京町家再生プロジェクト 大正ロマン壱号

大正ロマン全貌が明らかに!~和洋一体型の町家~

ロマン新聞

大正ロマンも足掛け6ヶ月でついに完成の日を迎えた。明治後期~大正~昭和初期は、和洋が一体となり新旧が融合する、革新的であり自由奔放な時代。そんな古き良き時代を表現する「大正ロマン」という言葉のように、本プロジェクトは、レトロでノスタルジックであり、ロマンチックな甘い趣きを再現してきた。是非その目で見て、大正ロマンの風を感じてほしい。


まずは食堂兼居間。板間と畳が一続きになり一体感があるが、天井仕様が異なりそれぞれの部屋のカラ―も味わえる。明治~大正~昭和初期の頃は、西洋式ばかりになったのではなく、日本式の中に西洋式が取り入れられた和洋一体の住宅なのである。従い外観とは異なり、室内は従来の町家の面影を再現することにしたのだ。(リーダー安田が称賛する和室から玄関方向の眺め)

ロマン新聞

ロマン新聞七月五日号 写真


板間の天井は元の大和天井をそのままに、積み重ねた年月で何とも言えない良い味が出ている。キッチン側の天井も、元の白い板張りをそのまま残しレトロな雰囲気を作りだす。蛍光灯のような全てを照らす明るさとは異なり、アンティーク照明のほの明るさが、落ち着いた印象。

ロマン新聞七月五日号 写真


次に玄関。道路側を向くと重厚な両開き戸で洋館のような佇まいであり、足元に目を落とすと淡い色合いが愛らしくも昭和初期のポップな印象のあるモザイクタイルで、どことなく懐かしい空気感を楽しめる。

ロマン新聞七月五日号 写真


そして、当プロジェクトの目玉、応接室。ヘリンボーンの床、格式を現わす格天井、腰高の板張り、これらが洗練された印象を作る。客人を招いて紅茶片手にティータイムでもしたくなる部屋である。

ロマン新聞七月五日号 写真


遠路はるばる関東からやってきたアンティーク建具。少し歪んだガラスから揺らめいた柔らかな光が落ち、部屋をほんのり照らす。向かいには大正期に活躍した「竹久夢二」の絵をモチーフにした襖。アンティークレッドの温かな色味の床と相まって、華やかさとともに落ち着いた空間に。

ロマン新聞七月五日号 写真


ロマン新聞七月五日号 写真

ラストは最も力の入った外観。荒くおうとつのついたドイツ壁に負けない重厚感のあるアンティーク建具、落ち着いたトーンを作りだすタイル部分。多少重たい雰囲気が懸念されていたが、洋館の雰囲気はしっかりと出てきた。月日が経てばさらに味のあるものになることだろう。

今回の企画は大正時代にあったろう建物を新しく作ったのではなく、あたかも昔からそこにあったような馴染みよいものを目指してきた。だからこそこだわり抜いたディティールが全体の雰囲気を作り出していることを感じて欲しいのだ。是非、日本の古き良き時代に思いを馳せて見て欲しい。

ロマン新聞七月五日号
  • 最終号
  • 七月五日号
  • 六月二十七日号
  • 六月九日号
  • 五月二十五日号
  • 五月二日号
  • 四月十九日号
  • 四月九日号
  • 三月十八日号
  • 三月十七日号
  • 三月三日号
  • 二月十八日号