<七.ステンドグラス>
「階段」に続き、ステンドグラスはこの家を表現するものとして非常に重要な位置づけにある。
ステンドグラスは、ヨーロッパでは古くから教会などで用いられてきたが、日本においては明治以降、近代建築とともにステンドグラスの技法が伝えられ、大正時代以降は住宅の西洋化に伴い、一般の住宅にも普及するようになった。
アンティークガラスは種類にもよるが、薄っすら凹凸のあるものが多い。 しかしその凹凸が光の屈折を起こし、見る角度によってゆらゆらと揺らめきキラキラと光をこぼす。 上の写真は、訪れたアンティークステンドグラス専門店で出会うべくして出会った一品、1930年代のイギリス産である。 窓として入れることになるが、この家のキーカラー「紅」で染められた市松状のステンドグラスは、大正時代のレトロな雰囲気を表現するのに一役買ってくれることだろう。 揺らめくガラスを通して人影は写しつつも、中の様子がはっきりと見えるわけではない、そんな少し謎めいた空気の漂うような家に・・・。