちんとお祓いをして、神様に挨拶をします。
今回は、その井戸のお祓いの様子です。
今回お祓いをお願いしたのは、南区にある吉祥院天満宮の神主さん。天満宮としては、上京区の北野天満宮よりも古い歴史を持つ由緒ある神社だそう。
お祓いの準備として、井戸に向かって祭壇が設置され、バナナやりんごなどの果物、きゅうりやニンジンなどの野菜、おせんべいなどのお菓子、
スルメイカや昆布、かつお節などの乾物類がお供えのお皿をはみ出すくらいにたくさん並べられます。①
神主さんがお祓いの始まりを告げると、解体後の現場を見ながら打合せをしていた工務店の方、
ハチセの設計管理部も、シンと静まって祭壇に向かい、工事の無事と安全を祈って神妙な面持ちに。②
家の4隅のお祓いを済ませると、最後に井戸に向かいます。井戸の底の方に向かって祈祷して③
工務店のアーキスタイルの加藤さんがお清めの塩をふります。④この後、おそなえものの中にあったお酒も注がれていました。
井戸のお祓いの一連の儀式が終わって外に出てみると、日も落ちて夕暮れ時。
終わる時に神主さんが「お祓いを頼まれるのは昼間の時間帯が多いので、夕方の時間にするのもまた趣きが違って良いものですね。」と一言。
確かに夕暮れ時の時間、日もだんだんと落ちて行く古い家の中でお祓いを行っていると、何かが「居る」ような気配が感じられるような、感じられないような・・・
ともかく、これで無事に井戸のお祓いを済ませられました。
完成に向けて、これから改装工事が進んで行きます。
後日、現場に行ってみると、井戸のあった所は土で綺麗に埋められ(車の入らない路地の一番奥の家なので、土を運ぶのには苦労されたそう。)、
にょきっとパイプが出ていました。井戸を埋める際には必ずこういった空気の通り道を入れられるそうで、「息抜き」と呼ばれ、
神様が“息”が出来るように、という意味が込められているそうです。