<八.ロマンの予感>
年明け晴天のある日、今年初めての打ち合わせで現場にスタッフが集まる。この日のメインは年末に購入していた、アンティークドアのお披露目である。弐号のファサードは、町家の姿を残すことが課題。しかしながら室内に入ると、腰板が壁に沿ってぐるりと巡り、どこにいても目に入る紅い階段、光の反射が美しいアンティークの窓ガラス、大正ロマン「洋」のイメージにがらりと変わる。 外から和の趣きを感じながら玄関戸を開けると大正ロマンを予感させるような雰囲気にこだわりたいというリーダー安田。
あちこちの建具を検討した結果、壱号同様にアンティーク建具専門店の「古福庵」で購入。はるばる横浜からやってきたガラス入のアンティークドアは、丁寧に梱包され出番を待っていた。大正~昭和初期に造られたもので、角は薄っすら水色で菊文様の入ったすりガラス。先日ウェリントンで購入したアンティークガラスを左右に、取り付け位置にあてはめ雰囲気を見てみる。多少高さの調整が必要なようだ。 それぞれからキラキラこぼれる光、映し出す影・・・時間の経過とともに多様な表情を見せてくれる。建具が入ると現場の雰囲気も締まり、完成への道筋が開けるように、皆の気持ちも高ぶっていた。