大正ロマンの現場もいよいよ佳境。完成まであと1ヶ月に迫った。今回は当プロジェクト及び、八清においても初である、ドイツ壁の施工。建物の顔であるファサードは、大正~昭和初期に流行したような洋館の雰囲気を持たせたい。このプロジェクトではこのような意図で、建具選びにも、足元に貼るタイル選びにも時間をかけてきた。そして話し合われてきた結果、
腰高にはタイル、窓廻りには「ドイツ壁」。
「ドイツ壁」は、明治~昭和初期に建てられた西洋風の建物で見られる。モルタルを塗ったのち乾くまでに掻き落としてでこぼこに荒く仕上げ、ドイツから輸入したリシンを吹き付けていたというところから「ドイツ壁」と言われているようだ。施工方法としては、塗ったものを掻き落とす方法と、下地を作ってその上にモルタルの泥を飛ばしていく方法。今回は後者で施工することになった。
以前から、ドイツ壁の施工は自分たちでやりたいと希望していたメンバー。汚れる覚悟で挑む。まずは下準備から。 セメント+水+砂を練り合わせモルタルを作る。セメントがアルカリ性なので、肌に合わなければすぐに手荒れしてしまうのが難点だが、これを壁に向かって投げつけていくのだ。
まずは、リーダー安田の第一投。建物の顔だけに、緊張の瞬間である。この距離で泥だんごを投げつけると飛び散り自分に返ってくるのは言うまでもない。このように投げる方法もあるが、本来はこてにモルタルをのせ、至近距離でへらで飛ばしていくことが多いそうだ。
さて、壁にへばりついた状態がこちら。先にモルタルで平らにした表面に泥だんごがへばりつく。水分を多く含み重量が有るため、ずり落ちていくこともある。しかしながらこれが乾くとしっかり固まり壁を形成してくれるというのが面白いところである。大小の泥だんごを投げて、ごつごつした雰囲気を創り出していく。
30分ほど掛けて、代わる代わる投げつけた後がこちら。一面に泥だんごがへばりつき、ぼこぼこした表面になっているのがおわかりだろうか。乾く前は水分を含んだ重たい色味をしているが、完全に乾くと薄いグレーになるそうだ。腰高のタイル部分と相まって重厚感ある仕上がりになることが期待される。実際に乾いた状態は次回報告を待ちたい。
泥の飛び散りに結構な汚れ具合。同じところに重ねてしまうと、重みでずり落ちてくるので、まんべんなく投げるのが難しかったですね。自らが施工に加わっているので、仕上がりがより一層楽しみです。(ニューフェイス落海談)