建物の顔であるファサード(外観)は、一番最初の印象付けであるため、非常に重要な要素。先日行われた第一回企画会議でも、このファサードは最重要課題として最も時間が費やされ、デザインや色味が決められていった。
明治・大正の西洋建築で多く見られるポイントは、
壁・・・レンガ・タイル・鎧(板)貼り ・ 窓・・・両開き・アーチ・モール加工 これらが第一印象に大きく影響を及ぼすディティールである。ファサードでこの家のテイストが決まる、と言っても過言ではない「顔」のパーツである。
日本の近代建築を振り返ると、まず想像に易いの「レンガ造り」。京都国立博物館や、京都文化博物館のような赤レンガで組み立てられた華やかで威厳のある趣き。西洋建築を模倣するものである。
次に「鎧張り」(右写真上から2段目)。板張りとも言われ、近代建築では、神戸北野異人館の一つ、ラインの館や萌黄の館などで見られる。建物の外壁全体が板貼りで覆われ、薄いエメラルドグリーンや薄い水色など優しい色合いに塗装されている。
そしてもう一つ、タイル貼り。(右写真3・4段目)。実はこのタイル貼りは京都の町中では非常に多く見かける。何気なく見ると気に止まることもないが、その種類は豊富で、タイルの素材が異なることはもちろん、2階まで全てタイル貼りというものもあれば、1階の腰高までがタイル貼りというものもある。町中を意識して歩いてみると、割と高い確率で古い町家の一部がタイル貼りになっていることに気がつく。
今回はこれら3種のイメージから選択となったが、ここで注意せねばならないのは、町並みとの調和である。かねてよりリーダー安田は鎧貼りの提案をしていた。しかし、総板貼りにするには、防火面の不安に加え、京都の町並みに調和できるかどうかが懸念され、議論の末、大正ロマン第一号はタイル貼りに決定した。次回はタイルの配置について報告する。