<十.ぐるり腰板>
2月も中旬、木工事も終盤にさしかかった現場では、塗装前の打ち合わせが行われた。大正ロマンの趣きを生み出すためにも失敗が許されない配色決め。 壁・床・天井から、廻り縁など細部に至るまで入念に話し合いがもたれる。 やはり主役の階段「紅」がキーポイント。大正ロマン「洋」の雰囲気にこだわってはいるが、元のコンセプトは、【大正時代にあったような和洋折衷の町家】なのである。 従い、伝統工法の造りであることも考慮しながら壁は真壁造りとし、腰板より上は白。この真壁の白を受けながら「洋」の雰囲気に変えるのが、ぐるりと張り巡らされる腰板の役割なのだ。 薄すぎるとナチュラルな雰囲気になってしまい、濃すぎると階段を引きたてることができなくなる。 壱号の応接室に取り入れた事例(上写真)を振り返りながら、階段の手すりとともに、少し赤みがかったこげ茶に決定した。 加えて、洋家具のような艶の光沢感が欲しいということに話が及び、次回の打ち合わせへ持ち越しとなった。