設計物語
道路に面している側に窓があり、2階なので採光が取れる明るいお部屋。
もともとは畳敷きで、和室の4.5帖でしたが、改装後は杉の板貼りにして洋室に変更します。
4.5帖で半畳の収納が付き、子供部屋としても考えられます。
2009年12月4日
2階北側の4.5帖の和室には、天井の一部に雨漏りの跡が残っています。
天井裏の様子を確認するために、雨漏りがしていて使えない箇所を壊し中に入ってみることに。
藤井工務店の人見さんが素早く脚立を準備して、取り壊しにかかります。(写真①)
ベキベキッと音を立てて、ホコリと一緒に天井板が落ち、天井の穴の開いた場所を覗くと、
「うわっ、何かある!」
驚いたような声が上がりました。なんだなんだと皆で代わる代わる天井裏を覗いてみると(写真②)、
白いおたふくのお面が天井裏にぼうっと浮かんでいるのが見えて…!!
天井裏に登ってもらい(写真③)ライトを照らしてちゃんと見ると(写真④)、金色の扇子が飾られて、施主の方の
名前と大工さんの名前、日付が入れられています。どうやらこのおたふくのお面は、
上棟の記念として建てられた当時からこの家にあったものだとわかりました。
(※後日調べると、京都の大報恩寺に伝わる「おかめの物語」の話から、京都では上棟の時におかめの名に
ちなんだお多福の面を着けた御幣を飾るという習慣があるそうです。)
「このおたふくのお面、取ってしまうんですか?」
「取った方が縁起が良いと聞きますけどねえ・・・」
取るか取らないかは別にして、このおたふくはずっと家を守ってきたもの。大切に扱います。
天井を覗いてみると、小屋裏が高く、天井板を外してみても解放感がありそうです。北側4.5帖の部屋は洋室に
する予定の場所。天井を高くしても違和感はありません。仕上げはどうするか?またまた考えどころです。
「天井板を抜いて、梁や天井を露出させるのもアリかも」
「天井裏に明るさが欲しい、それならアクリル板を貼って、その向こうに電気を仕込むとか・・・?」
「子供部屋として使うなら、ロフトを付けても面白いかもしれない・・・」
ロフトや天井を開放的な空間にするアイデアが色々と出ましたが、どんな仕上げになっていくかはこれからの工事次第です。
2009年12月14日
前回の打合せでおたふくさんのお面が出てきた天井裏。
天井板が全て外されて、小屋裏が見えています。この解放感!前回とは全く印象が
違って見えます。天井裏ってこうなっているんですね~、と驚きつつ眺めていると、
ここでも早速打合せが。
左側の写真の左手に写るのは、今回の設計を担当して頂く、マウンテンアーキテクツ一級建築士事務所の植松さんです。
「これだけ解放感があるの、良いですね。」
「やっぱり小屋裏を見せるようにしたいなあ」
「和室側の天井裏を使ってロフトにしては?」
「どこまで天井裏を見せる?南側端の方は、天井低くなりますし、その手前くらいまで?」
「いや、どこまででも!(笑)全て見せてしまっても良いのでは?」
「これだけ解放感があるんだから、どうせなら廊下の天井も取ってしまうのは?」
天井の仕上げは、この小屋裏を見せるような方向へと変わっていきそうです。
2010年1月28日
壁の多く残されている洋室予定の部屋から色合わせは始まりました。
壁を見ながら、全体の色の雰囲気をイメージします。
良く見ると、日に焼けて黄色みがかった漆喰塗の壁には、汚れが目立っています。
「壁は白。そして柱はこの木のままの雰囲気を残したい。」
という設計士さんのイメージから、色が決まっていきます。
壁の色は白に塗って、柱の色は・・・?
「(柱について)このままで日に焼けて色あせたような色の部分は味があるけど、色むらがあるし、
あんまり綺麗ではないなあ。手の脂が付いて色が濃くなっている部分もあるし、そういった所は隠れるような色を。」
という細かい指示もあり、後は、色見本を見ながら、色見を微調整します。
柱の色がなかなか決まりませんでしたが、最後は「チーク」という、やや黄色みがかった茶色に決まりました。
2010年3月12日
オープンハウスまであと一週間に迫ったこの日、大正・昭和のレトロな照明を扱われている、
タチバナ照明さんの照明器具をお借りして、お部屋ごとに照明が取付けされていきました。
オープンハウス用にお借りしたのは4点。写真の左側に大きく写っているのは2階洋室に
設置されている照明です。後ろにぼんやり写るのは、吹き抜けになった天井です。
(洋室の天井は吹き抜けになりました。)写真は照明を写すために光量を落としてあるので見えにくくなっていますが、面白い雰囲気の仕上げになっています。
右側の3点も、どれも繊細な形をした美しい照明器具ばかりです。
中には何故か、オリンピックの五輪マークの付いたものもあります!
設計物語