Posted on Feb 13,2016
Vol.1 プロジェクト始動の夏
祇園祭の巡行もひと段落した2015年7月某日
八清の会議室にてプロジェクトメンバーが一同に会し、社内関係者と、設計士、アドバイザー、コーディネーター、総勢11名のプロジェクトメンバーがはじめて顔を合わせました。
(◆メンバーの紹介はmemberページへ)
今回のテーマは「コワーキングスペース」
路地奥京町家の新たな活用としてスタートを切った本プロジェクト。
京町家のプロフェッショナルといえども、これまで手掛けてきたのは居住(宿泊)のための空間づくりばかり。
今回初めて手掛けるのは“働くための空間づくり”。
しかも、コワーキングスペースとシェアオフィス。
実体験に基づく理解があるメンバーが少ない中、まずは「コワーキング」とはなんぞや?というところから始めねばなりません。
コワーキングとは、個別の仕事をしながらキッチンやワークスペースなどを共有して周りの人とコミュニケーションをとり、人脈を広げ、仕事の新たな展開を求める現代のワークスタイルのひとつ。(※co-working:直訳すれば“一緒に働く”)
コワーキングスペースに集まるコワーカーの理由は様々。
組織に属さないフリーランスやこれから独立しようとする人、出張などであちこちへ移動して仕事をする職業の人、月に何度か京都での仕事がある人、本業とは別に副業用の作業をしたい人、 オフィスはあるけどたまには場所を変えて気分も変えたい人。
つまりは時間や場所にとらわれず、どこでも仕事場になる。
現代社会では、このような人たちがたくさん現れてきていて、 コワーキングスペースのニーズが高まってきています。
また、作業の内容によって作業する場所を変える、といった働き方も増えてきています。
でもこれらの理由以上に「コワーキングスペース」には求められるものがあります。
それは“コミュニケーション”
独立したワークスタイルでありながら他者とのコミュニケーションを通じて、仕事を新たなステージへ導く意図が強く働く場が「コワーキングスペース」だといえます。
さらに広義的には、そうしたプラットフォームに加え、協業・協働・創造ないしは協創、果ては様々なイノベーションを産み出す仕組みも含めて「コワーキングスペース」が持つ意味であるということもできます。
異業種の方とのちょっとした雑談からぶち当たっている課題に対するブレイクスルーの糸口が見つかったり、一緒に食事をしながらしていた何気ない一言から新しい協働ビジネスが生まれたり。
そういった1つ1つのちょっとしたきっかけを生むための空間であるのです。
そういった意味ではイベントも「コワーキングスペース」の重要な役割の1つ。
イベントも上記とは異なるきっかけを創るための1つの場です。
普段顔を合わせない会員さんともイベントを通じて交流することができ、普段関わることがないような人たちとのコミュニケーションから面白いアイデアやプロダクトが生まれる。
多くのコワーキングスペースではこういったイベントが会員さんにとってコワーキングのためのきっかけとなり、仕事にとっても大きなメリットとなっています。
私たちの創るコ ワーキングスペースでも様々なイベントを起こすことを想定しています。
それはオープンする前、創りこみの段階から。
今回舞台となる京町家は路地の奥にひっそり建ちます。
ビルの中にあるオフィススペースとは全く違う雰囲気。会員さんが快適に仕事をできる環境に、京町家のもつ雰囲気を活かしたリノベーションで造りこまなければなりません。(何より収支のことも!)
1階と2階の使い方の違いは?
定員数は? 荷物置場は?
個別ブースは設ける?
ミーティングスペースはどこにする?
ワークスペースはどのくらいの広さがいい?
共有の本棚は絶対欲しい!
町家なんだから畳も欲しい!
だったら靴を脱げる土間が欲しい?
庭が見られるとうれしい!
共有キッチンは受付を兼ねたカウンターがいい!
駐輪場問題はどうする?
といった運営などのソフト面と建物のプランニングなどハード面の両方を同時に考えないとどちらも前に進みません。
図面を見ながらあーでもないこーでもないとそれぞれの側面から意見を出し合います。クリアしなければならない問題は山積みです。
「路地奥の京町家」×「コワーキングスペース」プロジェクト、1年後のオープンに向けて幕開けです。