4月も初旬、現場は基礎工事から内部大工工事へと順調に進む中、外観装飾の一つモール(パラペット)の施工が始まった。 そもそもモール(パラペット)とは何か?陸屋根である建物の屋上の外周部に設けられた、低い立ち上がり部分を指し、陸屋根の雨仕舞いの仕上げ、あるいは手すりのような役割を持つもの。西洋建築においては様々に加工され外壁装飾として重要なデザインの一部を担うのだ。
写真1
写真1は先日デザイナー江見が制作した模型第二弾。表題のモール(パラペット)というのが赤い点線部分である。このモール施工は、昔、木で下地を作り左官職人が仕上げていくという方法で行われていた。しかし、現代では大変手間がかかり技術の必要な仕事であるため、ほとんど採用されていない。その代りに工場で作られたものを現場で取り付ける方法が主流になっている。
しかし、今回は造る工程にもこだわり、あえて昔ながらの手法を試みることに。 幅20ミリほどの細い長い木片を、20~30ミリのピッチで下に横にずらし重ねて張り合わせ、端を揃えて切り落とし形作る。(左図) 細かすぎると割れが生じる可能性があるためこの大きさが限度だという。立ち上がりの高さはモールの底辺部から測っておよそ60センチ、壁面から突出する幅はおよそ20センチになった。
写真2が、作業を終えた直後のもの。きちんと図面通り形作られている様子がわかる。 これで土台はできあがりだ。この後モルタルの下地を 張り、防水加工が施され、左官作業に入る。 そして、最後は雰囲気を出すために研ぎ出し仕上げで納めたいという提案が。実は研ぎ出しという作業も非常に手間のかかる仕事なのだ。その様子については次回報告を待ちたい。
写真3
パラペットの細かい作業は、職人の腕の見せどころ!大正ロマンの雰囲気を表現する大きな特徴だから、しっかりアピールしたいところですね~! とビルダー藤井は話す。